三代と言うのは一つの節目であるらしい。「食は三代」なんて言葉は、美食というのは奥が深い道だから三代かからないと完成しない事の喩えだそうだ。親子孫と三代かけて完成するのが「美食」道かよ、などと「空腹は最高の調理人」と言うテーゼを信奉する私なんかは思ってしまうが、一つのことを突き詰めるのに、それぐらいの年月と世代の積み重ねが要ると言う説には賛同する。
 「自分は生まれながらの将軍だ。」と豪語したのは徳川幕府の三代将軍家光だし、三代ほども体制が安定すると、人心も落ち着いて長期安定王朝になると言うのにも一つの節目らしい。三代というと年月にすると概ね一〇〇年。記憶の伝承や風化と言う意味でも、爺さん婆さんの言うことを聞いたり影響を受けたりまではありそうだが、曾祖父さんや曾祖母さんとなると、世界でも有数の長寿命を誇る日本人でも一寸難しかろう。
 タイトルにしたのは江戸時代の狂歌だそうだ。こちらは「三代」保たなかった事例。親や爺さんが稼いだ財産を三代目が食いつぶしてついに家まで手放すことになった。貧乏にはなったが教育はしっかり受けたので、「売り家」と書いた札の字体にも風雅が滲む、と言うもの。「三代保てば長く保つ」の裏返しで「三代目は気を付けないといけない」と言う戒めの込められた狂歌である。

 さて、報じられているのは最近二度目の核実験を実施し、PSIへの韓国全面参加に抗議して朝鮮戦争を再開した(筈)の北朝鮮で、金成日将軍様に続く三代目が決定したと言うニュース。報じられているのは三男で名前が金正雲(キム・ジョンウン、Jong-un)と言うことだけだから、これだけでは何が道なのは判らない。どんな人物かとか、バックにどんな勢力があるかとかは、だ。

 判っているのは、北朝鮮は勤王長の三代目であり、二代目の金成日が引退するなり(考えにくいな)死亡するなりすれば、その権力を受け継ぐ(筈)の「独裁者の卵」と言うことだ。

 「北朝鮮モデル」と私が名付けた「強請大国化プラン」は崩壊させるべきであるし、そのためには金王朝二代目・金成日「将軍」は「畳の上で」死なせるべきではないとは当ブログで何度も主張しているところ。
 言い換えれば、今金成日が担いでいる温ぼろお鉢を、この金正雲にせよ誰にせよ、継承しないことが私の望みではある。
 何れにせよ、三代目を決めたとて、他に候補者が皆無になったわけではなく、未だ二代目は生きているのだから、工作の余地はありそうだ。