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 報じられているのは自称環境保護団体・実質鯨類偏愛団体シーシェパードの発表で、何でも今シーズン初の我が捕鯨船団との小競り合いがあったとのことである。
 が、いつもの狂犬らしく、つじつまが合わないことの多い発表で、真相のほどは五里霧中である。

1> 日本の治安要員が大勢乗り込んだ調査捕鯨船「第2昭南丸」に追跡されていた
2> 14日、氷山に隠れて第2昭南丸に接近したところ、2本の放水砲で発射され、2時間にわたって高速で追い回されたという。
3> 「(シーシェパード側は)放水砲の準備は完了していたが、発射はしなかった」
4> 「尾行されている限り、われわれの位置がほかの調査捕鯨船に連絡されてしまい、われわれが近づこうものなら移動されてしまう」
5> 「だが、沖合の氷山を利用してうまく逃走するつもりだ」
6> 「捕鯨活動の妨害に出るならば、シー・シェパードの抗議船と捕鯨船との間に割り込む」と第2昭南丸から警告を受けた
7> 「そうなれば(第2昭南丸と)衝突してしまうだろう。
8> しかしあきらめない。われわれは捕鯨の妨害のために来ているのだ。われわれの活動を阻止されようとも、われわれは撤退しない」

 まず1>から判らない。「日本の治安要員」が海上保安官のことだと理解したとしても、「大勢」とは果て一体何人のことだろうか。何故「治安要員」と判ったのだろうか。制服を着て南氷洋の捕鯨船の露天甲板に出ていたのだろうか(あちらは今、夏ではあるが)、はたまた事前情報で察知していたのであろうか。
 
 第2に、その「第2昭南丸」はシーシェパードをどうする心算なのだと見ているのだろうか。4>で述べているようにシーシェパード船を追尾し、その位置を味方の捕鯨船団に知らせるだけなら、別に大勢の治安要員は不要であろう。
 シーシェパード側に何らかの「犯罪行為」を認めた場合、接舷斬り込み戦術で当事者を逮捕すると言うつもりならば、我が捕鯨船団の周囲で警戒につくのが得策である。「大勢の治安要員」を同乗させてシーシェパードを尾行していると言うのが判らない。 
 
 第3に、「第2昭南丸」がどんな船かは知らないが、調査捕鯨船なのだから速度が特に速い船とは思えない。時速93キロを誇る超高速「未来型抗議船」は一体どうしたのだろうか。南氷洋の海面ではスペック通りの高速が出ず、調査捕鯨船如きを振り切れないのか、或いはこの尾行されているテロ船とは別行動を取っているかだが、4>からすると超高速テロ船が別行動を取っていて第2昭南丸に尾行されていないとしても、その高速を利して有効に働くようにはなっていないようだ。

 最大の疑問は、シーシェパードテロ船の意図だ。2>からすると我が第2昭南丸に接近したのはシーシェパード側だ。第2昭南丸が有効射程内で放水砲を発射したとすると、100mオーダーの相当近い距離まで近づいたはずだ。3>で述べているシーシェパード側が放水しなかったと言うのは俄に信じがたいが(我が方が何もしなくても、悪臭弾なる化学兵器を投げ込んでくるシーシェパードが、今回は放水砲使用を一方的に自重したなど、信じられようか。)、接近して置いて今度は振り切れずにおり、位置を我が捕鯨船団に通報されていて困っていると、記事は報じている。
 「接近したら追尾され、振り切れなくて困っている。」と主張しているシーシェパードは、ひょっとして最初の接近で第2昭南丸を鹵獲または撃沈する心算だったということではないか。
 だが「大勢の治安要員」に気づいてこれを断念した、ということであろうか。
 
 成る程、これなら説明が付く。
 記事には報じられていないが、シーシェパードの主張から合理的に推測するならば、シーシェパードは正しく、南氷洋の海賊であるわけだ。我が調査捕鯨船の鹵獲もしくは撃沈を意図している者は「海賊」とでも呼ぶしかあるまい。
 
 そうであるならば、「大勢の治安要員」を乗せた第2昭南丸をシーシェパードテロ船出港に合わせて単独派遣した我が捕鯨船団の先見の明は、大いに賞賛されて然るべきだろう。
 
 正に、先んずれば人を制すだ。
 
シー・シェパード、日本の調査捕鯨に「未来型抗議船」で対抗http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2663822/4904260