1-3 民主党内部事情(推定)

 「憲法違反」である筈のインド洋上給油活動を、来年1月までの「当面の間」認めただけでも「現実的路線への転換だ。」と非常に贔屓目に見ればいえないことも無いが・・・
 
 普通に考えれば昨日の憲法違反が今日は合憲になって、明日また憲法違反になるなんて事は無いはずなのだが・・・流石に、野に下った瞬間「自衛隊違憲論」を回復した、社民党=旧社会党の尻尾、と考えるべきか。

 それもありそうだが・・・他にも裏がありそうだ、と考えるのは、下司の勘繰りだろうか。
 
 と言うのも民主党、「政権交代だ。」「衆院第一党確実だ」といわれながらも、衆院単独過半数に届くかどうかはまだ未知数なのだそうだ。それは、自公両与党の「勝利ライン」の一つに「自公で衆院過半数」と言うのが上がっている事からも知れる。
 政権の安定運用のためには如何に参院を牛耳る民主党といえども、衆院の過半数が欲しい。従って「衆院第一党」となっても過半数に届かない場合は、他の党と連立を組むものと目されており、その第一候補が民主党の出身母体の一つである社民党だとされている。
 
 左様、社民党=旧社会党である。
 
 かつて一代限りの首相を首相を自民党との連立の元で実現し、そのたった一代の村山富市「首相」の間に阪神大震災や地下鉄サリン事件で見事なまでの危機対処能力のなさをさらし者にするだけならまだしも、「村山談話」なる端にも棒にもかからぬ寝言を以って現在に至るまで日本の安全保障に危機を齎し、我が国の名誉を貶め、貶め続けている社民党である。
 
 先頃の北朝鮮弾道ミサイル実験に際しては、万一の破片落下に備えて展開したミサイル防衛を「落下して来るミサイルを迎撃して安全と言えるのか。(※1)」と、とうとうとミサイル防衛批難≒北朝鮮擁護をぶち上げた社民党である。
 
 その社民党は案の定、インド洋給油法には今も反対であり、民主党のインド洋給油法「容認」が連立の障害になりうると発言したとも報じられている。
 
 つまり、一度は政権獲得のためとして「現実路線」をアピールするため、インド洋上給油活動の「容認」を打ち出したものの、連立予定相手である社民党の反発が思いのほか強かった、或いは「現実路線」を打ち出さずとも社民党とつるめば充分衆院過半数を占められる自信が出てきたので、民主党はインド洋上給油活動の「容認」を取り下げたのではないかと、推定できる。
 

<注釈>
(※1)そのまま落下してきたミサイルが爆発しない可能性のほうが高いから、そのほうが安全だと、確信しているのだろうか。私には全く理解できない理論だ。


1-4 「理念が現実を凌駕する」筈がない。-民主党の余りに空想的な安全保障感覚-

 上記の推定が果たして正しいか否かを判断する材料は、私には無い。ただ、「充分ありそうな話だ。」と思うばかりの推定に過ぎない。
 
 しかしながら、改めてインド洋上給油活動に対する民主党の対応を振り返ってみると、そこには二つの特徴が見て取れるように思う。
 
 一つには民主党の発生母体の一つである社民党=旧社会党との共通性である。「空想的社会主義(※1)」ないしは「空想的平和主義」である。「集団的自衛権の行使は違憲。違憲だから反対。」と言う理念ばかりを先行させ、何が我が国にとっての利益国益であり、何が我が国の安全保障につながるかと言うことを、見ようともしなければ考えようともしない行動である。
 
 もう一つはその「空想的平和主義」さえも、政権獲得のためには一時棚上げにしてしまう、政権獲得=政権交代に対する執着・執念だ。
 何しろ「憲法違反」といっていたものを一時とは言え「容認」してしまおうというのだから、一体憲法とは何なんだろうと問いかけたくなるし、憲法が修正可能な「不磨の大典」ならざるものと考えているのなら、何だって参議院審議を停止してまでインド洋上給油活動を一時中断させたのか訳がわからない。
 
 訳はわからないが、政権交代・政権獲得のためにはなりふり構わず、理念も理想も吹き飛ばすのはわかる。
 
 で、国民諸君に問おうでは無いか。果たして、政権交代は目的であるか?
 
 政党が政権獲得を目指すのは自然な事であり、それが正当の存在理由であるとも考える事はできる。が、政権獲得自体は目的とすべきであろうか。
 
 実現したい政策、実現したい理念があるから、政権を獲得したいのではないのか。言い換えれば、政権獲得は政策実現の手段にしか過ぎない筈ではないか。
 
 民主党は、政権交代を自己目的化していないか?
 自己目的が達成された民主党は、信頼に値する存在足りうるか?

 自民党政権が長く続き、「100年に一度の経済危機」やら北朝鮮の核実験・弾道ミサイル実験やらを迎えた今、閉塞感があるのも事実だろう。
 だが、今の状況を「民主党政権」ならばより巧みに対処しえたと信じられるか?
 例えば先の北朝鮮の弾道ミサイル実験の際、現与党は破片の落下する可能性がある地域に弾道ミサイル防衛のための部隊を展開し、万一に備えた。それは結果的に無駄な展開に終わったが、果たして民主党政権にそれだけの果断な対策を実施しえただろうか。実施しなかった場合、我が国の世論は今回のように冷静であり続けただろうか。
 
 況や、社民党と連立政権を組んだ民主党であったら?
 寒心に堪えぬとは、正にこの事ではないか。
 
 私の出す結論は、何度も書いて来たとおりだ。
 
 政権交代可能な二大政党制のためには、政権交代可能な野党が「確かな野党」である必要があり、「確かな野党」とは「国家に忠良なる野党」である。
 具体的には国防政策、安全保障政策、領土領海領空の保全といった根源的な政策(※2)に於いて、政権与党と共通若しくは共感できるものがある野党だ。
 
 民主党は、未だ確かな野党、国家に忠良なる野党ですらない。

 それを与党の座にすえよう、政権を「一度渡してみよう」など、正気の沙汰とは思われない。
 
 国民よ、己が目は見開いているか?
 国民よ、己が頭で考えているか?
 国民よ、自主自立自由であるか?
 
 自由な国民なくば、民主主義は衆愚政治に堕する他無い。
 
 目覚めよ、国民!


<注釈>
(※1)言葉の本来の意味とは違うことを承知しつつ。
 しかしながら「科学的社会主義」でもあの体たらくではあるから、社会主義なんてものは、そんなものなのかも知れない。
(※2)日本ならばこれに、天皇制護持が加わるだろう