諸兄御承知の通り、Yahoo ブログでは1本の記事は5000字に制限されている。コメントは500字。何れも結構な字数制限であるのは、私の記事やらコメントやらがしばしば複数の記事、複数のコメントに分割しなければならないところから明らかだ。
 一方鳩山首相は今年公式に始めたといい、先頃(あろう事か)某閣僚が遅刻の言い訳にしていた「近頃都で流行るもの」ツイッターは140字の制限であるという。曽野綾子女史に言わせるとこの字数制限でも結構な内容をこめられるそうだが、それは作家のように文章を練り上げ精錬した場合の話。思いつきで書いていては140字なぞ、ただの「つぶやき」せいぜい「ぼやき」になる程度だろう。
 
 当ブログの記事が、曽野綾子女史の作品のように( って、読んだ事はないんだけれど)練り上げられた珠玉の記事群である、と主張する心算はない。読み返して誤字脱字に気づいて汗顔の至りと言う事もしばしばあるし、気づいていない誤字脱字はもっとあるだろう。従って、曽野綾子女史にとってはツイッターの140字も大した制約にはならないのだろうが、私にとってはYahooブログの記事5000字の制限も、結構な制約になっていると、自白せざるを得ない。
 
 況や、本記事のような「普天間基地移設問題シリーズ」は、以下のような3部構成になっている。((C)は無い事もある。経緯だけまとめた記事だ。)
 
(A) 普天間基地移設問題シリーズ 記事一覧
(B) 先回記事以降の経緯まとめ
(C) この時点までのコメント本文

 上記の内、(A)は着実に増えている。(B)は一本の記事に纏まっていないと一寸読みにくい。( 当ブログそのものの平均的読み易さが、テキストばかりで「相当低い」事は承知しているが。)従って現状では(A)+(B)で1本の記事、5000字に収まるように、逆にその程度の(B)である内に記事としてアップするようにしているが、(A)が増えているために(B)が圧迫され、徐々に記事アップの頻度を上げなければならなくなっている。
 当ブログに記事としたのが昨秋の「Trusut Me」事件以来であるから、既に半年近い。上記の点からも、いい加減、決着して欲しい問題である。


(A)今度の「光明」は本物か?

 普天間基地移設問題の決着は、最初から「早期決着」が求められており、鳩山首相自ら「時間がたつほど解決が難しい」と言っていたはずであるし、第2回日米首脳会談の合意事項( 言うまでもないだろうが、オバマ合衆国大統領と鳩山日本国首相の合意事項だ。)にも早期決着が盛り込まれた。
 この時点で米側・オバマ大統領の念頭にあったのは、現行日米合意の履行に基づく普天間基地の一部辺野古海上移転(&一部グアム移転)であったことは公的には明らかであるし、鳩山首相自身そういう認識を示していた。
 であればこそ、「泰山鳴動鼠一匹」と記事にした頃には、「現行日米合意に基づく早期決着」と言う光明が見えたかに思えた。
 
 その後の迷走・混迷振りはあらためて触れるまでもない。
 普天間基地移設先は「与党3党で決める」事になり、その与党3党案がなかなか集まらなかった。当初予定より遅れて与党各党案を集めれば、社民党は「沖縄県外のどこか」と言う無責任極まりない「提案」をし、その上国民新党の①辺野古陸上案 ②嘉手納統合案 と真っ向から対立している。政権最大与党である民主党にいたっては、その普天埋設先案が不明。国民新党案②と類似した辺野古陸上に滑走路増設(1500m案と500m案あり。)を米側に打診しているとも報じられている。
 少なくとも国民新党の賛同が期待でき、米側の同意も比較的得やすいと考えうるのが「辺野古陸上滑走路増設案」ではあろうが、今度の普天間基地移設問題「早期決着(*1)」の光明は、今度こそ本物であろうか。
 
<注釈>
(*1) 一時は「(昨)年内決着」と言っていた筈の「早期決着」である。今更、と言う感は否めない。


(B)鳩山首相の「決意」は有効か?

 「(昨)年内決着」なんて言っていた筈の鳩山首相だが、新たに設定した「5月までに決着」へ向けての決意表明やら自信やらは「凄まじい」と言って良いほどのものがある。西郷隆盛を引用したりしながら、事あるごとに「5月までに」といい続けている。一方で報じられているところでは、5月に我が敵・小沢一郎が訪米するとかで、その前に目鼻をつけておかないと、この問題もまた「小沢一郎介入に依る決着」となりかねず、それを避けようと鳩山首相がしているために、本問題解決を加速していると言う説もあるようだ。
 そうでなくても解決が遅れに遅れている問題だ。「小沢一郎訪米前」と言う動機が不純であろうとも、解決を加速するのは結構なことであるし、その結果解決するならば、私が表明した予想は見事に裏切られる訳だが、「普天間基地移設問題解決」の前にはそんなことは些事にもなるまい。
(14) 鳩山首相の奇怪な自信 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/31598449.html  
 問題は、鳩山首相の今回の自信、今回の決意が、果たして問題解決まで続くか、と言うことである。特に、「自信」は兎も角、「決意」が、だ。


