1 国連決議は効いている?
 北朝鮮の国連決議も国際世論も無視してのミサイル発射試験の暴挙に対する国連としてのアクションは、結局中国・ロシアの男色、もとい難色とアメリカの腰抜け、もとい腰砕けにより強い表現は残すモノの議長声明を出すことのみに終わったことは既報の通り。
 これに対し北朝鮮が「6カ国協議からの離脱」を宣言したのも既報の通りであるから、「新たな国連決議を出すと北朝鮮を刺激し6カ国協議から離脱しかねない(=議長声明以下ならばそうはならない。)」と言う中国及びロシアの言い分は既に破綻しており、中露に阿って新たな国連決議を見送ったことは全く意味が無かった訳ではあるが、今度は北朝鮮が「国連に謝罪を要求」しているというのが今回の報道。
 
 盗人猛々しいとも、無理が通れば道理が引っ込むとも評しかねる処だが、無理を通して道理を引っ込ませる道具として核兵器=核恫喝を使おうという算段だろう。「核兵器を保たぬ国は核兵器を保つ国に最終的には勝てない。」とか「核兵器を持たぬ国は主権国家とは言えない。」と言った説の生き証人を突きつけられた感じだ。
 
 言うまでもないことだが、今回の議長声明で新ためて確認された国連決議は、北朝鮮が国連その他から食料援助もエネルギー援助も受けながら、こそこそと核兵器を開発(※1)し、あまつさえ核実験さえ実施したことに対する非難の現れである。
 「世が宇宙時代」であろうが、北朝鮮が今回発射したモノが仮に「平和的な人工衛星の打ち上げロケット」であろうが、この非難には全く何の影響も与えないのであるから、国連が北朝鮮に対し謝罪をする理由など微塵もない。
  
 「人工衛星打ち上げロケットを非難された」事が核実験から大陸間弾道弾発射実験(って、今回の「人工衛星打ち上げ」と何が違うんだ?)の理由になるのならば、戦後63年を経てなお敵国条項なるものを国連は包含しているのであるから、我が国やドイツには核実験どころか核攻撃の権利があるのに違いない。

 それは兎も角、いつもながら大言壮語の北朝鮮であるが、以前からある国連決議を裏書きしただけの議長声明に、6カ国協議脱退だの、核実験だの大陸間弾道弾発射実験だの言い出すのは何故か。
 
 これは、この国連決議と、その確認である今回の議長声明が、相応の効果を上げている、言い換えれば北朝鮮に取って苦しいモノであることの証左ではないか。
 
 ならばこの国連決議とそれを再確認した今回の議長声明は、厳密に実行されるべきである。しこうして北朝鮮を、まっとうな交渉の場に引きづり出すべきである。その場は、6カ国協議でなくても別に構わない。
 
 日本のチンパン福田・前首相は、「お隣さんの嫌がることはやらないでしょう。」等と外交交渉を近所づきあいに矮小化した発言を為したが、嫌がることだろうが好むことだろうが実施して相手を交渉の場に引っ張りだし、その交渉で国益を確保することこそ正に外交であろう。
 
 お隣さんは核兵器で脅しをかけてきたりはしないのである。
 隣国はそれをする。
 北朝鮮なんかろくに核実験もやっていないのにこの有様だ。


<注釈>
(※1)こういう姑息さを、半島では「島国根性」とか呼称しなかったか?
いやその腹黒さ、悪辣さこそ正に「大陸的」か。