イメージ 1

フィンランド航空が2093年に考える超巨人機。円盤形スパンローダー(かつVTOL?) 
にほんブログ村 技術・工学
 仄聞するところに依ると、横浜が開港してから150年なのだそうだ。「太平の眠りを覚ますじょうきせん(蒸気船)」と狂歌に読まれた4隻の黒船=鉄船かつ軍艦に開国を迫られると言う、典型的な砲艦外交が、当時の日本にとって良いことかどうかは甚だ疑問だが、横浜では国際港という繁栄の礎が築かれたものとしてこれを記念し、さらには「今から150年後」を占う催し物もあると聞く。

 他方、北欧のフィンランド航空は創立85周年だそうだ。流石に空路だけあって、横浜港より新しいのは致し方ないが、やはり「今から85年後、2093年」を占うなど、あれこれ企画しているそうだ。
 以下に転載するのは、そのフィンランド航空85周年の記事。

転載開始--------------------------------
2093年の飛行機---フィンランド航空の提案 http://car.jp.msn.com/new/news.aspx/root=au006/article=14431/?page=1&genre=2
昨2008年12月1日に創立85周年を迎えたフィンランド航空(FINNAIR)は、本国はもちろん世界各地で記念行事を企画している。日本でも去る5月12日、過去の実績と未来に向けた企業姿勢やサービスについてプレゼンテーションが行なわれ、2093年のFINNAIR機の画像が公開された。

FINNAIR広報担当役員であるクリステル・ハールクンド副社長は、ヘルシンキの地理的メリットをアナウンス。日本から欧州行きのフライトは他の空港よりも飛行時間が短く、約40都市へ同日接続できる。同社では機内の新しいカラーデザインや新型シートを採用したエアバス『A330』型機を、日本線に順次投入、さらに現在週4便の成田 - ヘルシンキ線に、6月から9月末まで週3便を増便する。

FINNAIRのイベントにはエアバス社の市場調査部門のパスカル・ユエ部長も参加、「未来の航空輸送(Vision of Future Flying)」をプレゼンテーションした。ユエ部長は地球環境の変化に伴う航空輸送の新しい展開の必要性などを紹介、その一方で、クルーズ客船のような様々な機能が整う多用途性のある旅客機の開発も夢でないことも紹介した。

記者会見では創立85年からまた85年後となる“2093年のFINNAIRの姿”と題する旅客機のイメージ画像も同時に公開された。現代の航空機とは大きさや形状の異なるユニークなスタイルが紹介されている。

●FINNAIR A1700-2400型機
座席数:1700 - 2400
全長:118.30m
翼幅:98.70m
全高:32.60m
●FINNAIR A600-850M型機
座席数:600 - 850
全長:126.30m
翼幅:60.70m
全高:36.80m
●FINNAIR A600-850型機
座席数:600 - 850
全長:81.70m
翼幅:77.90m
全高:31.60m

Departure 2093 URL
http://www.departure2093.com/
-------------------------------転載終了
 
 記事の最後にあるURLへ行けば、直接フィンランド航空の英文記事が読めるので、英語にいささかなりとも自信のある向きは、訪れることをおすすめする。本記事に添付したような美しい「2093年のフィンランド航空機」の絵もダウンロードできる。

 本記事に付けたのは、上記記事にもある巨人機。上記のFINNAIR A1700-2400型機 で、円盤形の全翼形状は、「スパンローダー」の発展型だろう。航空機という物は、翼で揚力を発生するのだから、その翼に万遍なく荷物・人を乗せれば効率が良く大型機を実現できる、というのが「スパンローダー」の基本。その翼が絵のような「円盤形」と言うのはあまり見かけないが、米海軍のF5Uフライングパンケーキのような前例がないでもない。翼型断面さえ確保できれば揚力は発生するのだから、翼平面形は四角でも三角でも円形でも本質的な差異はない。
 但し、高速を狙うならば翼断面でも薄いもの、翼前縁角で言えば鋭く後退または前進している物が、特に超音速には有利であるから、この巨人円盤機は亜音速、それも低マッハの亜音速を飛ぶものと見える。従って乗客数は多いが、移動にかかる時間は現在とあまり変わらないだろう。
 さらに注目すべきなのは、M字を為す尾翼・・・ではなく、円盤翼中心付近に円周状に並べられている円筒らしき物。
 これはひょっとしてエンジンではないか?それも翼下(胴下?)にぶら下がった推進用のエンジンポッドではなく、垂直離着陸用の、リフトエンジン。
 最大で2400人も乗ろうという、直径約100mの円盤をエンジン推力だけで垂直に持ち上げようとは大胆な話だが、これがエンジンだとすると、他に解釈は思い浮かばない。

 垂直離着陸機だとすると、この巨人機の発着空港は、現在の空港ほどには巨大なインフラ、特に長い滑走路は不要となり、ドアtoドアとは言わないまでも、タウンtoタウンぐらいの手軽さで、この巨人機を利用出来るかも知れない。
 垂直に離着陸する姿はさぞや壮観だろう。
 なかなかやるな。フィンランド人。