産経webやはり日本には最強戦闘機F22が必要 にほんブログ村
転載開始================================================
【宮家邦彦のWorld Watch】やはり日本にはF-22必要  http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090709/plc0907090622003-n1.htm
2009.7.9 06:20

このニュースのトピックス:自衛隊

最先端ステルス能力を持つ世界最強の第5世代戦闘機「F-22」=沖縄県の米軍嘉手納基地 航空自衛隊の「次期戦闘機」というと、筆者には一種のトラウマがある。1989年に決着したFSX(次期支援戦闘機)騒動の際、外務省北米局の担当官だったからだ。貿易摩擦をめぐる日米のしこりが日本の防衛問題・技術ナショナリズムとも複雑に絡み合い、一大政治問題に発展したのがFSXである。

 当時のことはあまり思いだしたくない。本来は日米共同で世界最高の支援戦闘機を開発するはずだった。ところが、最先端技術の移転、日米間の作業比率、エンジンのライセンス生産などをめぐり、米国のUSTR(通商代表部)や商務省など、防衛問題とは縁のない外野の連中までが首を突っ込んできたからだ。

 さらに難しかったのは、日米技術者たちの矜持(きょうじ)だった。当初米側は、高性能の米国製戦闘機を直輸入するのが一番安いと迫った。対する日本側は、独自の技術で純粋国産戦闘機を作ると譲らない。結局、F-16をベースとする日米共同開発となったが、その結論には日米双方とも一部に不満が残った。

 当時筆者はこう考えた。いかなる兵器も実戦で使えなければ意味がない。純国産戦闘機とは聞こえは良いが、日本では実際に攻撃されるまで使えない。実戦という極限状態でテストできない兵器で日本を守れるのか。だからこそ、共同開発は正しい選択だと確信していた。

 あれから、20年。振り返ってみると、本当にこれで良かったのか。実に複雑な思いがする。

 さてさて、今度はFXだそうだ。F-22は、最先端ステルス能力を持つ世界最強の第5世代戦闘機。航空自衛隊はこれが本命のようだが、現在米議会は輸出を認めていない。価格も倍近いらしい。筆者にはFXとFSXが微妙に重なった。お恥ずかしい話だが、第一印象は「やれやれ、またか」だった。

 しかし、よくよく考えてみると、F-22とFSXとは全く違う。そもそも、貿易問題は絡まないから、素人が議論を混乱させることはない。共同開発やライセンス生産もないから、技術ナショナリズムの問題ではない。純粋に日本防衛の問題だから、FSXに比べれば、はるかに議論は単純である。

 F-22の話になると、とかく第4世代機との比較ばかりが注目される。だが、F-22の本当の価値はそれだけではない。日本の防衛は主として日米の航空戦力と海洋戦力のコンビネーションで成り立っているからだ。近年の中国の海空軍の急激な増強ぶりを見れば、これが単なる自然増でないことは明らかだろう。

 特に、注目すべきは中国空軍AWACS(早期警戒管制機)作戦能力の向上だ。現在は日米のAWACSとF-15、F-16で日本周辺からシーレーン上空の航空優勢を何とか保っている。しかし、今後10年もすれば中国の海空軍の攻撃能力が日米を脅かすレベルに達することは間違いない。

 早期警戒能力は、空中戦だけでなく、上空の戦闘機と海上の艦船などとの統合運用にも極めて有用だ。日本の防衛は米第7艦隊だけで十分と言った政治家がいたそうだが、このままではその第7艦隊すら守れなくなる事態になるかもしれない。それは日本の防衛に直結する問題である。

 航空自衛隊がF-22に関心を持つのは当然だ。貿易摩擦も技術ナショナリズム(*1)もない今だからこそ、日本防衛の根幹を成す日米の抑止能力の将来を真剣に考えるべきである。自衛隊と在日米軍の相手は北朝鮮だけではない。このことを米政府・議会関係者にも正確に理解してもらう必要がある。

                   ◇

【プロフィル】宮家邦彦

 みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県生まれ。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。安倍内閣では、首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、AOI外交政策研究所代表。

<注釈>
(*1)「貿易摩擦」は、無いかもしれない。が、技術ナショナリズムがないなんて間抜けな事があるだろうか?
=====================================================================================================転載終了