(C)普天間基地移設問題決着に至る茨の道

 普天間基地移設問題決着への過程で、ステップ1=先ず真っ先に解決すべきは、日米の合意だ。日米両政府間には既に現行日米合意がある。これに沿って、或いはこれを基本としての交渉であれば、日米間の合意は比較的短期間或いは現行案に沿うなら瞬時に成立する。
 今民主党が水面下で進めているという、「辺野古陸上滑走路増設案」ならばこれに準じる短期間であることが期待できる。但し、判明しているだけでも以下の諸点が日米合意にさえ影響するし、これらの諸点ゆえに本案は、自公政権時代に検討され、放棄された案である。
① 集落に滑走路が近くなり、滑走路の運用、夜間着陸などに制限を求められる可能性がある。
② 工事期間が長くなり、普天間基地からの移設計画が5年ほど後倒しになる。(経緯(111)参照)また、工事期間が長い分、工事費用が増加する可能性が高い。

 アメリカ側がこの「辺野古陸上滑走路増設案」を了承するとしたら、上記②の追加費用の日本側分担と上記①で懸念される「運用上の制限を課さないこと」を要求するだろう。これに対し現政権が出せる条件は余りない。私が思いつくのは、一度は中止したインド洋上給油活動( これがアメリカの役に立っていたことは現政権・鳩山首相も認めているところだ。)ぐらいであるが「5月決着」或いは「小沢一郎訪米前決着」と言う時間制限の前では、大した譲歩は期待できないだろう。
 
 それでもナントカ「新たな日米合意」が「辺野古陸上滑走路増設案」に沿って成立したとしよう。次のステップ2は連立3党間の協議だ。
 これは実は大したことはない。社民党を切ることさえ覚悟すれば。西郷隆盛を引用するほどの覚悟ならば、それぐらいどうと言う事はない筈だ。「辺野古陸上滑走路増設案」ならば日本新党の案でもあるから、上記ステップ1の日米交渉結果で多少の修正や相違が生じていても、賛意は得られるだろう。
 仮に上記ステップ1が「現行日米合意=辺野古海上案」でしか決着しなかったとしたら、日本新党の賛意は得にくくなるかも知れないが・・・まだこちらは望みがある。社民党のほうはステップ1がどう在ろうと賛成する筈もないのだから、ハナッから切る他選択肢は無い。「この普天間基地移設先案で嫌ならば、政権離脱してください。」と言うだけの話だ。
 ひょっとすると社民党は我が敵=民主党の黒幕=小沢一郎に泣きつくかも知れない。或いはそれ以前に小沢一郎がステップ1なりステップ2なりを妨害する可能性はある。特に「小沢一郎訪米前決着」と言うのは我が敵・小沢一郎の虚飾癖からは感化し難いかもしれないし、「人民解放軍野戦司令官」殿としては普天間基地移設問題が存続したほうが中国様の覚えもめでたかろう。
 我が敵・小沢一郎相手となると、現政権も民主党も鳩山首相も借りてきた猫以下なのであるが、鳩山首相が本当に西郷隆盛張りの決意を有するならば、この障害も突破は可能であろう。
 あくまでも「本当に有する」上にこの時点まで忘れずに「有し続けている」ならば、だが。
 
 ステップ3は最大の難関だろう。沖縄県民、少なくとも沖縄県知事の説得が必要になる。経済支援を含め、ステップ1日米交渉以上の譲歩が必要になるかもしれない。
 名護市長や名護市議会、沖縄県議会は、説得できれば嬉しいが、必須ではない。県知事の許可さえあれば、辺野古陸上滑走路なり海上滑走路なりは着工できる。次の選挙で現知事が落選するまでは工事可能だ。デモや暴動も起こるかもしれない。それもこれも鳩山首相と民主党が昨年夏の衆院選挙で散々煽ってばら撒いた「普天間基地の国外、少なくとも県外移設」と言うバラ色の夢の代償だ。ステップ2で連立政権に切られた(であろう)社民党がこれを追いに煽ることはありうるし、私が中国の高官ならば沖縄に工作員を送り込んで煽るところだ。さほど派手はでしく煽らなくとも、デモや暴動の火は点くだろう。
 デモや暴動の火は点くだろうが、革命にはならない。また沖縄意外ではデモになるのがせいぜいで、暴動にすらなるまい。60年安保闘争なんかに比べれば、コップの中の嵐にしかならないだろう。
 但し、コップの中といえども嵐は嵐。ステップ3では政権与党(恐らくは、民主-国民新-ひょっとして公明?)はこの嵐を覚悟しなければならない。
 

(D)鳩山首相の「決意」が試される

 前述の通り茨の道ではあるが、この茨の道を通る「決意」があれば、普天間基地移設問題の解決は可能であろう。その解決は、現状政府が水面下で進めているという「辺野古陸上滑走路増設案」でも現行日米合意=辺野古海上案でも困難であることにはさして違いはない。
 
 だが、先述のステップ1日米交渉段階での障害になりうる①滑走路運用の制限(裏返すと集落への危険) ②普天間基地移設計画の5年後送り やステップ3の仲井真沖縄県知事説得も考慮するならば、「現行日米合意=辺野古海上案がベスト」と言う米側の一貫した主張には、一理も二理もあると、思わざるを得ない。
 
 鳩山首相及び現政権の決意の程は、どれほど強く、どれほど長く続くだろうか。
 
 泰山鳴動、鼠は何匹?
 でも鼠以外は出て来そうにないぞ。