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 報じられているのはオバマ米大統領来日に伴う日米首脳会談後の記者会見である。
 日米同盟上の最大の懸念事項となっている普天間基地移転問題については、

>鳩山、オバマ両首脳は同日の会談で、問題の早期解決を目指すことを確認した。

と報じられている。
 同問題については先頃の鳩山首相訪米でも「先送り」とされ、今回も「オバマ大統領訪日前に結論は出さない。」と鳩山首相が公言していただけに、最低限合意できそうな条件だけ合意して「日米首脳会談は成功」と喧伝したいのだろうと言うことは良く判るのだが・・・「早期解決を目指す」と言うことはまだ解決していないと言うこと。つまりは今回も「先送り」以外の何者でもない。

 「バラク-ユキオ」で呼び合おうが、「ロン-ヤス」で呼び合おうが、解決していないものは解決していないのである。
 
 それでもまだ「早期に解決」を図る以上それ相応の見通しなり、ヴィジョンなり、日程案なりがあると思うのが普通であろう。
 さらには、その「早期の解決」に向けて動き出す以上、NYタイムズ紙が伝えるホワイトハウス高官の言のように現状の日米合意の履行を協議のスタートラインなり、叩き台なりとして交渉がスタートする、と思うのもまたまっとうな判断であろう。
 普天間で米大統領「譲歩」 NYタイムズhttp://sankei.jp.msn.com/world/america/091114/amr0911141023009-n1.htm

 ところが鳩山首相は、「問題の早期解決を目指す」その舌の根の乾く間もあらばこそ、現行の日米合意に基づく計画を、前提にすらしないのだそうである。
 
首相、現行計画を前提とせず 普天間移設問題 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091114/plc0911142144010-n1.htm

 これは一体どういうことか?
 今の日米合意は、前・自民党政権時代とは言え種々の紆余曲折を経て漸く日米合意に達したものであり、そうなればこそアメリカ側にはこれを変更する理由は無い。今回は「早期解決を目指す」と言うことで米側から交渉の余地を見せた形だが、早期の解決を目指すからこそ一度は合意した日米合意を前提にし、今から白紙状態で交渉を開始したりしないのは自明のことだ。上記報道にも
>大統領は同日の演説で、作業グループについて「すでに達した合意を履行するためのもの」
>と述べていた。
とはっきりとある。
 それぐらいは(流石の)鳩山首相も理解できるらしいのだが、それでも報じられているところでは、
>「オバマ米大統領とすれば、日米合意を前提と思っていたいだろうが、
>それが前提なら作業グループを作る必要がない」と述べた。
そうである。
 
 日米首脳会談では、鳩山首相自身が
>普天間問題は難しい問題だが、時間が経つほど、解決はより困難になるとの見方を示した。
はずであるのに。

 つまり、
① 日米首脳会談で「作業グループを作り、早期に解決を図る。」事で合意した。
② この作業グループは現行日米合意を前提とするか否かは合意(どころか、多分議論も)していない。
③ 米側は、「早期快活を図る作業グループ」と言うことから、作業グループは現行日米合意ヲ前提とするものと考えている。オバマ大統領の演説も、米高官の発言もこれを裏付けている。(常識的に考えて妥当な考えだろう。)
④ 鳩山首相の考えでは、作業グループは現行の日米同意を全く無視して作業を始め、なおかつ早期に解決すると言っている・・・・筈である。

 これは一体どういうことであろうか。
 私が考え得るのは、以下の4つの可能性だ。
 
(1) 鳩山首相はオバマ大統領は日本の言うことに逆らえないものと考え、普天間基地にしても作業グループを作ることさえすれば日本側の要求をさっさと呑んで早期解決をしてくれるのに違いない、と多寡を括っている。
(2) 作業グループを作り、「白紙状態」から交渉を始めるが、ゴールは現行日米同意あたりに「落としどころ」として設けておき、早期にゴールさせる心算である。
(3) 鳩山首相は、日米首脳会談ではオバマ大統領の気に入るようなことを言い、オバマ大統領の目の届かないところでは「マニュフェスト」に従って好き勝手なことを言うだけで、思想も信念も節操も持っては居ない。
(4) 鳩山首相は実は狂人または記憶喪失である。
(5) 端から鳩山首相は、今回の訪日でオバマ大統領を騙すつもりであった。「早期解決」と言い、あたかも現行の日米合意を遵守するかの如く見せかけて。

 私としては(4)の可能性よりも(3)の可能性の方が高そうであり、また懸念するところである。
 (5)だとすると、成る程これは「アメリカ追随」とは絶対に言われない態度ではあろうが・・・こういうのを「対等な関係」と呼ぶとしたら神経を疑う。唯の詐欺でありかたりであり、一時の利益を稼げても、特に同盟国相手では、損害の方が大きい態度だろう。
 
 警戒せよ、首相に。
 Achtung! Minister!