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(承前)協議は踊る1/2http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/31003530.html
2.鳩山政権の「方針」は、日米交渉再開の突破口たりうるか?

 さていかがであろうか。
 
 私の正直な感想は、此処まで無能無策振りを曝け出すと。「馬鹿につける薬は無い。」と言いたくなる。その馬鹿を選び、政権の座につけたのは、紛れも無く「日本国民の選択」なのであるが。
 
 とりあえず(43)で12/14に政府の「方針」は出た事になっている。「(1)普天間基地の移設先は3党協議で決めるが、当面決めない。 (2)普天間基地を辺野古移転した場合の環境的影響を評価する予算は計上する。」と。しかし(2)は日本の予算計上の話で、アメリカ側には何も関係ない。関係あるのは(1)だが、これでは(41)で12/11(金)にカート・キャンベル国務次官補らが国民新党の下地幹郎政調会長に12/18期限で突きつけた「現行案の受け入れ可否」に答えていない。
 あえて言えばあんな社民党やこんな国民新党との「3党協議で決める」のであるから、「現行案にYesにはなり様がない」と言う判断で(上記(2)の予算計上とは反するが)「No」である。
 即ち、米側は沖縄の海兵隊グアム移転予算を、来年度予算案に盛り込みようが無い。普天間基地が現行日米合意通りキャンプシュワブ=辺野古に移動するか故の海兵隊グアム移転である。何処に行くのかも判らない、行くかどうかも判らない( 移転先を決めないとはそういうことだ。)とあっては、来年度予算案に盛り込む筈がない。
 つまり、普通に考えれば沖縄の海兵隊グアム移転は少なくとも来年度の予算編成が決まるまで、1年以上遅れる事になる。週刊朝日が報じていると言う、「アメリカは普天間基地のグアム全面移転が本音」と言う楽観論(*1)が正しくない限り。その説が正しくない限り、勿論普天間基地は微動だにしないだろうし、米軍再編も中断が予想される。沖縄県民の「今そこにある危機」は継続される。変わりようが無い。
 
 言い換えれば、鳩山首相がその就任以来今までかけて漸く決めた「普天間基地移設問題の方針」は、日米交渉再開の入口ですらない。普天間基地移転先の代替案すらない「方針」では、交渉も議論も始めようがない。
 
 そればかりではない、この「方針」は普天間基地移設先の日本側代替案を民主・社民・国民新の3党で協議して決める事としてしまった。その移転先が容易に決まるものとは思われない。来年5月なんて説もあると言うから、日本側代替案を決めるのに、半年もかける心算らしい。
 その上で、半年後に日本側代替案が決まったとしても、この3党が合意した代替案を、米側がすんなり呑めるものになるとは全く思えない。そこから日米交渉を再開・再スタートできるか否かすら不明だ。
 現今の政治状況をかんがみると、現行の日米合意案を了解するであろう自民党政権が誕生するまで待つ方が得策と考えても不思議ではない。まあ、来年5月まで現政権がもったとしての話であるが。
 
 言い換えよう。
 週刊朝日が報じる通り、米側の本音が普天間基地のグアム全面移転にない限り、普天間基地も、海兵隊も、アメリカは移転させずに済む。沖縄は現状のままである。
 それは日本側の現政権が「普天間基地の移転先を今決めない」と決めたからであり、仮にこの先(何時になるのか知らないが)移転先案を決めたとしてもそれは日本案に過ぎず、これを了解するか否かは米側の胸三寸だからだ。
 現行日米合意があるのである。米側としては、これ以外の全ての案を拒否し続ける事が可能だ。事実、現在に至るまで少なくとも2回目の日米首脳会議行以降、米側のこの方針は些かなりともブレていない。そのうち(これまた何時になるかわからないが)民主党政権の方が力尽きると計算しても、不思議ではない。
 
 以上の事は今の今まで待つまでも無い。民主党が先の選挙で大勝し(*2)、政権を奪取した時点で自明だった筈だ。
 何度も書くのでいい加減「指にタコ」だが、もし民主党及び鳩山首相が普天間基地の「県外・国外移転」を実現する心算だったならば(*3)、少なくとも政権奪取直後から辺野古以外の「県外・国外移転」案を真剣に模索するはずだし、現行日米合意の経緯調査と言うのもその代替案を得るためのものであったはずだ。その上で最初日米首脳会議、鳩山首相の訪米時にその代替案をオバマ大統領に直接ぶつけてしかるべきだった筈だ。その結果第1回の日米首脳会談はいきなり険悪な雰囲気になったかもしれないが、少なくとも今のような対日不審には陥らずに済んだろう。
 
 鳩山首相は、民主党は、そんな事はかけらもせずに来た。

 そして今になっても普天間基地移設の「辺野古以外の代替案」さえ決められずに居る。報道をそのまま信じるならば、「辺野古意外とする」とすらも決め兼ねている。
 
 これでは「早期決着」など夢のまた夢。決着の前に民主党政権の寿命が尽きるだろう。
 普天間基地の辺野古移転が、その民主党政権寿命分(+ディレイ分)遅れるだけで。
 
 泰山鳴動蚤すら出ず。
 泰山が長い事鳴動する分、日本にも、アメリカにも、沖縄にも迷惑な事だ。


<注釈>
(*1) と言うよりは、願望論と思えるのだが。
(*2) 間違っちゃいけないんだが、社民党も、日本新党も、先の選挙では現状維持に過ぎない。勝っては居ない。
(*3) 選挙で訴えて、その選挙に勝ってしまったんだ。心算がなくても、公約だろう。