端的に言おう、鳩山首相は無能である。
1. 普天間基地移設問題に於ける鳩山首相の無能ぶり
鳩山首相の無能振りを示す材料には事欠かないのであるが、此処では報じられている普天間基地移設問題に限ってその無能振りを検証してみよう。
この問題は時系列を追っていくと凡そ次のようになるだろう。
(1) 先回の衆院選挙前、民主党はそのマニュフェストに於いて、以下の文言を掲げていた。
1> 日米地位協定の改定を提起し、
2> 米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。
問題は上記の2>の「在日米軍基地のあり方についても見直し」である。具体的にマニュフェストには書かれていないが、これは「普天間基地の移転は沖縄県外を目指す。」と喧伝された。言うまでもないがこの見直しは「沖縄県内・キャンプシュワブへの早期移設」とする日米合意を一方的に日本側の都合で日本側に有利に「見直す」ものであり、始める事さえ難しい日米交渉のやり直しが伴うものと思われたが、鳩山首相なり民主党なりがまじめにその提案法や代替案を検討した形跡は見られない。
連立政権にいたっては、安全保障政策を共通公約としてまとめないと言う事態だったので、まともに外交や安保は扱われず、普天間基地移設問題は「県外へ」と言うキャッチフレーズだけが残っていた。
(2) 上記事態に対し、沖縄県民が期待したのは無理からぬところだろう。キャンプシュワブ=辺野古周辺の住民にも一定数の移設反対派は居るだろうからなおさらだ。結果として衆院選民主党圧勝の一因であったろう事は、想像に難くない。
(3) さて、「圧倒的支持」を受けて「政権交代」を果たした民主党・鳩山首相は、勇躍日米再交渉に乗り出すかと思いきや、さにあらず。
首相に就任早々に米国を訪問し、オバマ大統領と首脳会談もしたのだが、普天間基地の「ふ」の字も出さずにファーストネームを呼び合って喜ぶだけに終わった。
(4) そうは言っても普天間基地を現行計画通り早期に移設するには早期の決着が必要であり、今度は今年11月にオバマ大統領が訪日するのだから、そのときまでに何らかの具体的提案が出るものと、普通は思うのだろうが、鳩山首相は思わない。閣僚の仲には年内決着の必要を認めるものも居るのだが、その閣僚からして県外県内国外とあれこれ思いつきは言うものの、具体的提案と言う形には全然ならず、鳩山首相に至っては「来年1月の名護市長選の結果を注視して、私が判断する。」と豪語する始末。
(5) そうこうする内にオバマ大統領は訪日してしまい、「日米同盟の深化」とこれまたキャッチフレーズ先行の共同宣言に「普天間基地移設問題を扱う日米作業グループを早期に結成する」と言うだけの極めて曖昧な合意に終わった。
(6) その曖昧さは鳩山首相自らが暴露した。オバマ大統領が離日するか否かの内に記者会見で鳩山首相は「オバマ米大統領とすれば、日米合意を前提と思っていたいだろうが、それが前提なら作業グループを作る必要がない」と発言し、現行の日米合意廃棄を宣言して見せた。
首相、現行計画を前提とせず 普天間移設問題 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091114/plc0911142144010-n1.htm
鳩山首相の精神状態を疑う http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30632844.html
(7) 鳩山首相と言うトップがこの調子である。なおかつ閣内には常識的に現行の日米合意に近い形の決着を望む者も居るし、沖縄県内でも首相自身現行合意を「重視する」と言って見たりするので方針はサッパリ定まらない。
(8) 上記のような事態では、早速「早期に発足した」日米作業グループが、全く交渉にならないのは当然だ。当然、合意の目処など立っていない。
(9) 一方社民党は社民党で、その恐るべきマニュフェストに則り、普天間基地が沖縄県外に移設しなければ政権離脱も辞さないと揺さぶりをかけている。
(10) 鳩山首相は「選挙結果を見る」ため来年1月以降までもこの問題を引きずる心算らしい。少なくともその分、普天間基地の移設は遠のく。
