転載開始==============================================================
米アップル、「iPad」余裕の価格戦略-原価は小売りの半分以下!?
(2010/02/25 日刊工業新聞 第12面)
米アップルが3月に発売するタブレット型情報端末「iPad(アイパッド)」の原価が話題になっている。米調査会社が公表したもので、すべてのモデルで原価は小売価格の半分以下と試算している。スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の緻密(ちみつ)な戦略と、利益確保重視の姿勢が表れている。
「小売価格と製造原価にかなり開きがある。初期の販売台数が伸び悩んだ場合、値下げは十分可能だろう」―。国内電機メーカーの幹部は、米調査会社アイサプライの資料をみながら予想する。
【iファミリー結集】
例えば最廉価の499ドル(約4万5000円)タイプで想定原価はわずか229・35ドル(約2万1000円)。この差は上位モデルになるほど開きが大きくなる。この想定原価には、広告費やソフトウエアの使用料などは含まれていない。それでも「iPod(アイポッド)」時代から培ってきたサプライチェーン管理が行き届いている証拠だ。
最も高額とみられる部品はタッチスクリーンと9・7インチのディスプレーで想定原価は80ドル。ディスプレーの主要調達先はは韓国LGグループと台湾・群創光電の2社。それ以外の部品でも、台湾勢や米半導体メーカーなど“iファミリー”がずらりと顔を並べ、低コストを支えている。
【注目はMPU】
ただ今回最も注目すべきは「A4」と名付けられた超小型演算処理装置(MPU)。アップルが自社設計・開発し、韓国サムスン電子が受託製造するといわれる。汎用品ではなく自社開発のチップを搭載するジョブズ氏の狙いは何か。国内携帯端末メーカーの幹部は「開発の自由度を高めること。さらに新しい収益構造を築くこと」と解説する。
A4の想定生産コストはわずか17ドル。電池駆動時間を伸ばすことにも貢献しているという。今後は「iPhone(アイフォーン)」の新製品に採用する可能性もある。そうなれば「アトム」で携帯機器市場の取り込みを目指す米インテルなどが痛手を受けかねない。
ジョブズ氏のしたたかさは原価の見直しにとどまらず販売戦略まで及ぶ。米国ではAT&Tに独占提供するが、6月までにベライゾンワイヤレスでも販売するという観測が出ている。アイパッドには第3世代携帯電話(3G)のデータ通信機能を持つモデルがあり、「SIMロックを解除して販売する」(ジョブズ氏)。
【台数上積み狙う】
アイフォーンではSIMロックをかけ、取り扱う通信事業者にインセンティブを与えた。今度は利用者の選択肢を増やすという名目で、販売台数の上積みを狙う意図が透けてみえる。日本ではNTTドコモがアイパッド向けのSIMカード販売について前向きに検討中という。今のところ沈黙しているソフトバンクはどう出るか。
アイパッドの2010年の販売台数計画は200万―500万台。来年には900万台ともいわれる。米アマゾンドットコムの電子書籍端末「キンドル」の世界モデルは279ドル(約2万5000円)で、アイパッドは最安値でも499ドル。
やはり割高だが「ジョブズはそれもお見通し。アイフォーンでは発売後2カ月で200ドル下げた前例もある」(証券アナリスト)。余裕をもった原価の作り込みと、時期を逃さないマーケティング戦略。この「ストラテジー(ハイレベルな計画や意思決定)」については、日本のコンシューマエレクトロニス企業も学ぶべき面が多そうだ。
====================================================================転載終了
かつてはMac(マッキントッシュ)と言う「一寸しゃれたデザインのPC」で売り、今はi-Pod(MP3プレーヤー)、i-Phone(携帯電話)を売っていて、今度 i-Pad(タブレット型PC)を売ろうとしているApple社は、ヴェンチャー企業の成功事例として名高く、そのCEO最高経営責任者・スティーブ・ジョブズ氏は世界有数の大金持ちとして有名だが、私はどうも昔から、その会社も製品も好きではなく、殆ど使った事がない。
MacはそのGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェース 絵や図形で表されたボタンの類)に見るべきものはあっても、やたらに故障が多いと言う印象が強い。i-Podは見た目が「スマート」でもディスプレイが本体の割りに小さかったり、なかったりする。i-Phoneは携帯電話とみるには大き過ぎる。何れにも共通しているのは、販売価格の高さ、割高感である。
根強い、或いは熱狂的なファンがいる事も知ってはいた。上記の割高感をものともせず、そのデザインの秀逸さや「使いやすさ」を絶賛する人々が。だが、MacのGUIは、データや本体破壊と言うリスクの前には大した使い易さとは私には思えなかったし、デザインよりもスペックを優先する私には、i-Podもさして魅力的には見えなかった。i-Phoneはそもそも「携帯」電話に見えないから、私の選択肢には入らなかった。
で、今度はi-Padである。ネットブック並みの値段で「ネットブックより遥かに高機能」と自称しているのは、既に記事にした通りだ。同時に、タブレット型PCと言うだけで、ネットブックにある程度慣れたOLD TYPEにして、キーボードを長文入力には必須とするキーボードフリークたる私には、これまた全く魅力的に見えない事も。
「正直、食指は動かんねぇ」 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/31563583.html
だが、報じられている通り、APPLE社はこのi-Padに相当に自信を持っているらしく、OSを含むソフトを除いたハードとしての製造原価は、実に売価の半分以下に押さえ込んでいると言う。つまり、「OSを含むソフトを除いた仮の利益率」は「50%以上」と言う高い「利益率」なのだという。
一般的に言って、日本のメーカーに比べて欧米諸国のメーカーは高い利益率を確保しており、日本のメーカーが、「利益率5%ならまずまずで、10%以上は珍しい。」と言う状況でも数十%の利益率を誇っていたりするのだが、このApple社の価格設定=「利益率」設定はそれを勘案しても相当高い数字だ。
無論、今公表されている「利益率」は、今公表されている価格即ちまだ発売されていないi-Padの定価に対するものであり、報じられている通り「発売後に売価を下げる」ことがあればその分「利益率」は低下する筈ではある。
また、記事にもある通り「半分以下」と言うのはハードとしての製造原価であって、OS含むソフトを入れての製造原価になれば、利益率は流石に下がる筈である・・・が、Macは基本OSの多機能が売りで、バンドルソフトは殆ど無かったと記憶しているし、デファクトスタンダードとされるマイクロソフト・オフィスのファイルも、Open Officeなどのフリーソフトで扱えない事もないから、これらをバンドルソフトとしてソフトの原価も押さえ込んでいるかも知れない。
報じられる記事は、これら見事に押さえ込まれた(少なくともハードとしての)製造原価と、強気の価格設定及び値下げを見越している(らしい)価格戦略を絶賛しているが・・・どうだろう。
私は正直、この記事を読んで益々Apple社が嫌いになったし、i-Padは発売価格の半値近くまで下がらない内は決して買わないだろうと、断言してしまえる。
「Apple社」「i-ナントカ」と言うブランドに胡坐をかいた高値設定高利益率戦略も気に入らなければ、元々異常に高い利益率を操作しての販売戦略と言うのも気に入らない。
低い利益率にあえぎながら、「i-ナントカ」程のブランド力もないながら、何とか数売って利益を確保しようと次々新型機種を市場投入している、日本や台湾の(中国のは買う気がしない)ネットブックたちの方が、遥かに商品としても、工業製品としても、魅力的と思えるのだが・・・如何なものであろうか。
米アップル、「iPad」余裕の価格戦略-原価は小売りの半分以下!?
