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本日の報道によると、普天間基地移設問題は、昨日開催された仲井真沖縄県知事と鳩山首相の正式会談を受け、現行日米合意に沿った形で年内決着を図るという。
先行記事「愚中の愚―鳩山首相の無能、沖縄県民を怒らす―」にも書いた通り、早期決着を望むならば他の解決策はまず無いのだから、漸く鳩山首相は現実に目覚めたと言えない事はない。
が、だとすると先の衆院選挙以来の2回の日米首脳会談まで巻き込んだ、今回の騒ぎは一体なんだったのだろうか。
本日の報道によると、普天間基地移設問題は、昨日開催された仲井真沖縄県知事と鳩山首相の正式会談を受け、現行日米合意に沿った形で年内決着を図るという。
先行記事「愚中の愚―鳩山首相の無能、沖縄県民を怒らす―」にも書いた通り、早期決着を望むならば他の解決策はまず無いのだから、漸く鳩山首相は現実に目覚めたと言えない事はない。
が、だとすると先の衆院選挙以来の2回の日米首脳会談まで巻き込んだ、今回の騒ぎは一体なんだったのだろうか。
1.普天間基地移設を巡るここ数日の動き
ここ1週間ほどの動きをまとめると、以下のようになる。
(1) 11/25 社民党は緊急提言を打ち出し、普天間基地の即時返還と県外国外への移設を求めた。つまり現行日米合意を否定しろと、民主党政権に迫った。
そんな即時返還にアメリカが応じるかと言うのは、社民党の知った事ではないらしい。つまり社民党は政権与党ながら、政府の外交交渉には、全く責任を持たないと自ら宣言した。
社民が緊急提言「普天間飛行場の即時閉鎖・返還」「硫黄島やグアムなど県外・国外への移設を」 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091125/plc0911251432007-n1.htm 2009.11.25 14:31
そんな即時返還にアメリカが応じるかと言うのは、社民党の知った事ではないらしい。つまり社民党は政権与党ながら、政府の外交交渉には、全く責任を持たないと自ら宣言した。
社民が緊急提言「普天間飛行場の即時閉鎖・返還」「硫黄島やグアムなど県外・国外への移設を」 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091125/plc0911251432007-n1.htm 2009.11.25 14:31
(2) 11/27早朝、鳩山首相と仲囲真沖縄県知事は秘密裏に会談し、普天間基地移設問題について話し合った。
(3) 11/27 社民党と国民新党の両党首は会談し、「政府と両党政策責任者で構成する米軍普天間飛行場移設問題に関する協議会を設置するよう首相官邸サイドに求めることで合意した。」と発表。
亀井国民新党党首は「県外・国外への移転が基本だと考えている」と発言し、先の社民党緊急提言に国民新党も同調している。国民新党もまた政権与党ながら、政府の外交交渉に全く責任を持たないと宣言した事になる。
社民、国民新が普天間見直しで連携 「県外・国外移転が基本」http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091127/plc0911271318011-n1.htm
亀井国民新党党首は「県外・国外への移転が基本だと考えている」と発言し、先の社民党緊急提言に国民新党も同調している。国民新党もまた政権与党ながら、政府の外交交渉に全く責任を持たないと宣言した事になる。
社民、国民新が普天間見直しで連携 「県外・国外移転が基本」http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091127/plc0911271318011-n1.htm
(4) 11/28 前日に沖縄県知事と鳩山首相が秘密会談を実施したとの報道が流れた。11/30に両者の公式会談が行われる事は既知であり、その下調整に普天間基地問題を話し合ったのだろうと言う、極めて正確な報道だが、首相周辺は秘密会談の存在を否定した。
沖縄県知事と秘密会談か 首相サイドは否定 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091128/plc0911281935008-n1.htm
沖縄県知事と秘密会談か 首相サイドは否定 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091128/plc0911281935008-n1.htm
(5) 11/29夜、記者会見した鳩山首相本人は、11/27に沖縄県知事と秘密会談したことを認め、普天間基地を中心に話し合った事を認めた。
この時点で、秘密会談は秘密でなくなった訳だ。
鳩山首相が沖縄知事との秘密会談認める 普天間問題 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091129/plc0911292213014-n1.htm
この時点で、秘密会談は秘密でなくなった訳だ。
鳩山首相が沖縄知事との秘密会談認める 普天間問題 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091129/plc0911292213014-n1.htm
