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誘導兵器即ち誘導される兵器であり、多くの場合はミサイルをさす。ミサイルとロケット弾の違いは誘導があるかないかであるから、誘導はミサイルの存在理由とも言える。
一般的にミサイルと言う物は、推進装置と誘導機能を持ち空を飛ぶ兵器と定義できる。推進装置があって誘導機能のない兵器としてはロケット弾があり、推進装置がなくて誘導機能がある兵器としては誘導砲弾・誘導爆弾(*1)などがある。(*2)
所が誘導兵器と言うと実は他にもある。ミサイルに比べればマイナーではあるが、魚雷である。「魚雷」は魚形水雷の略。推進装置を持ち水中を行く兵器と定義でき、今日では誘導機能も持つのが一般的である。
このほかに非常にマイナーであるが、誘導地雷とも言うべき「無人戦車」と言うのが極希にあるが・・・此処では割愛する。「ゴリアテ」と言えば、わかる人にはわかるだろう。(*3)
ミサイルと今日の魚雷とは、共に誘導兵器と一括できるが、さて、(誘導)魚雷なる誘導兵器は、果たしていかなるものであろうか。
誘導兵器即ち誘導される兵器であり、多くの場合はミサイルをさす。ミサイルとロケット弾の違いは誘導があるかないかであるから、誘導はミサイルの存在理由とも言える。
一般的にミサイルと言う物は、推進装置と誘導機能を持ち空を飛ぶ兵器と定義できる。推進装置があって誘導機能のない兵器としてはロケット弾があり、推進装置がなくて誘導機能がある兵器としては誘導砲弾・誘導爆弾(*1)などがある。(*2)
所が誘導兵器と言うと実は他にもある。ミサイルに比べればマイナーではあるが、魚雷である。「魚雷」は魚形水雷の略。推進装置を持ち水中を行く兵器と定義でき、今日では誘導機能も持つのが一般的である。
このほかに非常にマイナーであるが、誘導地雷とも言うべき「無人戦車」と言うのが極希にあるが・・・此処では割愛する。「ゴリアテ」と言えば、わかる人にはわかるだろう。(*3)
ミサイルと今日の魚雷とは、共に誘導兵器と一括できるが、さて、(誘導)魚雷なる誘導兵器は、果たしていかなるものであろうか。
<注釈>
(*1)滑空爆弾を含む
(*2)近年は、UAV(無人機)なんてものもあるから少々ややこしい。こいつも「推進装置と誘導機能があって空を飛ぶ兵器」。これで爆装して体当たり攻撃にでも使われた日には、ミサイルとの定義上の差異は、非常にあいまいになる。
(*3)わからない人にはわからない。
(*1)滑空爆弾を含む
(*2)近年は、UAV(無人機)なんてものもあるから少々ややこしい。こいつも「推進装置と誘導機能があって空を飛ぶ兵器」。これで爆装して体当たり攻撃にでも使われた日には、ミサイルとの定義上の差異は、非常にあいまいになる。
(*3)わからない人にはわからない。
(1.)魚雷の歴史
ミサイルほどではないにせよ、魚雷の歴史は案外新しい。砲弾や銃弾あるいは銃砲に比べれば、という意味だが。
諸兄御承知の通り、ミサイルはドイツのV-1飛行爆弾とV-2弾道弾を以って嚆矢とし、その登場は第2次大戦末期である。これに対して魚雷は、19世紀の末ごろに登場し、日清・日露両戦役では相当普及しているから、歴史的には機関銃と良い勝負だ。
魚雷が「魚形水雷」の略であることは先述したが、これと対になる言葉が「機械水雷」略して「機雷」である。水雷と言うのは水中で爆発させることで船舶や艦艇に損害を与える兵器であり、動かずに待ち伏せするのが機械水雷、自ら推進して体当たり(?)攻撃を仕掛けるのが魚形水雷と言うことになる。
