報じられているのは、千葉大学が開発に成功したというハチドリ型ロボット。
 翼は4枚。この翼を一秒間に30回動かすと言うから、普通のビデオのフレーム数では追いつかない、「目にも留まらぬ」動きでもって飛行と方向転換を為し、「8の字飛行はヘリコプターよりも安定している」そうである。
 「空中の一点で止まったままでいられるロボットが次の目標」とも報じられているから、まだホバリング=空中停止飛行能力はないようだが、目算はあると言うことだろう。
 「超小型カメラも搭載したロボットを2011年3月までに完成させる計画」とも報じられており、「倒壊した建物に閉じこめられた人の救助作業や、警察の犯罪者追跡、さらには火星探査などでの使用が期待されている。」とも報じられているが、この大きさでカメラを積んで画像を送信できるならば、それだけで充分、軍用の用途にも使えると言うことだ。
 データ送信距離や航続距離は相応に制限されるだろうから、野戦や遭遇戦での活用は難しそうだが、市街戦や拠点防御戦、対テロ戦争等には活躍の場が多そうだ。

 問題は、航続距離やデータ通信距離との相関もあろうが、重さだろう。
 開発されたモデルは重さ実に2.6グラムと報じられている。翼を大きくすればもっと重くても飛べそうだが、そうなるとその翼を羽ばたかせるメカニズムと大きくなる翼の強度が問題となり、それぞれの重さも増えるから、必ずしも「超小型カメラ」分の重量=ペイロードを稼げるか怪しくなってくる。「人を乗せて飛ぶ羽ばたき機」と言うのが殆ど失敗し、未だ「見果てぬ夢」であるのと同じ理屈だ。
 
 いずれにせよこのハチドリ型UAVに搭載する機器は、カメラにせよその他のセンサーにせよ、或いは爆発物その他の武器にせよ、相当軽量化小型化しないといけない。
 
 小型化・軽量化ならば、日本人の十八番ではないか。
 
 ハチドリ型UAVが何らかの功績を挙げられるか否かは、搭載機器の小型化・軽量化にかかっており、それは同時に、我が国、我が技術に対する期待でもある。
 
 そんなハチドリ型ロボットが日本で開発されたと言うのは、一種の「暗合」であろうか。