(6) 11/30AM 鳩山首相と仲井真沖縄県知事の公式会談が行われ、この席で仲井真知事は「「県外、国外移設への要求が高まっている」と、県民感情を説明した上で、政府が普天間飛行場の早期の危険性除を求めた。」と報じられている。これに対し鳩山首相は結論を出す時期を明言しなかったが、「年内決着も視野」と報じられているから、来年1月の市長選挙を待つ構えではなくなったらしい。
首相が沖縄県知事と普天間問題で会談 年内決着も視野に検討 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091130/plc0911301151009-n1.htm
首相が沖縄県知事と普天間問題で会談 年内決着も視野に検討 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091130/plc0911301151009-n1.htm
(7) 11/30昼 福島社民党党首は都内で記者団に対し、普天間移設問題を「拙速で決めるなと強く言いたい。」と強調した。
「拙速に決めるな。」と言えば聞こえは良いが、それは「早期には解決するな。」と同義語であり、時間がたつほど解決が難しくなるとされる現状では「解決するな。」と言うのとほぼ等しい。
日米安保条約の弱体化をマニュフェストに掲げる社民党としては、「国民との約束」を果たそうとしたのだろう。
社民・福島党首、普天間移設 「拙速に決めるな」 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091130/plc0911301312012-n1.htm
「拙速に決めるな。」と言えば聞こえは良いが、それは「早期には解決するな。」と同義語であり、時間がたつほど解決が難しくなるとされる現状では「解決するな。」と言うのとほぼ等しい。
日米安保条約の弱体化をマニュフェストに掲げる社民党としては、「国民との約束」を果たそうとしたのだろう。
社民・福島党首、普天間移設 「拙速に決めるな」 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091130/plc0911301312012-n1.htm
(8) 12/1 現行日米合意に沿って普天間移設を年内決着する方向で政府が動き出したと報じられている。
つまり、社民―国民新党の提言は門前払いを喰った形だ。
普天間移設「年内決着」へかじ 現行計画の沖合移動案軸に http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091201/plc0912010055001-n1.htm
つまり、社民―国民新党の提言は門前払いを喰った形だ。
普天間移設「年内決着」へかじ 現行計画の沖合移動案軸に http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091201/plc0912010055001-n1.htm
2. 鳩山首相の行動の怪
さて、振り返って如何だろうか。
福島社民党党首と亀井国民新党党首が道化を演じたのは、政権与党の地位にありながら外交に全く責任を負わない無責任さの報いだから、同情はしない。
漸く「現実」に目覚めた現政権と鳩山首相には、まあ「オメデトウ」と言っておこう。
しかしながら、此処に至る経緯の惨憺たるや、言語に絶するものがある。
先述した此処1週間ほどの間でも、11/30の沖縄県知事との公式会談を前に、秘密会談で感触確認しておこうと言うのは、理解できる。が、その秘密が忽ち露見したり、露見したら「首相周辺」はこれをいたずらに否定したり、かと思うとその翌日には鳩山首相自身が秘密会議の存在と議題を暴露してしまったりしているのは、一体どう考えたらよいのだろうか。
秘密にする必要が無ければ、秘密会談などせずに最初から公式会談をすれば良いのである。
秘密にする必要があるのならば、その秘密は守るべきであり、翌日にはマスコミにばれてしまう防諜体制も、それがばれたらシラを切るにしても一日しかシラを切らず、公式会談の前に秘密会談を暴露してしまう鳩山首相の危機管理体制も、全くお話にならない。
まあ、秘密会談をした事を忘れてしまわなかっただけ、ましと見るべきだろうか。
それとも、秘密である事を忘れてしまって、記者団に語ってしまったのだろうか。
福島社民党党首と亀井国民新党党首が道化を演じたのは、政権与党の地位にありながら外交に全く責任を負わない無責任さの報いだから、同情はしない。
漸く「現実」に目覚めた現政権と鳩山首相には、まあ「オメデトウ」と言っておこう。
しかしながら、此処に至る経緯の惨憺たるや、言語に絶するものがある。
先述した此処1週間ほどの間でも、11/30の沖縄県知事との公式会談を前に、秘密会談で感触確認しておこうと言うのは、理解できる。が、その秘密が忽ち露見したり、露見したら「首相周辺」はこれをいたずらに否定したり、かと思うとその翌日には鳩山首相自身が秘密会議の存在と議題を暴露してしまったりしているのは、一体どう考えたらよいのだろうか。
秘密にする必要が無ければ、秘密会談などせずに最初から公式会談をすれば良いのである。
秘密にする必要があるのならば、その秘密は守るべきであり、翌日にはマスコミにばれてしまう防諜体制も、それがばれたらシラを切るにしても一日しかシラを切らず、公式会談の前に秘密会談を暴露してしまう鳩山首相の危機管理体制も、全くお話にならない。
まあ、秘密会談をした事を忘れてしまわなかっただけ、ましと見るべきだろうか。
それとも、秘密である事を忘れてしまって、記者団に語ってしまったのだろうか。
3. 早期決着唯一の選択ではある。が、一体この騒ぎはなんだったのか?