それに、どうも鳩山首相は忘れてしまっているようでならないのだが、鳩山首相が決断するとしても、それが今アメリカの主張する「普天間基地のキャンプシュワブ=辺野古周辺への移転」で無い限り、その決断は日米再交渉のスタート時点でしかなく、そこから漸く交渉が始まるのである。
(11) かような事態にあっては、以下にテレビ朝日が民主党支持率を支えようと、沖縄県民から鳩山首相不振の声が上がるのは、理の当然だろう。
「普天間基地の早期移転」と言う現行日米合意以上の「見果てぬ夢」「普天間基地の県外移転」と言う夢を再び見させられて、早期移転さえ失いかねないのであるから。
「民主党にだまされた」 沖縄県民に広がる鳩山政権不信 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091129/plc0911292214015-n1.htm
この問題は時系列を追っていくと凡そ次のようになるだろう。
(1) 先回の衆院選挙前、民主党はそのマニュフェストに於いて、以下の文言を掲げていた。
1> 日米地位協定の改定を提起し、
2> 米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。
問題は上記の2>の「在日米軍基地のあり方についても見直し」である。具体的にマニュフェストには書かれていないが、これは「普天間基地の移転は沖縄県外を目指す。」と喧伝された。言うまでもないがこの見直しは「沖縄県内・キャンプシュワブへの早期移設」とする日米合意を一方的に日本側の都合で日本側に有利に「見直す」ものであり、始める事さえ難しい日米交渉のやり直しが伴うものと思われたが、鳩山首相なり民主党なりがまじめにその提案法や代替案を検討した形跡は見られない。
連立政権にいたっては、安全保障政策を共通公約としてまとめないと言う事態だったので、まともに外交や安保は扱われず、普天間基地移設問題は「県外へ」と言うキャッチフレーズだけが残っていた。
(2) 上記事態に対し、沖縄県民が期待したのは無理からぬところだろう。キャンプシュワブ=辺野古周辺の住民にも一定数の移設反対派は居るだろうからなおさらだ。結果として衆院選民主党圧勝の一因であったろう事は、想像に難くない。
(3) さて、「圧倒的支持」を受けて「政権交代」を果たした民主党・鳩山首相は、勇躍日米再交渉に乗り出すかと思いきや、さにあらず。
首相に就任早々に米国を訪問し、オバマ大統領と首脳会談もしたのだが、普天間基地の「ふ」の字も出さずにファーストネームを呼び合って喜ぶだけに終わった。
(4) そうは言っても普天間基地を現行計画通り早期に移設するには早期の決着が必要であり、今度は今年11月にオバマ大統領が訪日するのだから、そのときまでに何らかの具体的提案が出るものと、普通は思うのだろうが、鳩山首相は思わない。閣僚の仲には年内決着の必要を認めるものも居るのだが、その閣僚からして県外県内国外とあれこれ思いつきは言うものの、具体的提案と言う形には全然ならず、鳩山首相に至っては「来年1月の名護市長選の結果を注視して、私が判断する。」と豪語する始末。
(5) そうこうする内にオバマ大統領は訪日してしまい、「日米同盟の深化」とこれまたキャッチフレーズ先行の共同宣言に「普天間基地移設問題を扱う日米作業グループを早期に結成する」と言うだけの極めて曖昧な合意に終わった。
(6) その曖昧さは鳩山首相自らが暴露した。オバマ大統領が離日するか否かの内に記者会見で鳩山首相は「オバマ米大統領とすれば、日米合意を前提と思っていたいだろうが、それが前提なら作業グループを作る必要がない」と発言し、現行の日米合意廃棄を宣言して見せた。
首相、現行計画を前提とせず 普天間移設問題 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091114/plc0911142144010-n1.htm
鳩山首相の精神状態を疑う http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30632844.html
(7) 鳩山首相と言うトップがこの調子である。なおかつ閣内には常識的に現行の日米合意に近い形の決着を望む者も居るし、沖縄県内でも首相自身現行合意を「重視する」と言って見たりするので方針はサッパリ定まらない。
(8) 上記のような事態では、早速「早期に発足した」日米作業グループが、全く交渉にならないのは当然だ。当然、合意の目処など立っていない。
