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 sat*atu**200* 様のコメントにより、沖縄のアメリカ軍は既にグアムに移転する計画があると言う説があることを知った。週刊朝日にそんな記事が載ったそうである。
 週刊朝日の記事は未だ不明だが、コメント主を手繰って同趣旨と思われる記事を見つけ出した。早速読んだが・・・サッパリ判らない。
 
 御教示を請う意味も含めて、コメントしてみよう。

1.「官僚が隠す沖縄海兵隊グアム全移転」 http://tanakanews.com/091210okinawa.htm 勝手な要約

 多くの記事から引用しており長いので要約させて貰う。ブログ主のコメントは()で囲み、直接は書かれていないが引用全体を通して主張していると思われる項目番号は【 】で囲む事にした。

(1) 「沖縄には1万8000人の海兵隊員がおり、グアムに移るのはそのうち8000人だけで、グアム移転後も沖縄に1万人残る」と報じられているが「1万8000人」は定数であり、実数は1万2500人である。

(2) 沖縄からグアムへ移動する「8000人」の内、司令部要員は3046人で、残りは実戦部隊と兵站部隊である。
 その内訳は以下の通り
 第3海兵師団部隊の地上戦闘要素(*1)(GCE、1100人)
 第1海兵航空団と付随部隊の航空戦闘要素(ACE、1856人)
 第3海兵兵站グループ(MLG)の兵站戦闘要素(LCE、2550人)(*2)
 
(3) 沖縄に居る海兵隊の実数は、軍人1万2500人、家族8000人の合計2万500人。
(4) 上記に対しグアムに受け入れ予定なのは「軍人8000人、家族9000人」合計1万7000人
(5) 総数で(3)から(4)を引けば、残りは20500-17000=3500人にしか過ぎない。
(6) 米軍再編の一環としての「省力化」を考えれば、米本土に戻される要員も多いだろうから、沖縄残存人数はもっと減る。

【(7)】 故に普天間基地移設問題は、グアムへの全面移転で決着するに違いない。

(8) (それを日本の官僚はひた隠しにしている。)

(9) (最終的に、海兵隊が沖縄から出ていった後、キャンプ・シュワブは自衛隊の基地となり、辺野古の宿舎は自衛隊が使うことになるのかもしれない)

(10) (グアム知事が普天間のグアム移転に反対したのは、移転に伴うインフラ整備費用を日本に出させるためである。)
 
(11) (鳩山政権はグアムに金を出さなくても、ただ米軍に撤退を要求するだけで、普天間基地を返還してもらえる。)


<注釈>
(*1) Element? ならば「小部隊」とか「分隊」とかいう訳の方がよさそうだ。
(*2) 上記の数字を以って同ブログは「グアムに移転する8000人は司令部中心」という外務省などの説明は明らかに間違い」と断じているが、首肯しかねる。司令部要員は、やはりグアムに移動する予定の4つの集団の最大集団である。他の集団は地上戦闘部隊、航空部隊、兵站部隊でバラバラだ。過半数ではないが「司令部中心」と言っても、別に誤りとはいえまい。


2.なるほど、週刊朝日ならありそうな記事だが・・・

 念のため断っておかないといけないが、上記に引用したのはとあるサイトであって、週刊朝日ではない。従ってこのサイトをいくら批評しても週間朝日の記事と繋がるかどうかは、週刊朝日の記事を読んでいない私にはわからない。
 
 その上で、引用した沖縄米軍グアム移転説を考察すると・・・
 
 まずは率直な感想。「陰謀史観と願望の混合物」。
 この記事を書いた田中 宇さんはフィリピンと同様に米軍が沖縄から出て行ってくれることを願っており、そうなりそうだと喜んでいる。その願望は沖縄県民の相応の数とも共有するものであろうが、同時にこの東アジア地域に覇を唱えようとする中国や、どうにも極東米軍が邪魔に思えて仕方ないであろう北朝鮮、ロシアとも共有しているものであろう。
 中国やロシアや北朝鮮が喜ぶのは彼らの勝手だが、日本として喜べないから困る。ソ連がロシアになって「北海道侵攻」の悪夢こそ減衰したとは言えるが、朝鮮半島有事や大陸の台湾侵攻の可能性はかえって増しているし、北朝鮮の核恫喝が何時核攻撃になるかも予断を許さない状況だ。そんな状況で極東米軍の屋台骨が揺らいでは、我が国としては最低限防衛力の大幅増強と、独自核武装を含む防衛政策の根源的見直しが必要になる。
 「民意がそれを求めている。」という説もあるが、その民意は「連立政権の共通公約に安全保障を盛り込まない」と言う暴挙をなした現政権を、先の衆院選挙で大勝させてしまった民意だ。こと安全保障に関する限り、「何を考えているのかサッパリ判らない。ひょっとして考えているかも疑わしい。」ものであり、鳩山首相と良い勝負の代物である。選挙となればそれがモノを言うのは認めるし、実際物を言っているからこその現状ではあるが、だからと言って「民意に安全保障を任せて安心」なぞしては居られない。
 
 当ブログの一番目立つところに掲げた記事が「民主主義国家の国民に軍事知識は不可欠である」を掲げる所以である。
 
 が、まあ、所詮は考え方の相違だ。当該記事は沖縄から米軍が居なくなる事を喜び、私はそんな事態を懸念する。
 問題は、米軍が居なくなるかであるが、当該記事は既に居なくなる計画になっていると報じている。あれこれ記事を引用して、「アメリカは既に普天間のグアム移設を計画している。」と言うのである。
 だとするならば、オバマ大統領が第2回日米首脳会談で「現行日米合意=普天間基地の辺野古移転の履行」を期待し、「現行日米合意以外の決着を探るため年内決着は無理」と言うのに駐日米大使が「激怒」し、現行日米合意を前提とする米側としない事を希望する日本側とで日米作業部会が頓挫しているのは何故だろう。
 オバマ大統領も鳩山首相も「官僚に騙され」、騙され続けて居るのか?「普天間基地の辺野古移転」と言う「官僚の作り出した幻」に?だとすると、日米両側の官僚が結託して作り出した幻か?
 
 官僚が左様な「幻」を作り出す理由はさらにわからない。在日米軍は確かに日本の安全保障にとって重大な要素だが、在日米軍が沖縄に居ることによって官僚の権利権力が増すという理屈は理解できないし、ましてや「本当は居なくなるんだが、あたかも居るように思わせる」理由はもっとわからない。あるとしたら、「グアム移転費用の吊り上げ」があるかもしれないが、それはアメリカの軍及び官僚には一時的メリットであろうが、日本の官僚には直接のメリットは無い。財政を圧迫するという意味では、日本の官僚にはデメリットだろう。
 私が「陰謀史観」と評するのは、その根拠の薄弱さゆえである。「確たる証拠は無いものの、こう考えるとあれこれ説明がつく。」と言うのは陰謀史観の常套句で、それだけに俗耳には入りやすいが同時に胡散臭く、少なくとも眉に唾しない事には聞けない、読めないのである。(典型的なのは、UFOに関する記事やら報道やらをもみ消すと言う「黒服の男達」だろう。何だって、映画にもされちまったような「制服」を何時までも着ているんだぁ?)
 
 仮説は仮説として有力ではあるが、検証されないうちは定説にはなりえないのである。