何度も強調している通り、普天間基地移設問題を早期に解決するには、現行の日米合意に沿って決着する他ない。
他の決着を求めるのは勝手だが、それは現行日米合意を破棄する事、日米交渉を再度始める事であり、米側にはその必要性が殆ど無い事、即ち開始する事すら困難な、先の見えない交渉である。
2回も日米首脳会談があったのだから、全力で当たれば先の見えるところまで激論を戦わせると言う事は出来たかも知れない。
だが鳩山首相はそんな事はせず、訪米時にはただファーストネームで呼び合い、来日時には「Trust Me!」と大見得切って日米共同作業部会の発足で合意しただけ。その合意も現行日米合意を前提にするのかでは合意もせず、会談が終わった翌日に「前提にしない。」と公言して、オバマ大統領をペテンにかけた形を作る始末。
それもこれも、鳩山首相自身の発言する方針がコロコロ変わる事が根本原因であると私は考える。政治的決断もリーダーシップもあったものではない。
それでは閣内でさえ意見が不統一になり、連立与党にいたっては「沖縄県民の思い」に阿って日米安保体制の弱体化を目指し、足を引っ張るばかりとなるのも、無理は無い。
それでもナントカかんとか「早期決着」への道筋が付きそうなのは、此処までこじれた普天間基地移転問題を、早期決着を重視して現行日米合意に基本的に沿うとした仲井真沖縄県知事の決断に依る所大であろう。
来年の市長選結果だの、知事選結果だのを待つなどと言っていたら早期決着は不可能であるし、決着自体が吹き飛ぶ可能性さえ考えられた。
勿論、上記の「早期決着」方針を、鳩山首相が明日忘れてしまう可能性は、皆無ではないが。
他の決着を求めるのは勝手だが、それは現行日米合意を破棄する事、日米交渉を再度始める事であり、米側にはその必要性が殆ど無い事、即ち開始する事すら困難な、先の見えない交渉である。
2回も日米首脳会談があったのだから、全力で当たれば先の見えるところまで激論を戦わせると言う事は出来たかも知れない。
だが鳩山首相はそんな事はせず、訪米時にはただファーストネームで呼び合い、来日時には「Trust Me!」と大見得切って日米共同作業部会の発足で合意しただけ。その合意も現行日米合意を前提にするのかでは合意もせず、会談が終わった翌日に「前提にしない。」と公言して、オバマ大統領をペテンにかけた形を作る始末。
それもこれも、鳩山首相自身の発言する方針がコロコロ変わる事が根本原因であると私は考える。政治的決断もリーダーシップもあったものではない。
それでは閣内でさえ意見が不統一になり、連立与党にいたっては「沖縄県民の思い」に阿って日米安保体制の弱体化を目指し、足を引っ張るばかりとなるのも、無理は無い。
それでもナントカかんとか「早期決着」への道筋が付きそうなのは、此処までこじれた普天間基地移転問題を、早期決着を重視して現行日米合意に基本的に沿うとした仲井真沖縄県知事の決断に依る所大であろう。
来年の市長選結果だの、知事選結果だのを待つなどと言っていたら早期決着は不可能であるし、決着自体が吹き飛ぶ可能性さえ考えられた。
勿論、上記の「早期決着」方針を、鳩山首相が明日忘れてしまう可能性は、皆無ではないが。
4.仮に現行日米合意で年内決着するものとして、その収支決算
①デメリット
(1) 今回の問題について鳩山首相の発言は、二転三転四転し、国内国外ともに大いにその信用を失墜させた。
(2) 国外としては、2度にわたる日米首脳会談にも拘らず普天間基地移設問題に付いて具体的な方策は話し合われる事なく、「日米同盟の深化」と言うキャッチフレーズとは裏腹に「ユキオ―バラク」関係が如何に皮相的で実が無いものであるかを諸外国に印象付けた。
これは日米同盟の弱体化を露呈した形であり、社民党のマニュフェストには合致し、中国もロシアも北朝鮮も大いに「歓迎」する事であろうが、我が国の利益にはならない。