(9) 一方社民党は社民党で、その恐るべきマニュフェストに則り、普天間基地が沖縄県外に移設しなければ政権離脱も辞さないと揺さぶりをかけている。
(10) 鳩山首相は「選挙結果を見る」ため来年1月以降までもこの問題を引きずる心算らしい。少なくともその分、普天間基地の移設は遠のく。
それに、どうも鳩山首相は忘れてしまっているようでならないのだが、鳩山首相が決断するとしても、それが今アメリカの主張する「普天間基地のキャンプシュワブ=辺野古周辺への移転」で無い限り、その決断は日米再交渉のスタート時点でしかなく、そこから漸く交渉が始まるのである。
(11) かような事態にあっては、以下にテレビ朝日が民主党支持率を支えようと、沖縄県民から鳩山首相不振の声が上がるのは、理の当然だろう。
「普天間基地の早期移転」と言う現行日米合意以上の「見果てぬ夢」「普天間基地の県外移転」と言う夢を再び見させられて、早期移転さえ失いかねないのであるから。
「民主党にだまされた」 沖縄県民に広がる鳩山政権不信 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091129/plc0911292214015-n1.htm
以上の経緯から明らかだとは思うが、私が何故鳩山首相を無能と断じるかを改めてまとめてみよう。
(1) 方針が一貫しない。「普天間基地を沖縄県外に移設する」と言う衆院選当時の公約を守ろうとすると、日米安保を揺るがせかねないハードな交渉を、それもそう粋に決着しなければならない。その方針が明らかで一貫しているならば、少なくとも政権奪取直後の米国訪問時の日米首脳会談で現行日米合意の代案を提示しなければならず、「ユキオ―バラク」と呼び合って喜んでいる暇など無い筈だ。その場合いきなり激論になったかもしれないが、少なくとも日米交渉は始められたろうが、彼はそうしていない。
(1) 方針が一貫しない。「普天間基地を沖縄県外に移設する」と言う衆院選当時の公約を守ろうとすると、日米安保を揺るがせかねないハードな交渉を、それもそう粋に決着しなければならない。その方針が明らかで一貫しているならば、少なくとも政権奪取直後の米国訪問時の日米首脳会談で現行日米合意の代案を提示しなければならず、「ユキオ―バラク」と呼び合って喜んでいる暇など無い筈だ。その場合いきなり激論になったかもしれないが、少なくとも日米交渉は始められたろうが、彼はそうしていない。
(2) 交渉態度に誠意が見られない。これは日米も、沖縄県民に対してもそうだ。
外交交渉と言うのは、必ずしも誠実である必要は無い。が、誠実と見られるのは利点であるし、そのためには往々にして本当に誠実であるの事が最大の有利をもたらすものである。
と言うのに鳩山首相は、上記(6)に見られるように日米交渉開始の前提すらも覆し、オバマ大統領をペテンにかけたも同然である。これでは誠意は認められない。
況や沖縄県民に対しては、リップサービス以上のことは何一つやっていない。
(3) 上記(1)(2)とも連動するのだが、言っている事が全く信用できない。昨日言ったことと今日言っている事が何の脈拍も説明も無く食い違い、数年前とでは天と地ほどもかけ離れる、少なくとも「かけ離れているとばれている」ようでは、交渉者としても為政者としても、無能と言わざるを得まい。
外交交渉と言うのは、必ずしも誠実である必要は無い。が、誠実と見られるのは利点であるし、そのためには往々にして本当に誠実であるの事が最大の有利をもたらすものである。
と言うのに鳩山首相は、上記(6)に見られるように日米交渉開始の前提すらも覆し、オバマ大統領をペテンにかけたも同然である。これでは誠意は認められない。
況や沖縄県民に対しては、リップサービス以上のことは何一つやっていない。
(3) 上記(1)(2)とも連動するのだが、言っている事が全く信用できない。昨日言ったことと今日言っている事が何の脈拍も説明も無く食い違い、数年前とでは天と地ほどもかけ離れる、少なくとも「かけ離れているとばれている」ようでは、交渉者としても為政者としても、無能と言わざるを得まい。
(4) 問題解決のビジョンが見られない。鳩山首相自身にそのビジョンが描けているとも思えない。方針が一貫しなければ、ビジョンも無いのは当たり前ではあるが。