(2010/02/25 日刊工業新聞 第12面)
米アップルが3月に発売するタブレット型情報端末「iPad(アイパッド)」の原価が話題になっている。米調査会社が公表したもので、すべてのモデルで原価は小売価格の半分以下と試算している。スティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)の緻密(ちみつ)な戦略と、利益確保重視の姿勢が表れている。
「小売価格と製造原価にかなり開きがある。初期の販売台数が伸び悩んだ場合、値下げは十分可能だろう」―。国内電機メーカーの幹部は、米調査会社アイサプライの資料をみながら予想する。
【iファミリー結集】
例えば最廉価の499ドル(約4万5000円)タイプで想定原価はわずか229・35ドル(約2万1000円)。この差は上位モデルになるほど開きが大きくなる。この想定原価には、広告費やソフトウエアの使用料などは含まれていない。それでも「iPod(アイポッド)」時代から培ってきたサプライチェーン管理が行き届いている証拠だ。
最も高額とみられる部品はタッチスクリーンと9・7インチのディスプレーで想定原価は80ドル。ディスプレーの主要調達先はは韓国LGグループと台湾・群創光電の2社。それ以外の部品でも、台湾勢や米半導体メーカーなど“iファミリー”がずらりと顔を並べ、低コストを支えている。
【注目はMPU】
ただ今回最も注目すべきは「A4」と名付けられた超小型演算処理装置(MPU)。アップルが自社設計・開発し、韓国サムスン電子が受託製造するといわれる。汎用品ではなく自社開発のチップを搭載するジョブズ氏の狙いは何か。国内携帯端末メーカーの幹部は「開発の自由度を高めること。さらに新しい収益構造を築くこと」と解説する。
A4の想定生産コストはわずか17ドル。電池駆動時間を伸ばすことにも貢献しているという。今後は「iPhone(アイフォーン)」の新製品に採用する可能性もある。そうなれば「アトム」で携帯機器市場の取り込みを目指す米インテルなどが痛手を受けかねない。
ジョブズ氏のしたたかさは原価の見直しにとどまらず販売戦略まで及ぶ。米国ではAT&Tに独占提供するが、6月までにベライゾンワイヤレスでも販売するという観測が出ている。アイパッドには第3世代携帯電話(3G)のデータ通信機能を持つモデルがあり、「SIMロックを解除して販売する」(ジョブズ氏)。
【台数上積み狙う】
アイフォーンではSIMロックをかけ、取り扱う通信事業者にインセンティブを与えた。今度は利用者の選択肢を増やすという名目で、販売台数の上積みを狙う意図が透けてみえる。日本ではNTTドコモがアイパッド向けのSIMカード販売について前向きに検討中という。今のところ沈黙しているソフトバンクはどう出るか。
アイパッドの2010年の販売台数計画は200万―500万台。来年には900万台ともいわれる。米アマゾンドットコムの電子書籍端末「キンドル」の世界モデルは279ドル(約2万5000円)で、アイパッドは最安値でも499ドル。
やはり割高だが「ジョブズはそれもお見通し。アイフォーンでは発売後2カ月で200ドル下げた前例もある」(証券アナリスト)。余裕をもった原価の作り込みと、時期を逃さないマーケティング戦略。この「ストラテジー(ハイレベルな計画や意思決定)」については、日本のコンシューマエレクトロニス企業も学ぶべき面が多そうだ。
====================================================================転載終了
MacはそのGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェース 絵や図形で表されたボタンの類)に見るべきものはあっても、やたらに故障が多いと言う印象が強い。i-Podは見た目が「スマート」でもディスプレイが本体の割りに小さかったり、なかったりする。i-Phoneは携帯電話とみるには大き過ぎる。何れにも共通しているのは、販売価格の高さ、割高感である。
根強い、或いは熱狂的なファンがいる事も知ってはいた。上記の割高感をものともせず、そのデザインの秀逸さや「使いやすさ」を絶賛する人々が。だが、MacのGUIは、データや本体破壊と言うリスクの前には大した使い易さとは私には思えなかったし、デザインよりもスペックを優先する私には、i-Podもさして魅力的には見えなかった。i-Phoneはそもそも「携帯」電話に見えないから、私の選択肢には入らなかった。