(3) 上記(2)にも関わるが、「ユキオ―バラク」と呼び合い、「Trust Me.」とターミネーター張りの大見得を切っておいて、首脳会談が終わった途端に「現行日米合意は前提としない。オバマ大統領は前提としているだろうが。」と言ってのけた鳩山首相は、日本国首相と合衆国大統領の個人的信頼関係を大いに損ねたと見てまず間違いない。
(4) 国内向けには、特に沖縄県民に「儚い希望」を与えて然る後に「絶望」させた。
鳩山首相と民主党政権は、
> 日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。
と成文化されたマニュフェストを覆した事にはならないと主張するだろうが、それこそ「沖縄県民の思い」がそんな事で収まるとは思えない。
つまり今回の一連の騒動は、沖縄県民対本土国民と言う対立の図式を先鋭化させた。
沖縄の支配を狙う外国勢力からすると、大変おいしい話だろう。
(1) 今回の問題について鳩山首相の発言は、二転三転四転し、国内国外ともに大いにその信用を失墜させた。
(2) 国外としては、2度にわたる日米首脳会談にも拘らず普天間基地移設問題に付いて具体的な方策は話し合われる事なく、「日米同盟の深化」と言うキャッチフレーズとは裏腹に「ユキオ―バラク」関係が如何に皮相的で実が無いものであるかを諸外国に印象付けた。
これは日米同盟の弱体化を露呈した形であり、社民党のマニュフェストには合致し、中国もロシアも北朝鮮も大いに「歓迎」する事であろうが、我が国の利益にはならない。
(3) 上記(2)にも関わるが、「ユキオ―バラク」と呼び合い、「Trust Me.」とターミネーター張りの大見得を切っておいて、首脳会談が終わった途端に「現行日米合意は前提としない。オバマ大統領は前提としているだろうが。」と言ってのけた鳩山首相は、日本国首相と合衆国大統領の個人的信頼関係を大いに損ねたと見てまず間違いない。
(4) 国内向けには、特に沖縄県民に「儚い希望」を与えて然る後に「絶望」させた。
鳩山首相と民主党政権は、
> 日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。
と成文化されたマニュフェストを覆した事にはならないと主張するだろうが、それこそ「沖縄県民の思い」がそんな事で収まるとは思えない。
つまり今回の一連の騒動は、沖縄県民対本土国民と言う対立の図式を先鋭化させた。
沖縄の支配を狙う外国勢力からすると、大変おいしい話だろう。
② メリット
(1) 鳩山首相と元民主党政権は「沖縄県民の声を聞く」と言う姿勢を見せる事ができた。
同時に「聞く耳」をもつだけで、「実行する手」は全く無い事も暴露した。
(1) 鳩山首相と元民主党政権は「沖縄県民の声を聞く」と言う姿勢を見せる事ができた。
同時に「聞く耳」をもつだけで、「実行する手」は全く無い事も暴露した。
(2) 普天間基地移転を巡る現行の日米合意は、民主党政権下でも有効であり、外交的取り決めは政権交代ぐらいでは覆されないと言う常識が(漸く)再確認された。
(3) 上記2メリットに対し多くの且つ深刻なデメリットを生じた今回の騒動は、鳩山首相並びに民主党政権の寿命を縮めた公算大である。
私は上記(3)を、今回の騒動の最大のメリットと考える。
とは言え、未だ「心が折れていない」鳩山首相が辞任なり不信任なりで退陣する様子は無い。
鳩山首相「折れてない」 政権運営の意欲強調http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091201/plc0912011203008-n1.htm
とは言え、未だ「心が折れていない」鳩山首相が辞任なり不信任なりで退陣する様子は無い。
鳩山首相「折れてない」 政権運営の意欲強調http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091201/plc0912011203008-n1.htm
心が無いならば、折れようもあるまい。
如何に、国民。