勿論、登場当初の魚雷は直進のみ(それもかなり怪しい)の無誘導兵器であり、魚雷の速度が砲弾なんかより格段に遅いこともあって、よほど近づいて発射しないと命中しない。その代わり水中爆発の喫水線下命中(物によっては磁気近接信管による艦底爆発)だから、当たれば威力は絶大だ。その大威力の魚雷を、砲に比べれば軽量な魚雷発射管もしくは魚雷投射装置から発射できるから、比較的小型の艦艇即ち水雷艇、駆逐艦、PTボートなどの主要対艦兵器として君臨すると共に、潜水艦のほぼ唯一の対艦攻撃兵器(*1)として多用された。
魚雷が最も多用されたのは第2次大戦だろう。その末期には誘導魚雷も登場し、めでたく魚雷は誘導武器の仲間入りを果たす。と言うことは、誘導武器としての歴史は、ミサイルも魚雷もさして変わらない事になる。
諸兄御承知の通り、ミサイルはドイツのV-1飛行爆弾とV-2弾道弾を以って嚆矢とし、その登場は第2次大戦末期である。これに対して魚雷は、19世紀の末ごろに登場し、日清・日露両戦役では相当普及しているから、歴史的には機関銃と良い勝負だ。
魚雷が「魚形水雷」の略であることは先述したが、これと対になる言葉が「機械水雷」略して「機雷」である。水雷と言うのは水中で爆発させることで船舶や艦艇に損害を与える兵器であり、動かずに待ち伏せするのが機械水雷、自ら推進して体当たり(?)攻撃を仕掛けるのが魚形水雷と言うことになる。
勿論、登場当初の魚雷は直進のみ(それもかなり怪しい)の無誘導兵器であり、魚雷の速度が砲弾なんかより格段に遅いこともあって、よほど近づいて発射しないと命中しない。その代わり水中爆発の喫水線下命中(物によっては磁気近接信管による艦底爆発)だから、当たれば威力は絶大だ。その大威力の魚雷を、砲に比べれば軽量な魚雷発射管もしくは魚雷投射装置から発射できるから、比較的小型の艦艇即ち水雷艇、駆逐艦、PTボートなどの主要対艦兵器として君臨すると共に、潜水艦のほぼ唯一の対艦攻撃兵器(*1)として多用された。
魚雷が最も多用されたのは第2次大戦だろう。その末期には誘導魚雷も登場し、めでたく魚雷は誘導武器の仲間入りを果たす。と言うことは、誘導武器としての歴史は、ミサイルも魚雷もさして変わらない事になる。
<注釈>
(*1)他は機雷と、甲板にある単装砲ぐらいしかない。勿論、連装砲塔積んじまったフランス製潜水艦なんて、例外はあるが。
無論、潜水艦発射ミサイルの登場以前の話だ。
(*1)他は機雷と、甲板にある単装砲ぐらいしかない。勿論、連装砲塔積んじまったフランス製潜水艦なんて、例外はあるが。
無論、潜水艦発射ミサイルの登場以前の話だ。
(A)秘密兵器 酸素魚雷
わが国が世界で唯一実用化した、酸素魚雷についても述べておかねばなるまい。
登場当初からおおむね第2次大戦終了まで、魚雷の推進装置は燃焼機関、いわゆる「エンジン」だった。小型化のためもあって必ずしも自動車のようなピストンエンジンではないが、燃料を燃焼させてその熱で推進力を生み出す点は変わらない。当たり前だが魚雷は水中兵器であるから、ミサイルのように呼吸=エアブリージングする訳には行かず、燃焼に必要な酸素も自前で持っていかなければならない。
故に、当初の魚雷は圧縮空気のボンベを積んでいた。このため魚雷と言えば白々と排気の泡を曳くのが常識で、これを「雷跡」と呼んだ。
ところで、小学生でもわかることだが、燃焼に必要なのは酸素であり、酸素は空気中に1/5ほどしか含まれない。従って魚雷の燃焼に酸素を使えば、タンクの大きさも雷跡も1/5に出来る。そうすれば同じ大きさの魚雷でも、速度(「雷速」と呼ぶ)も射程も弾頭重量も、一度に向上できるに違いない。
「理屈の上では、可能です。」と言うのは、エスパー伊藤の決め台詞だが、「酸素魚雷」も長い事そうだった。空気の代わりに純酸素を送り込んでエンジンを始動すると、爆発してしまうのだ。何とかしようと各国が工夫したが相次いで挫折。唯一我が国だけが開発を続け、終に実用化した。
