まずは先回以降の経緯から。


1.今までの記事


 
2.前回記事以降の経緯

 以下の経緯は番号順になっており、(1)は「変心、変身、また変針」まで遡る。

(43) 12/15(火)鳩山首相は何とこの日初めて、普天間基地の移設先を「キャンプ・シュワブ沿岸部とした現行計画の修正を目指す考えを表明した。」そうである。報じられている発言は以下の通り。

1>「沖縄県民の思いを理解する中で、
2> やはり辺野古ではない地域を模索し、決める
3>という状況を何としてもつくり上げていきたい」
4>結論を出す時期について「必要な時間は数カ月単位ではないか」
 例に拠って適当な所で切って番号を振った。
 上記1>が意味するところは、鳩山首相は選挙期間から今までの間を「沖縄県民の想いを理解する」事ですごしていたらしい。だから2>の通り今から日米現行合意に代わる日本側代替案を考えるのだそうである。今更ながら、一体何を以って鳩山首相はオバマ大統領に「Trust Me.」と大見得切ったのだろうか。
 その一方で3>とも言っているから、「決めるかどうかも状況次第」と言っているようにも思える。否、そうに違いない。
 問題はやはり4>であろう。「結論を出す」と言ってもこれは日米の新たな合意とは到底信じられない。精々連立3党間の合意、即ち日本側代替案が数ヶ月かけて「決まる」というだけである。上記2>で明言されている以上、その代替案は現行案とはかけ離れている公算大にして、日米際交渉の入口に立てるかどうかも怪しいと言うことである。
 その新たな代替案を以って始めようという日米再交渉は、一体何時までに決着させる心算なのかね。。
辺野古以外の地域模索=普天間問題、結論に数カ月必要-鳩山首相明言http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091215-00000120-jij-pol

(44) 12/16(水) 「鳩山由紀夫首相の意味不明で理解不能な言動を指して」「Space Issue(宇宙問題)」とする用語が「定着」したと報じられる。ソリャそうだろう。
 同時にこの記事は
>「日米合意を崩せば、海兵隊から再び移転の同意を取り付けることは不可能になる」
とする米側の懸念を、鳩山首相がまともに扱っていないと報じている。
 さらには日米外交筋の予想として、次のように述べる。
>「来年2月には2011会計年度予算から在沖縄海兵隊8000人のグアム移転事業費が消え、
> 普天間飛行場の改修費が盛られるかもしれない。
> 日本側の合意破棄を理由として、普天間返還そのものがなくなるということだ」
 「アメリカの本音はグアム全面移転」と報じたという週刊朝日の記事とは偉い違いだ。それが産経と朝日の違いなのかも知れないが、「どちらが願わしいか」ではなく「どちらがありそうか」と言えば、私には断然、今回の産経報道の方だと思われる。
普天間移設の白紙化も 首相の言動は「スペース・イシュー」http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912160005000-n1.htm

(45) 12/17(木)この日鳩山首相はメルマガで、普天間基地移設問題に付いて「針の穴にロープを通すほど難しい」と表明したそうである。ろくに準備も調べもしないでばら色の公約ばら撒いて、その後の始末もろくにつけないまま日米首脳歓談を2回もやり、オバマ大統領をペテンにかけて駐日米大使を「激怒」させて漸く移設先の代替案検討を初め、その決定を「連立3党合意」に預けて、ますます解決を難しくしているのは他の誰でもない、鳩山首相なのだが、彼はその難しさを次のように表現したという。
>(1)日米合意の重み(2)県外、国外移設を衆院選で主張した重み(3)連立維持-の「3条件を満たす答えを探さなければならない」
 さて同じ問題の難しさを、産経新聞は「解けない4元方程式」と表現した。
 「あれ、1元足らないじゃないか。」と思って読み返してみたら、鳩山首相が上げなかった第4の条件は、「国益」だった。
 妙に納得できてしまった。
普天間移設:「針の穴にロープ」鳩山首相がメルマガで http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091218k0000m010040000c.html

(46) 12/18(金)AFP通信は、世論調査の結果、鳩山内閣の支持率が初めて50%を切ったと報じた。不支持率は未だ3割と同記事は報じている。
 「未だ半分も支持しているのかよ。」と言う私の感想は、別記事にした通りだ。
鳩山内閣支持率、初めて50%を下回る 時事世論調査 http://www.afpbb.com/article/politics/2676496/5058815

