報じられているのは・・・タイトルの通りだ。日中首脳会談に於いて、鳩山首相が「東アジア共同体」を提案したという事実。 にほんブログ村
 「単一通貨の導入の可能性も含めた東アジア地域の統一を目指す」と報じられているから、鳩山首相の念頭にあるのは「EUの成功」であろう事は想像に難くない。
 東欧の最優等生である東ドイツと西ドイツの統合さえ楽ではなかったし、EUが東欧まで範囲を広げたのは最近であり、それも経済の格差やら、ロシアの干渉やらでそうそう甘いモノではないと、普通は考えるだろうが・・・偉大なる民族の太陽・鳩山首相の英雄的信念はそんなモノは粉砕してしまえると見える。
 「東アジア」をどこからどこまで取るのか知らないが、その経済発展度合いは東ドイツと西ドイツどころか、東欧諸国と西欧諸国の格差なんぞ話にならないぐらいあるというのに、「通貨の統一」を含んでしまおうというのだから、大した度胸と言うべきだ。「東アジア」に通常は入ると思われる北朝鮮を抱え込むのだから、人民ウォン(北朝鮮の通貨)を「東アジア共通通貨」に換算するだけでも頭の痛くなるような話なのに、それを少なくとも日本円、人民元、韓国ウォン、台湾ドルと同時にやらなければならない。つまりそいつは「部分的」であれ、南北朝鮮統一(※1)と「台湾合併(※2)」を実施してしまおうという大構想だ。

 そりゃ中国は歓迎するだろう。台湾を武力侵攻ではなく経済的に併呑できてしまうのだ。長年の宿願が適うというものだ。
 
 そればかりではない。
 EU結成諸国と異なり「東アジア共同体」の各国間で懸絶しているのは、経済力ばかりではない。軍事力の格差もまた凄まじい。
 その点で我が国がリーダーシップを取れるならばまだしも、軍事力で懸絶しているのは、核兵器と百万以上の軍隊とICBMとSLBMを持ち、空母まで保有しようとしている中国だ。つまりこの「東アジア共同体」の中で、少なくとも軍事的リーダーシップを取るのは中国でしかあり得ない。これこそ正に中国政府の歓迎するところだろうが、そいつはワルシャワ条約機構の東アジア版で、盟主は旧ソ連ではなく中国になっているに過ぎない。
 
 そいつは少なくとも、アメリカにとっての看過すべからざる事態だ。
 
 それを理解した上で、鳩山首相がこの提案をしたと、私には信じられない。
 仮に理解した上だとしたら、民主党の言う「対等で緊密な日米関係」は日米安保条約の破棄または弱体化を、少なくとも包含するものであり、どこが「緊密」なのか私には理解できない。
 
 「大」中国の前に、戦うことも抵抗することもなく、膝を屈するつもりか、鳩山首相。


<注釈>
(※1)こちらはまあ、「双方の合意」は出来そうだ。金王朝をどう始末するかと言う大問題はあるが。
(※2)実質上は占領だろう。中国は「解放」とか「懐抱」とか、言葉を飾るだろうが。巧言麗色少なきかな仁