判ってしまえば簡単な事なんだが…エンジン始動の際に純酸素を食っているから爆発するのだから、はじめは普通の空気で始動し、後に純酸素に切り替えれば良かったのだ。このため始動用の空気ボンベと純酸素ボンベが必要であり、後者を秘匿名称「第2空気ボンベ」と呼んだ。おかげ「ボンベの大きさ1/5」には為らなかったが、各国よりも一回り太い大型魚雷の採用とあいまって、射程も雷速も弾頭威力も抜群の、世界一の魚雷が出来上がった。
おまけに酸素魚雷の排気は純粋な二酸化炭素になり、比較的海水に溶けやすいことから、雷跡は1/5以下となり、独特の(白くない)青白い雷跡に為ったと言う。ために酸素魚雷を一名Pail Marder「青白き殺人者」と呼ぶ。(*1)
さはさりながら…酸素魚雷の時代、まだ誘導魚雷は実用化されておらず、酸素魚雷はその自慢の40km以上にも達する長射程を、直進するばかりである。言い換えれば酸素魚雷は、雷速が上がった分当たりやすくはなっているものの、やはり長距離から雷撃かけても滅多に当たらない事に変わりはない。
それ故に、先述の通り酸素魚雷は、酸素ボンベを「第2空気ボンベ」と呼んだり、盟邦ドイツにすら知られないようドイツに向かう潜水艦はわざわざ酸素魚雷を下ろしたほど秘匿された秘密兵器であったが、その実績・戦果はというと期待されたほどとは言いがたい。
「秘密兵器」と言う言葉は、ある種の郷愁を掻き立てるものがあるが、秘密兵器は必ずしも必殺兵器ではなく、多くの場合秘密のまま陳腐化してしまうものらしい。
むしろ、実用化していなくても、量産していなくても、「こんなに凄い物があるぞ。」と見せかける、ハッタリ兵器の方が、往々にして「役に立つ」のである。
登場当初からおおむね第2次大戦終了まで、魚雷の推進装置は燃焼機関、いわゆる「エンジン」だった。小型化のためもあって必ずしも自動車のようなピストンエンジンではないが、燃料を燃焼させてその熱で推進力を生み出す点は変わらない。当たり前だが魚雷は水中兵器であるから、ミサイルのように呼吸=エアブリージングする訳には行かず、燃焼に必要な酸素も自前で持っていかなければならない。
故に、当初の魚雷は圧縮空気のボンベを積んでいた。このため魚雷と言えば白々と排気の泡を曳くのが常識で、これを「雷跡」と呼んだ。
ところで、小学生でもわかることだが、燃焼に必要なのは酸素であり、酸素は空気中に1/5ほどしか含まれない。従って魚雷の燃焼に酸素を使えば、タンクの大きさも雷跡も1/5に出来る。そうすれば同じ大きさの魚雷でも、速度(「雷速」と呼ぶ)も射程も弾頭重量も、一度に向上できるに違いない。
「理屈の上では、可能です。」と言うのは、エスパー伊藤の決め台詞だが、「酸素魚雷」も長い事そうだった。空気の代わりに純酸素を送り込んでエンジンを始動すると、爆発してしまうのだ。何とかしようと各国が工夫したが相次いで挫折。唯一我が国だけが開発を続け、終に実用化した。
判ってしまえば簡単な事なんだが…エンジン始動の際に純酸素を食っているから爆発するのだから、はじめは普通の空気で始動し、後に純酸素に切り替えれば良かったのだ。このため始動用の空気ボンベと純酸素ボンベが必要であり、後者を秘匿名称「第2空気ボンベ」と呼んだ。おかげ「ボンベの大きさ1/5」には為らなかったが、各国よりも一回り太い大型魚雷の採用とあいまって、射程も雷速も弾頭威力も抜群の、世界一の魚雷が出来上がった。
おまけに酸素魚雷の排気は純粋な二酸化炭素になり、比較的海水に溶けやすいことから、雷跡は1/5以下となり、独特の(白くない)青白い雷跡に為ったと言う。ために酸素魚雷を一名Pail Marder「青白き殺人者」と呼ぶ。(*1)
さはさりながら…酸素魚雷の時代、まだ誘導魚雷は実用化されておらず、酸素魚雷はその自慢の40km以上にも達する長射程を、直進するばかりである。言い換えれば酸素魚雷は、雷速が上がった分当たりやすくはなっているものの、やはり長距離から雷撃かけても滅多に当たらない事に変わりはない。