1.1 F-22の必要性には同意。但し・・・・
 報じられているのはF-X機種選定に関する論説。F-22の必要性を肯定するその論旨には、私も同意できる点が多い。中国海空軍の増強とこれに対抗する切り札としてのF-22と海上兵力の連携というのも、私には真新しい視点だ。

 論説は日米貿易摩擦に翻弄されたFS-Xを振り返り、今回のF-X問題について、以下の様に論ずる。
 
>貿易問題は絡まないから、素人が議論を混乱させることはない。
>共同開発やライセンス生産もないから、技術ナショナリズムの問題ではない。
>純粋に日本防衛の問題だから、FSXに比べれば、はるかに議論は単純である。

 意図的に3分割したのであるが、まず第1文には私も賛同する。かつての「ビッグ3」が青息吐息どころかGMに至っては実質倒産し、トヨタが代わって世界一の自動車メーカとなりおおせた現状は、日本側対米自動車輸出による米国の「貿易赤字」が国産FS-Xを「撃墜」した往時を思えば、今昔の念を禁じえない。
 
 第3文は、今回のF-Xに「日米共同開発」なんて「ややこしい」選択肢がないということを言っているのだろう。が、米国政府ご推奨のF-35JSFは、共同開発に参加しない事には一体何時になったら調達できるのか甚だ心許ない機体であり、「遥かに議論は単純」かは疑問符がつく。ユーロファイター・Typhoonの売込みでBAE社が「日本じゃF-35の国際共同開発には参加できないのでは。」と指摘しているが、なかなか的確に足元を見た指摘といえよう。
 尤もこの論説ではF-Xの最有力候補をF-22と定めているからこの第3文も論旨としては肯けよう。
 
 問題は第2文だ。
 「共同開発もライセンス生産もない」と断じる論説は、F-22の海外調達、つまり米国からの輸入丸買いを前提にしている。
 確かにそれは「今は輸出どころかF-22の生産中止を意図している米国政府が、ひょっとしたら議会に押されて認めるかもしれない選択肢」ではある。逆に言うとそれ以上の、ライセンス国産や日本版の日米共同開発などという選択肢は殆ど絶望的と言うのも、Coffee様御指摘の通り衆目の一致するところというべきだろう。
 
 それでも私が主張するのは、「F-Xは最強の制空戦闘機の国産ないしはライセンス国産であるべきである。」であり、「現時点で最強の制空戦闘機はF-22である。」が故に「F-XはF-22のライセンス国産が望ましい。」と頑ななまでに主張し続けている。
 
 「技術ナショナリズム」と言われれば、その通りかもしれないが、事は防衛技術である。
 防衛技術は国防の技術。ナショナリズムがあって当たり前。
 むしろ「ナショナリズムのない防衛技術」なんてものの方が、「愛国心無き軍隊」と同様に、私には信用できない。
 
 F-Xは国防の要である。
 と同時に、F-Xは我が国の国防技術の要足りうる。
 故にアメリカからだろうが欧州からだろうが、丸買い=輸入するのみと言うのは、私には到底肯んじ得ず、頑固だろうが頑迷だろうが「F-XはF-22のライセンス国産が望ましい。」と主張し続ける。
 
 その「理想」が適わないならば、妥協もまたやむをえないとは考えるが、以前報じられた「F-22モンキーモデル(性能劣化型)を米国仕様の倍の値段で丸買い=輸入」と言うのは妥協の範囲とは考えない。それぐらいならばいっその事、(F-22以外の米国開発機ではなく)ユーロファイターTyphoonをライセンス国産してしまうべきだ、とも主張している。
 
 即ち「ユーロファイターTyphoonのライセンス国産」と言うのは、私には妥協しうる範囲と考える。それだけライセンス国産を重視している、とも言えよう。
 
 「F-22フルモデルを、米国仕様並みの値段で丸買い=輸入」と提案されれば、検討の余地=妥協の可能性はあるかとは思うが・・・現状はそれにすら程遠い。
 
 しからば、日本政府としては、米国政府推奨のF-35ではなく、その他の米国開発機でもなく、「ユーロファイターTyphoonのライセンス国産」を第1候補に掲げて、F-X問題に対処すべきである。
 
 「F-22ライセンス国産」と言う我が理想に一歩でも近づくためには、他に策無しと考えるが、如何であろうか。