(47) 12/18(金)岡田外相は「日本には海兵隊が必要だ」と述べ、沖縄海兵隊のグアムなど海外移転に難色を示した。民主党にしてはまともな議論だが、通じるかどうかは疑問だ。
岡田外相>「機動力がある海兵隊の存在が紛争発生を抑止し、有事には日本の安全に有用となる」
岡田外相「海兵隊は必要」 普天間のグアム移設に難色  http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/337459/

(48) 12/18(金)呑気にコペンハーゲンで開催されていたCOP15に参加した鳩山首相は、晩餐会で米国のクリントン国務長官と隣席になったのを幸い、普天間基地移設問題に付いて「説明し、理解を求めた」そうである。

1>「沖縄県民の期待が高まっている。
( 高めたのは他でもない、貴様だろうが。)
2>日米合意は重いが、強行すると結果はどうなるか。大変危険だ。
( つまり日本国首相は沖縄は統治していませんと言っている。)
3>選択を考えているので、
( 今頃何を考えていて、何時まで考えると何かになるのか。)
4>しばらく待っていてほしい。」
( 待っている間に、少なくとも鳩山政権の、多分民主党政権の、寿命が尽きるぞ。)

 例に拠って適当に区切って番号を振った。ついでに()で突っ込みも入れたが、クリントン米国務長官の内心も、似たようなものではなかったろうかと推察している。
 これに対し、クリントン米国務長官は
>「よく分かった」
と応えたそうである。これを以って鳩山首相は「理解を得た。」と主張したいようであるが・・・如何であろうか。
普天間問題「しばらく待って」首相、米国務長官に http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091219-00000319-yom-pol

(49) 12/19(土) 社民党の福島党首は、上記(48)のCOP15晩餐会席上に於けるクリントン米国務長官に対する鳩山首相の説明を受け、次のように述べたと言う。
1>「このように(説明の手続きを)経ることで、真の解決ができると確信している」と評価した。
2>「3党で移設先をきちんと探すと米側に伝えたということだ」
3> 県外、国外移転を目指す考えを強調した。
 何と言うか、前向きと言うか、楽観的と言うか、手前勝手と言うか・・・現行の日米合意と言うものが既にあり、それを反故にして全く別の提案をして了解してもらおうと言う事態に対する危機感も緊張感も全く感じられず、ただ「説明の手続きを経」さえすれば相手は喜んで納得してくれる筈だと言う、「確信」と言うより「狂信」が見て取れる。

(50) 12/21(月) 先のAFP通信のみならず、産経FNNの世論調査でも支持率急落が明示された鳩山首相は、次のように述べたと言う。
>「国民からの叱咤(しった)激励だと受け止め、むしろ感謝しながら、
> より一層力を入れて頑張らなければいけない」
 どなたかご教示願いたいのだが、鳩山首相は一体何に力を入れて来たのかね。少なくとも普天間基地移設問題に関する限り、社民党の鼻息をうかがった以外の努力は全く見られないのだが、より一層社民党に阿ると、そう言う事かね。
「国民からの叱咤激励」 世論調査急落で首相 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091221/plc0912211039006-n1.htm

(51) 12/22(火) クリントン米国務長官は、駐米日本大使を呼び出した。駐米大使の呼び出しは異例のことで「日米合意の早期履行を求める米政府の立場を伝えたとみられる。」と報じられている。
 つまり、先週末のCOP15に於ける鳩山首相御自らが「説明をし、理解を求めた」結果がこの駐米大使呼び出しと言う事だ。
 「なぁに呑気に手前勝手な御託を並べてやがんだ。このトンガリ頭は。手前じゃ話にならん。話のできる奴を出せ!」と言うところだろうか。勿論、普通は駐米大使よりも日本国首相のほうが高いレベルの話が出来る筈なんだが(だからこそ、首脳会談と言うものが意味を持つ、筈だ。)・・・「そこは鳩山首相ゆえ」と言うところだろうか。
 さらには、上記(49)の福島社民党首の「確信」は、やっぱり「狂信」だった事が証明されたわけだ。
駐米大使にクリントン長官から異例の呼び出し 普天間問題で米国の立場は不変http://sankei.jp.msn.com/world/america/091222/amr0912220755004-n1.htm