AFPが日本経済新聞によるとして報じているところでは、「シャープ(Sharp)が、中国大手電機メーカー上海広電集団(SVA)と提携し液晶パネルを中国で生産する計画で調整に入った。」とのこと。
 「今春の合意を目指している」と言うから、まだ確定ではないが、相当話が進んでいると見なければなるまい。無論、「日本経済新聞」が真実を報道していれば、の話だ。

 シャープと言えば液晶ディスプレイを世界に先駆けて商業化に成功した会社。そのため、黎明期の液晶テレビは世界シェアでも独占状態にあり、日本国内にのみに生産拠点を持つ、日の丸製造業の旗手とさえ目されていた会社。韓国などの後発メーカの猛烈な追撃や、追い越しに対しても、亀山に作った新工場などで果敢に挑んでいたはずだ。
 
 そのシャープが、ついに生産拠点の海外拡大のためか、よりによって中国で生産する計画を立てるとは・・・俄には信じたくないのが正直なところだ。
 
 事情は想像できる。その昔は「1インチ1万円を切れば薄型テレビは普及する。」何て言われていたが、今や実売価格はその半値に近くなっている。薄型テレビ事態、かつては液晶とプラズマが2強であったが、今は有機ELなんて新方式も小さいサイズから市場に投入されつつある。おまけにこの金融危機に端を発する不況で、実売価格はさらに下がっているようだ。
 
 「旧世代パネルを外国企業との提携で海外で生産し、日本国内は最先端パネルの生産に特化」して、コストと価格を抑えようという気持ちはよくわかる。

 それでも「中国はおやめなさい。」と私がシャープ社長の知り合いなら言いたくなる。
 毒餃子も長野聖火も、もっと遡って反日暴動もあるが、かの国で生産や、ましてや開発をするというのは相当なカントリーリスクを背負い込むことになる。
 その上「安いコスト」はニアリーイコール「安い賃金」であり、民工だの2重戸籍制度などを考えると、こりゃ一種の奴隷制度とも解しうる。
 奴隷が工場で働いていれば、安いのは当たり前だ。その「安さ」を、果たして買うべきか。

 ついでに言えば、私のに化本経済新聞、特に中国関係の報道に対する評価は極めて低い。
 昔、こんな記事があった。

 中国の河川公害に関する記事で、中国当局が言う事として、以下の様な数字を報じていた。
 (1)中国の河川2万カ所(記憶に頼っているので概数で申し訳ない。以下の数字も同様だ。)を調査した。
 (2)その結果、千の工場を閉鎖した。
 (3)2千の会社を潰した。
 (4)200人を処罰した。

 私はこの数字を見て「変だな。」と思った。(1)の2万カ所はまあ置くとしよう。「千の工場を閉鎖して2千の会社を潰した。」と言うことは、
 (A) 差し引き1000の会社は、河川汚染をしていた工場を持たないのに親会社だとか関連会社であるために潰された 
 (B) 中国では、複数の会社が一つの工場を共有するのが一般的である。
の何れかであるように私には思えた。
 さらに「2000の会社を潰して200人が処罰された。」と言うことは、
 (A) 大半の会社は名目上潰されはしたが、誰一人処罰されなかった。
 (B) 中国では、河川汚染の責任を追及されるような責任者は、複数の会社の責任者を兼任している(平均実に10社以上を兼任)
の何れかである。
 どちらも大いにありそうなのは(A)なのだが、ひょっとすると(B)あるいは私の想像を絶するような特殊事情が中国にはあるのかも知れない。
 「そんな特殊事情があるのならば、それを会わせて報じるのが報道だろう。まさかとは思うが、中国製の発表を何の疑問も抱かないまま右から左に流しているのではないだろうな。」と日本経済新聞に問い合わせたが・・・梨の礫。
 
 実際の処、件の記事は、中国政府の発表を垂れ流しているだけらしかった。
 
 なんのことはない、「日本経済新聞」とタイトルだけ張り替えた人民日報を読まされたわけだ。
 さすがは「中国共産党の口舌(宣伝機関)」
 
 そう考えるとこの報道、プロパガンダと考えるべきなのだろうか。