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 報じられているのは、中国が温室効果ガス=二酸化炭素の排出量削減目標値を発表したというもの。中国は米国と並んだ二酸化炭素排出大国であるから、米中両国が二酸化炭素排出量を減らさないと、実質の二酸化炭素は減らないのが道理だ。
 で、その発表された二酸化炭素排出量削減目標値は・・・
>国内総生産(GDP)あたりの二酸化炭素排出量を2020年までに05年比で40~45%削減

 「40~45%削減」と言う数字だけ見ると、鳩山首相が打ち出した「25%削減」よりも大幅かのように思えてしまうが「国内総生産(GDP)あたり」となっているところが味噌。中国はここのところ好調な経済成長を続けており、続けておりどころか年率8%の成長率を確保しないと、社会矛盾が噴出して国が保たないまで言われている「成長依存」国家だ。つまり「国内総生産(GDP)あたり」としておけば、GDPが増えた分は二酸化炭素を減らさなくて済む。
 
 年8%の成長率をコンスタントに維持したとして、05年から2020年までは15年間だから、単純計算で120%の成長でありGDPは2.2倍に拡大する勘定。従って「国内総生産(GDP)あたりのに酸化炭素排出量」を40%削減したとしても、二酸化炭素排出の絶対量は32%増加している。
 
  100% + (8% × 15年)= 220%
( 100% + (8% × 15年))× (100%-40%)/100% = 132%

 これが「毎年前年比8%の成長」となると複利計算になるからGDPも二酸化炭素排出量枠も増加して、3倍以上になる。従って国内総生産(GDP)あたりの二酸化炭素排出量」を40%削減したとしても、二酸化炭素排出の絶対量は90%も増加する。
 絶対量としては全然削減していないのである。何とも巧妙な「数値目標」設定ではないか。
 
 (100% + 8%)^15年間 = 317%
((100% + 8%)^15年間)× (100%-40%)/100% = 190%

 無論、中国の経済成長がいつまでも続くとは限らない。
 だが、年率8%の成長率が無いと国が安定しないとして「保八」なんて標語がまかり通ってしまう中国で、成長率の鈍化は、国としての不安定かを招く公算大であり、2020年時点の中国は二酸化炭素排出量なんて問題には係わっていられない状況となるか、或いは現中国共産党政権が無くなっているかであり、どちらにしても現共産党政権は、今回打ち出した「数値目標」を守らずに済ませられる。
 
 外交とはこうやるものだ。
 
 岡田外相と鳩山首相は、中国の爪の垢でも煎じて飲むのが宜しかろう。

【追記】 実質中国のに酸化炭素排出量は増加するのだから、このAFP報道のタイトルは、ミスリードと言うべきだろう。