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転載開始===================================================================
船底外部で魚雷爆発の見方 韓国艦沈没で調査団   http://sankei.jp.msn.com/world/korea/100425/kor1004251307001-n1.htm
2010.4.25 13:04
  韓国の聯合ニュースは25日、同国軍と民間専門家でつくる合同調査団が、北朝鮮との境界水域で爆発、沈没し引き揚げられた韓国海軍哨戒艦(1200トン級)の船首部分を調べた結果、外部の水中で魚雷などによる強力な爆発が起き、気泡と衝撃波で船体が二つに切断されたとの見方を強めていると報じた。韓国政府筋の話という。
 韓国メディアによると、船首部分も船尾部分と同じく、損傷は切断部に集中。機雷が爆発した場合、船体全体が大きな損傷を受けるため、魚雷攻撃の可能性の方が高いとみられている。
 聯合ニュースによると、船首の切断部の内部は船尾部分と同様、火災の痕跡がなく、調査団は外部で爆発が起きたと判断。切断部の形状などから魚雷が直接、命中したのではなく、船底の1メートルほど下の水中で爆発した可能性がある。(共同)
===================================================================転載完了
 一寸意外に思われるかも知れないが、大概の対空ミサイルは、命中するように出来ていない。より正確には直撃することは期待されていない。
 中には直撃しなければならないミサイルもある。今をときめく、と言うには一寸時機を逸したが、我が国が配備している弾道ミサイル防衛用のミサイルは、パトリオットPAC-3もスタンダードSM-3も直撃するように設計されており、そのためSM-3何て爆発する弾頭がない程だ。
 とは言え、それ以外の殆どの対空ミサイルは、爆発する弾頭を備えており、その弾頭は近接信管により、「最も距離が接近したとき」に爆発するようになっている。
 つまり、対空ミサイルは直撃するモノではなく、目標近傍を通過するモノであり、その距離が最小になるタイミングで弾頭を爆発させるモノなのである。この「目標に最も接近したときの距離」を「誤差」を意味するミスディスタンスと言う。ミスディスタンスよりも弾頭の有効範囲が広ければ、対空ミサイルとしては有効なわけだから、誘導精度が悪くてミスディスタンスが大きければ、その分威力の大きい弾頭を積むというのも一つの解答であり、であればこそ、昔の対空ミサイル、特に地対空ミサイルは大きな弾頭を積む大きなミサイルであった。
 
 では対地や対艦、対戦車ミサイルはどうかというと、これらは大概直撃してから爆発するようになっており、直撃命中した瞬間に極短時間で爆発する着発信管が主流。いくらか時間遅れをもうける遅延使信管は、対艦ミサイルで船内・艦内に飛び込んでから爆発するように使われる。

 事情はミサイル以外の爆発物、砲弾、爆弾、魚雷も似たようなものであるが、いくらか例外がある。
 一つには対地砲弾・爆弾に近接信管が使われることがある。尤もこちらは対空ミサイルと違って「目標への最小距離」で爆発するのではなく、( そんな設定にしたら、地面にぶつかるまで爆発しないだろう)ある一定の距離で爆発するように設定され、地上や目標への激突ではなく空中爆発させることで、より広い殺傷範囲を得る。
 もう一つは魚雷に近接信管が使われる場合がある。魚雷だから目標は当然艦船であるが、直撃で艦船の舷側に穴を開けるよりは、近傍通過で艦底に穴を開けた方が大きな威力を発揮する事による。上手くすれば、竜骨をへし折って一発で艦体・船体をまっ二つに出来る。米海軍が第2次大戦中に実戦配備し、当初は上手く作動しなかった仕掛けだが、そんな昔から「魚雷に近接信管を付けて艦底爆発を狙う。」というコンセプトはあったのである。
 
 閑話休題
 
 長々と信管と弾頭の話しをしたのは、報じられている共同通信の記事に一言言うためである。報道は、先頃の韓国哨戒艦沈没の原因が、どうやら艦底部での魚雷爆発によると原因特定できたというモノであるが、
> 魚雷が直接、命中したのではなく、
> 船底の1メートルほど下の水中で爆発した可能性がある。

としている。
 この記事だけ読んでいると、あたかも直撃せず、「外れた」魚雷がたまたま爆発した事故かのように思えてしまうではないか。

 上述の通り、魚雷の中には端から艦底の近傍通過を狙い、艦底爆発に依る有効な攻撃=損害の拡大を狙うモノがあるし、大体艦底で爆発するという事象そのものが、近接信管による爆発即ち艦底爆発を狙った魚雷の爆発である公算を大とするものである。
 
 言い換えれば、今回の「魚雷が艦底付近で爆発した結果としての韓国哨戒艇沈没」は、韓国哨戒艇に対する警告も威嚇も抜きの、本格的な魚雷攻撃であった可能性を高くし、事故だとか、偶発だとか言う可能性を低くするものである。少なくとも今回韓国軍の亜発表はそれを主張している。
 
 そう言ったことが、魚雷の信管に対する、とても一般的とは言えないような上記の知識がないと、この記事からは判らない。この記事を書いている記者自身にそんな知識がないと言う可能性も相当高いが、それは社会の木鐸として機能すべきマスコミ本来の役割からすると不勉強であり怠慢だと言うべきだろう。
 
 或いは、今回の韓国哨戒艦沈没を偶発事故か何かとして有耶無耶に済まそうという北朝鮮のシンパではないかという疑義を抱かせる。
 
 如何に、共同通信。