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(Ⅳ)BI)ケース
 BI)ケース即ち北朝鮮が実際に魚雷攻撃を実施しかつ、強硬「開戦」路線を選択した場合、何が起こるだろうか。
 同様に北朝鮮の立場で考えてみよう。同様に北朝鮮は本当に「哨戒艦天安は北朝鮮による魚雷攻撃により沈没した。」と事を知っている。その上で強硬「開戦」路線を取るとしたら、そのメリット、デメリットは何だろう。
 
 北朝鮮としてのメリットは、南北朝鮮の緊張を高め、国内引き締めなどに利用できる事だろう。実際に韓国哨戒艇魚雷攻撃した上で、それを証する証拠を集めた韓国の主張を「でっち上げ」と断じながらも、開戦を言い出すと言うのは、マッチポンプもはなはだしいが、北朝鮮国内の引き締めには役に立つ。
 だが、本当に開戦するだけの覚悟と準備を持っているのならば「哨戒艦天安に対する北朝鮮の魚雷攻撃」と言う韓国の発表を、「でっち上げ」と否定してみせるメリットが余りない。「韓国側から先端を開いた」と言う、朝鮮戦争と同様の「口実」をでっち上げるまでの遅滞戦術ぐらいしか考えられない。
 北朝鮮が第2次朝鮮戦争開戦の第一撃として、哨戒艦天安を魚雷攻撃したのならば、「韓国によるでっち上げ」と言う抗議もそこそこに、間も無く戦端を開くはずである。その場合は、北朝鮮は相応の戦争準備即ち部隊の配置、弾薬そのほかの補給と集積、兵員の動員を完了している筈である。(*1)
 もし今後暫くしても、第2次朝鮮戦争が始まらないのならば、それは今回の魚雷攻撃が開戦を意図したものではない、或いは開戦の意図が頓挫した事を意味する。それは即ち今回の強硬「開戦」路線も、所詮ただのハッタリに過ぎない、或いはハッタリに終わったということだ。
 
 
(3.)北朝鮮の選択から推定する真偽
 
 気づいている人は気づいているだろうが、上記のAI)からBII)までの4ケースは、ランダムに起こるものではない。
 A)とB) の選択は既に済んでいる。即ち「哨戒艦天安沈没は北朝鮮による魚雷攻撃のためである。」事の真偽は既に定まっている。
 これに対しI),II)の選択は北朝鮮の対応方針であり、端的に言って北の将軍様の胸三寸で変わりうるものである。逆に言えば北朝鮮の、将軍様の、意思が反映されている。それは北朝鮮の選択である。
 
 その選択を、報道にある通り北朝鮮は今のところI)強硬「開戦」路線と定めている。これに対しAI)ケース、BI)ケースの利害得失は前述の通りである。
 一方で逆にII) 穏健「平和」路線を選択した場合の利害得失も前述の通り。
 
 これら4つのケースを縦2×横2のマトリクスで考えて見ると、「哨戒艦天安沈没は北朝鮮による魚雷攻撃のためである。」とする今回韓国の発表は現状に大きな違いを生んでいない事がわかる。それよりも支配的なのは、北朝鮮の路線選択であり、その選択は上記の通り現状、I) 強硬「開戦」路線である事もまた明らかだ。
 
 となるとAI) ケース とBI)ケースを想定して対処すれば良い。
 両ケースに共通しているのは、「北朝鮮の強硬「開戦」路線は、いつも通りにハッタリである公算大」と言うことである。
 更にはAI)ケースで述べたように、そんなハッタリをかけてしまえると言う事が、逆に北朝鮮は「哨戒艦天安は北朝鮮による魚雷攻撃により沈没した。」と言うのが韓国のでっち上げではなく真実であると知っていると言うことを、強烈に示唆している。

(4.)「今日は、どこぞで戦(ゆっさ)があるんでごわすか。」
 
 此処まで縷々述べてきた事を読めば、結論と対策は明らかだろうが、以下に纏める。
 
(1) 「哨戒艦天安沈没は北朝鮮による魚雷攻撃のためである。」と言う韓国の今回の発表は真実である。
(2) 上記(1)が真実である事を、北朝鮮は知っている。知っている事を、北朝鮮の言動が示している。
(3) その上での報じられているような強硬「開戦」路線は、いつも通りのハッタリである。
(4) 日本、米国、韓国は、北朝鮮の「全面戦争を含む強硬措置で応える」警告にも、遠のいたという「6カ国協議(*1)」にも臆することなく、韓国哨戒艦天安沈没の責任を北朝鮮に追及し、制裁も強化すべきであろう。
 
 
 開戦?結構ではないか。
 ただの一台の戦車もなく、T-34/85相手にさえ役に立たないバズーカ砲しか持たなかった韓国軍を相手に、中国「義勇軍」の支援を受けても38度線まで押し戻されたのが先の朝鮮戦争だ。
 
 在るかなしかの「核兵器」と、わずかばかりの弾道ミサイルによるハッタリと、長年育成している第五列で、今度も釜山まで辿り着けるかどうか、試して見るのも一興だろう。
 
 「我らが諸問題を解決するには、
  今やただ、鉄と血あるのみ。」―
鉄血宰相ビスマルク―
 
<注釈>
(*1) 遠のいたから、どうした。中国の面子がつぶれるぐらいなものだろう。
 北朝鮮が6カ国協議に復帰したって、我が国にとってのメリットなんかあるもんか。