それ故に、先述の通り酸素魚雷は、酸素ボンベを「第2空気ボンベ」と呼んだり、盟邦ドイツにすら知られないようドイツに向かう潜水艦はわざわざ酸素魚雷を下ろしたほど秘匿された秘密兵器であったが、その実績・戦果はというと期待されたほどとは言いがたい。
「秘密兵器」と言う言葉は、ある種の郷愁を掻き立てるものがあるが、秘密兵器は必ずしも必殺兵器ではなく、多くの場合秘密のまま陳腐化してしまうものらしい。
むしろ、実用化していなくても、量産していなくても、「こんなに凄い物があるぞ。」と見せかける、ハッタリ兵器の方が、往々にして「役に立つ」のである。
「だが人よ、名を問うなかれ。
闇に生まれ、闇に消ゆる。
それが、(多くの)秘密兵器の定めなのだ。」
闇に生まれ、闇に消ゆる。
それが、(多くの)秘密兵器の定めなのだ。」
<注釈>
(*1)敷衍しているのは黙示録に登場する「死神」Pail Riderだろう。
(*1)敷衍しているのは黙示録に登場する「死神」Pail Riderだろう。
(2.)現代の魚雷
第2次大戦で隆盛を極めた魚雷だが、戦後は大分廃る。最も顕著なのは航空機搭載兵器としての魚雷だろう。航空雷撃は航空機による対艦攻撃の花形であり、「攻撃機」と言えば雷撃機のことを意味したのだが、対空砲火の組織化と発達(*1)により、目標艦に肉薄しなければならない航空雷撃は、自殺以外の何者でもなくなってしまった。
魚雷に代わって登場するの対艦兵器が、誘導爆弾、誘導弾などのスタンドオフ兵器である。(一部には、無誘導のロケットもあるし、無誘導の爆弾もないではない、が。急降下爆撃、緩降下爆撃、反跳爆撃なんて方法を使えば、雷撃よりは安全に攻撃できるようで、対艦爆撃・対艦爆弾は今でも現役だ。)特に誘導弾=ミサイルは魚雷や爆弾に比べると格段に射程が長く、スタンドオフ性に優れているため、今では対艦攻撃の主要兵器となりおおせている。
では魚雷はどうなったかと言うと、一つは水中を主な舞台とする潜水艦の兵器として生き残り、今では「長魚雷」と呼ばれている。無論、誘導魚雷が当たり前であるが、ハープーンのように魚雷発射管から発射できる対艦ミサイルと言うのもあり、そちらの方が射程はやはり長いから、長魚雷は対水上艦攻撃兵器としては二義的な地位に甘んじており、対潜水艦兵器として生き残っている。
魚雷に代わって登場するの対艦兵器が、誘導爆弾、誘導弾などのスタンドオフ兵器である。(一部には、無誘導のロケットもあるし、無誘導の爆弾もないではない、が。急降下爆撃、緩降下爆撃、反跳爆撃なんて方法を使えば、雷撃よりは安全に攻撃できるようで、対艦爆撃・対艦爆弾は今でも現役だ。)特に誘導弾=ミサイルは魚雷や爆弾に比べると格段に射程が長く、スタンドオフ性に優れているため、今では対艦攻撃の主要兵器となりおおせている。
では魚雷はどうなったかと言うと、一つは水中を主な舞台とする潜水艦の兵器として生き残り、今では「長魚雷」と呼ばれている。無論、誘導魚雷が当たり前であるが、ハープーンのように魚雷発射管から発射できる対艦ミサイルと言うのもあり、そちらの方が射程はやはり長いから、長魚雷は対水上艦攻撃兵器としては二義的な地位に甘んじており、対潜水艦兵器として生き残っている。
もう一つ「短魚雷」と呼ばれる種類は、潜水艦からも発射しないことはないが、主として水上艦艇とヘリコプター及び航空機から発射される兵器となっている。昔の魚雷に比べると格段に射程が短いのだが、誘導魚雷であり、航空機やヘリコプター発射の対潜攻撃兵器として、水上艦発射の対魚雷または対潜防御兵器として広く普及しており、特に日米の水上艦艇では殆ど標準兵装となっている。
<注釈>
(*1)近接信管とレーダを含む射撃指揮装置の発達と普及
<注釈>
(*1)近接信管とレーダを含む射撃指揮装置の発達と普及