シー・シェパードの捕鯨抗議船 日本の監視船と衝突http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/100106/dst1001061609010-n1.htm
 以下の記事は、上記の記事に基づいているの。AFP記事とは異なる部分があるので、それは修正することにしよう。

 報じられているのは自称「環境保護団体」実質鯨類偏愛テロ集団シーシェパードの自称「抗議船」実質「高速洋上テロ船」がわが捕鯨船団の「仮装巡洋艦」第2昭南丸と衝突し、大破・航行不能に陥ったと言う報道。
 「アディ・ギル号」を名乗るシーシェパードの高速洋上テロ船は、先頃鳴り物入りで公開された高速船。先行する報道では、悪臭弾やアイセーフでないレーザーによる妨害を再三繰り返していた船だ。

シー・シェパード、日本の調査捕鯨に「未来型抗議船」で対抗 2009年11月14日 22:28 発信地:シドニー/オーストラリア http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2663822/4904260


 その船が、シーシェパードの主張によると「(事故発生時)ギル号は静止していたが、突然衝突された。(日本側は)救助もしてくれなかった」事になっている。無論のこと日本側捕鯨船団は「ギル号が衝突してきたとしている。」そうである。
 
 両者の主張は真っ向から対立しているが、私が何れを信用するかは、まあ言うまでもないだろう。

 何しろシーシェパードの「アディ・ギル号」は最大時速93キロを誇る高速三胴船。その航洋性には疑問の余地があるが、その高速性故に今まで悪臭弾攻撃やレーザー攻撃で我が捕鯨船団を妨害していたと既報のある船だ。上記の記事でもアディ・ギル号船長は「アディ・ギル号で捕鯨船を追い回し逃がさない。クジラは一頭たりとも殺させない」と公言している。この「一頭たりとも殺させない」が、ただ単にシュプレヒコールを上げ抗議するだけとは、当のシーシェパードでも主張すまい。(事実、AFP通信の報道では、「戦争」と言う表現が使われている。)

 その高速船が洋上に停止していると言う事態は想像しにくい。何らかの故障か、余程苦手な天候下にない限り、「アディ・ギル号」はその高速を利用して第2昭南丸なぞ振り切れる筈だ。自分達の方は散々妨害テロ行動を実施しておいて、第2昭南丸が接近してきても洋上に停止したまま衝突されるに任せているなんて状況は、全く信用できない。
 「アディ・ギル号」の方がその高速を利用して、第2昭南丸に危険なまでに接近、結果として衝突したと考える方が理に適っている。写真に見るとおり、「アディ・ギル号」が壊れているのは船首。ぶつけられたよりもぶつけることで壊れることが多い場所だ。

http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee291545.flv に第2昭南丸側から撮ったらしい衝突の際の動画がある。なるほどアディ・ギル号は最初洋上に停止していて、放水しながら前を横切る第2昭南丸に、機関を指導させて体当たりしている。つまり、シーシェパード側が引き起こした衝突である。
http://video.mainichi.co.jp/pluginplayerv3.swf?video_id=48227968/48227968peevee291545.flv
 
 そうだとするとシーシェパードの抗議「(日本側は)救助もしてくれなかった」と言うのは相当的外れと言うか厚顔無恥といわざるを得ない。少なくとも悪臭弾やレーザーで妨害行動を実施し、恐らくは危険航行まで行った挙句に「衝突して損傷したから救助しろ。しないのはケシカラン。」とは虫が良すぎる。
 ソリャ自業自得と言うものだ。
 ソマリア沖で海上自衛隊に護衛を依頼する、ピース・ボートにも合い通じる図々しさである。
 
 それでも船が沈没したなら(AFP通信の報道では沈没している。時間が経ってから沈没したと言うことだろうか。)、人道上の検知から見殺しには出来ないだろう。が、幸いなことに「アディ・ギル号」は写真に見ると通り、大破はしても浮いている。航行不能で漂うだけの洋上テロ船を「救助」しなければならない理由は、少なくとも我が捕鯨船団の方には無いだろう。
 
 そこは、喩えピースボート相手でも護衛の任に付く海上自衛隊と、私企業である捕鯨船団との違いだ。
 
 それにしても鳴り物入りで報じられた高速洋上テロ船「アディ・ギル号」、高速は良いが船体はFRPか何か余程やわな材料で出来ていたものと見える(AFP通信では「炭素繊維とケブラー繊維製」となっているが、繊維だけでは布しか織れない。炭素繊維及びケプラー繊維で補強したプラスチックと見るべきだろう。)。衝突して「アディ・ギル号」は大破・航行不能に陥ったのに対し、「第2昭南丸の船体に大きな被害はなく、乗組員にけがはないとしている。」からこの差は大きい。それとも第2昭南丸、実は装甲艦だったりするのだろうか。(だとしたら、本当に仮装巡洋艦だな。或いは衝角(ラム)を隠し持っているとか。)
 
 それは兎も角、
 
 これで狂犬シーシェパードの洋上テロ船は1隻戦線離脱。それも高速で厄介な一隻が戦線離脱したのだから、この効果は無視し得ないだろう。残る洋上テロ船は、先頃「第2昭南丸に接近したら追尾されて振り切れなくなった(従って大した脅威ではない)」スティーブ・アーウィン号と、今シーズン初めて確認されたシーシェパードの隠し玉(なのか?)ボブ・バーカー号の2隻のみ。どちらかがアディ・ギル号の曳航にでも取られれば、さらに我が捕鯨船団の仕事はやりやすくなるに違いない。
 
 天網恢恢粗にして漏らさず、と言うところだろうか。