で、今度はi-Padである。ネットブック並みの値段で「ネットブックより遥かに高機能」と自称しているのは、既に記事にした通りだ。同時に、タブレット型PCと言うだけで、ネットブックにある程度慣れたOLD TYPEにして、キーボードを長文入力には必須とするキーボードフリークたる私には、これまた全く魅力的に見えない事も。
「正直、食指は動かんねぇ」 http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/31563583.html
だが、報じられている通り、APPLE社はこのi-Padに相当に自信を持っているらしく、OSを含むソフトを除いたハードとしての製造原価は、実に売価の半分以下に押さえ込んでいると言う。つまり、「OSを含むソフトを除いた仮の利益率」は「50%以上」と言う高い「利益率」なのだという。
一般的に言って、日本のメーカーに比べて欧米諸国のメーカーは高い利益率を確保しており、日本のメーカーが、「利益率5%ならまずまずで、10%以上は珍しい。」と言う状況でも数十%の利益率を誇っていたりするのだが、このApple社の価格設定=「利益率」設定はそれを勘案しても相当高い数字だ。
無論、今公表されている「利益率」は、今公表されている価格即ちまだ発売されていないi-Padの定価に対するものであり、報じられている通り「発売後に売価を下げる」ことがあればその分「利益率」は低下する筈ではある。
また、記事にもある通り「半分以下」と言うのはハードとしての製造原価であって、OS含むソフトを入れての製造原価になれば、利益率は流石に下がる筈である・・・が、Macは基本OSの多機能が売りで、バンドルソフトは殆ど無かったと記憶しているし、デファクトスタンダードとされるマイクロソフト・オフィスのファイルも、Open Officeなどのフリーソフトで扱えない事もないから、これらをバンドルソフトとしてソフトの原価も押さえ込んでいるかも知れない。
報じられる記事は、これら見事に押さえ込まれた(少なくともハードとしての)製造原価と、強気の価格設定及び値下げを見越している(らしい)価格戦略を絶賛しているが・・・どうだろう。
私は正直、この記事を読んで益々Apple社が嫌いになったし、i-Padは発売価格の半値近くまで下がらない内は決して買わないだろうと、断言してしまえる。
「Apple社」「i-ナントカ」と言うブランドに胡坐をかいた高値設定高利益率戦略も気に入らなければ、元々異常に高い利益率を操作しての販売戦略と言うのも気に入らない。
低い利益率にあえぎながら、「i-ナントカ」程のブランド力もないながら、何とか数売って利益を確保しようと次々新型機種を市場投入している、日本や台湾の(中国のは買う気がしない)ネットブックたちの方が、遥かに商品としても、工業製品としても、魅力的と思えるのだが・・・如何なものであろうか。
別の報道では、このi-Padに電子書籍リーダーとしての普及を期待し、「今年は電子書籍元年」などと、即ちi-Podが音楽のインターネット配信販売と言う概念を確立したように、「i-Padが電子書籍のダウンロード販売と言う新市場を開く」と言う期待があり、恐怖があるようである。i-Padを「黒船」に喩える表現に、その「恐怖」が表れている。即ち日本語電子書籍市場がi-Padなどによる英語電子書籍市場に大きく遅れをとるのではないかと言う恐怖が。
Amazon(これまた、私は殆ど利用していないが。)が書籍の出インターネット販売と言う新市場を切り開いたのは事実だろう。電子書籍が同様の新たな地平を切り開いてくれはしないかと言う、特に現状が厳しい出版業界が期待するのも理解する。
しかしながら、今の設定価格の半値程度と言うのならば兎も角、今公表されている販売価格は、電子書籍リーダーとしては高価に過ぎるように思えてならない。拡大縮小或いはコピペや収納場所(と怪しいが木材資源)の節約などの、電子ファイルで書籍を保管する事の利点を考慮しても、だ。電子書籍リーダーどころか電子辞書すら持っていないアナログ人間の「勘」にしか過ぎないが。
i-Padが電子書籍市場の起爆剤になるとしたら、販売直後ではなく暫くたって、値崩れしだしてから、ではなかろうか。
報道によれば、その値崩れは、案外早く起きそうではあるが。
i-Padが電子書籍市場の起爆剤になるとしたら、販売直後ではなく暫くたって、値崩れしだしてから、ではなかろうか。
報道によれば、その値崩れは、案外早く起きそうではあるが。