報じられているのは、「1月に訪朝した米シンクタンクの専門家」に依る北朝鮮に対する分析。
 ウッドロー・ウィルソン国際センター(Woodrow Wilson International Center for Scholars)(※1)曰く、北朝鮮が強硬路線を取るようになった理由として、背景に、「金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の健康不安問題」と「韓国の北朝鮮政策の転換」の2点を強調した。言う。
 
 逆に言えば金主席の健康状態が甚だ怪しく、強硬路線による「空威張り」が必要だと同研究所も認めたことになる。まあ、北の首領様の健康状態どころか生死所在さえ甚だ怪しかったのは記憶に新しいところだ。
 一方韓国の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)現政権が、前政権の「台北宥和政策」を改め、漸くまともに北と対峙することになったのも、ついこの間の話だ。
 
 同報道は、李政権の南北共同宣言見直し発言が、「日米韓が北朝鮮体制の体制変革と(南への)吸収合併を狙っているとの北朝鮮の不安を再燃させたと指摘。」「李大統領の発言は「歴史的なひどい過ち」だとの見方を示した。」と報じている。
 が、このアメリカのシンクタンク(であるはず)の発言は、典型的な対北融和論「太陽政策」ではなかろうか。
 首領様の健康不安であるところに南北共同宣言見直しを聞き、「現体制を変えられてしまう=首領様失脚」と言う不安を煽ったから、「李政権の歴史的過ち」と言いたいのだろうが、そもそも核兵器を秘密裏に開発し、核実験を強行し、核兵器保有国としての「地位」を要求しながら、韓国には「南北共同宣言」を墨守させ、さらに国民を飢えさせると言う、日本ならば統治者の恥とも言うべき事態を招きながら権力にしがみついているのは一体誰だ?易姓革命思想に従おうが、科学的社会主義に従おうが、資本主義的競争原理に従おうが、無能な独裁者は失脚させられて当然であろうに。何も日米韓の陰謀なぞ必要ない。
 
 まあ、権力を失った瞬間、銃殺か絞首刑が待っているとなれば、権力にもしがみつきたくなるのが人情かとは思うが、情状酌量する気には全くならない。

 さらには・・・・北朝鮮の「態度硬化」は今に始まったことではない。少なくとも核実験強行以来、その態度は硬化しっぱなしだと、私なんぞは思うが如何であろうか。
 6カ国協議に応じた?中国の高官に半島の非核化への賛意を示した?それがどうしたというのだ??
 国民を飢餓状態に陥れながら核兵器の保有を押し進め、それを認知させようと言う態度の、一体どこが強硬でないというのか?

 だとすると、北の首領様の健康不安は、実は相当昔からだったと言うことかも知れない。

<注釈>
(※1)何とも仰々しい名前だな。