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(承前)前の記事:社民党を嗤え2.http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/29729803.html
3.平和憲法の理念の実現をめざし、自衛隊を縮小・改編します

 社民党のマニュフェスト「平和・人権」の第3.項は、これぞ社民党の真骨頂とも言うべき自衛隊縮小論だ。
 まず(1)からして私のような浅学非才の者には全く意味不明だ。「憲法の理念に基づく安全保障政策を実現するために「平和基本法」を制定」と来た。
 「憲法の理念に基づく安全保障政策」が憲法の3本柱の一つとされる「平和主義」に基づく安全保障策のことだと理解したとしても、それを実現する「平和基本法」とは、一体誰の何をどう規制する法律なのかが、サッパリわからない。
 増してや「肥大化した自衛隊」とは一体いつ肥大化して(*1)、それをどれぐらいの「必要最小限の水準に改編・縮小」するのか、そのコンセプトすら此処にはあげられていない。
 
 (2)では「新規の正面装備の契約を控え、防衛費に占める歳出化経費の割合を抑制」と言っているから、正面装備は原則買わないと宣言している訳だが、自衛隊だって未来永劫装備を持たせるわけに行かず、正面装備は老朽兵器の代替が大半だと言うのに、原則買わないとなれば、正面装備は減る他ない。それこそ、社民党の望むところなのだろうが。
 「防衛調達をめぐる不祥事」なんてのも上がっているが、不祥事の有無と、国防上の要否とは、全く別の問題の筈だろう。極端な話、不祥事が皆無でさえあれば、どんな装備も無制限に買ってよいものではあるまい。逆にどうしても必要な装備ならば、不祥事の追及は別途行い、別の商社を通すなどしても、買わねばならないことがあろうが・・・社民党には十把一絡げらしい。
 
 (3)で謳うは「攻撃的装備の抑制」なのだが、ものの見事に社民党の軍事に対する無知振りと言うか、国会議員としては恥ずべき不勉強振りをさらけ出している。
 「攻撃的装備」の例としてあげている「敵基地攻撃能力を持つ爆撃機」がF-1、F-2の支援戦闘機(*2)を指し、「軽空母」が「ひゅうが」はじめとするヘリ搭載護衛艦をさすものと理解し、「空中給油機」が長距離侵攻の必須アイテムである事も認めたとしても・・・防空専用艦とも言うべきイージス艦が、「攻撃的兵装」とは恐れ入る。
 第一「「専守防衛」の理念を厳守し」と言うのが防衛費の増大を必要とすることに、果たしてどこまで気づいているのか。
 防衛費を安く上げようと思ったら、固体ロケット燃料の弾道ミサイルと核弾頭の方が相当安く上がると言うのは、かの経済破綻国家北朝鮮が、国民を飢えに曝しながらも核兵器と弾道ミサイルの開発に地道を上げ、それにあの程度までは成功していることからも明らかだろう。
 逆にその弾道ミサイルを防ごうと思ったら、Patriot PAC-3や「攻撃的装備」のイージス艦搭載SM-3を導入しても未だ追いつかず、更に上層を防空するTHAADを導入しようかなんて話に「専守防衛」ならならざるを得ない。
 言いかえれば、専守防衛は防衛費増加を必要とするし、イージス艦だって不可欠であり、(3)の後半で言っている「イージス艦含む攻撃的装備の抑制」とは全く矛盾する。

 (4)では連立政権の盟主たる民主党を「ブレ」させた「インド洋からの自衛艦撤退」と「自衛隊海外派遣のための恒久法反対」を唱え、(5)では「海賊問題には海上保安庁を主体」として、ソマリアからも海自を引き上げさせようと言う。ソマリア沖まで出かけられるような航続距離の長い船は、海上保安庁には「しきしま」唯一隻であり、洋上給油能力も無ければ補給艦も無い海保庁ではこの「しきしま」1隻だけの派遣となりかねず、交代さえもままならないと言う事情は、「自衛隊は海外に出かけるべからず」と言う大原則の前には吹き飛ばされてしまうらしい。
 いい迷惑なのは派遣される海上保安庁と、大いに低下する護衛能力に頼らざるを得ないソマリア沖航行船舶(ピースボートの客船含む)である。
 
 (6)はシビリアンコントロールと情報公開と、武器輸出禁止三原則の厳守と言う殆ど関係の無い3項目を並べ、(7)では自衛隊内に密告奨励をするらしい。「自衛官の基本的人権を保障する」と言うのならば、言論の自由を封じられて更迭されてしまった、田母神前空幕長をまず復職させるべきだろう。

 で、なぜかこの項の最後(8)に「憲法審査会に於ける憲法改正案の作成反対」つまり今の憲法には厳しいとは言え改正基準があると言うのに、それを真っ向から否定して憲法改正を阻止すると社民党は宣言している。どうやら、憲法改正を否定する事も、「平和憲法の理念の実現」の内と、社民党は考えているらしい。
 
 ところで、日本国憲法と言うのは、改正基準も含めて日本国憲法なのだから、その憲法の改正基準に則った改正手続きを否定すると言うのは、正しく憲法違反ではないかと私は思うのだが・・・数多居るに違いない社民党及び社民党支持者の憲法学者殿たちは、一体どう考えておられるのだろうか?


<注釈>
(*1)我らが三自衛隊は、此処の所、頭数も防衛費も縮小される一方だから、一体いつ「肥大化」したのか、トンと見当が付かない。
(*2)実質は、対艦攻撃機兼戦闘機