私見だが、私はアメ車が嫌いだ。
 車というのは、詰まるところ移動手段だ。いかに早く、遠く、大量に、安く、効率よく、移動できるかを競うべきものだ。しかるにアメ車たるや、確かに大型車中心だから「大量に」という点では見るべきものがあるが、デカイわ重いわ燃料喰うわで、おおよそ移動手段としての価値が低い。
 豪華であるとか、強固な車体で安全であるとか言う説もあるが、豪華さは車の本質ではないし、安全と言えるほど強固とも信じられない。
 だから未だにアメ車は嫌いだし、かつて、バブル華やかなりし「頃に日産がシーマなる大型と豪華さを売り物にした車種を発売したときも「あれは、アメ車だ。グラマンだ。」と大いに気に入らなかった。(バブルにのって、売れたようだが。)
 
 さて、報じられているのはそのアメ車。間もなく合衆国大統領になろうというオバマ氏の専用車で、「ゼネラル・モーターズ(GM)の高級車「キャデラック(Cadillac)」の新型リムジンで、従来の大統領専用車よりも巨大かつエレガントだ。」と言うから、典型的なアメ車と言って良いだろう。

 エレガントかどうかは見る人のセンスによると思う。私にはちっともエレガントには見えないが。昔は外車というと独特の味わいがあったものだが、今は日本車の出し殻みたいなデザインに見えるものばかりで、この車もその例外ではない。まあ、アメリカ人にはエレガントなんだろう。

 巨大というのは客観的に測れる尺度だから多分真実なんだろう。
 巨大なる所以は、その安全性にあるらしい。「防弾ガラスと強化されたボディに加え、化学兵器による攻撃を想定して内装も完全密閉式になっているとされ、「携行式ロケット弾の攻撃にも耐えられる」ほど頑丈な作り」と言うことだから、さすがに合衆国大統領となると、車に求める安全性も並ではないようだ。
 
 尤も、タイトルにした通り、この記述には疑問がある。
 
 「携行式ロケット弾」というのが、ロシア(旧ソ連)の開発した対戦者ロケットランチャの傑作RPG-7シリーズのことだとすると、あれは戦車の分厚い装甲即ち100mmクラスの鋼鉄板(セラミックとか、劣化ウランとか、最近は別の材料もあるし、厚みは普通軍事秘密だが)に穴を穿つように作られた物だ。
 材料や構造によっては、一寸ゴツイ普通の車に見えるオバマ氏専用車、ボディならばRPG-7に耐えるかも知れない。が、この窓ガラスが耐えるとはとても信じられない。いくら強化ガラスだ防弾ガラスだと言っても、鉄板に穴を穿つ高速高熱噴流を作り出すRPG-7に、対抗できるのだろうか?
 仮に材料は耐えて構造を保ったとしても、光を通すが窓ガラス。熱は相当に通すはず。中の人間は無事だろうか?
 
 「世界で最も防護性に優れた車」と言うのは真実としても、携行式ロケット弾に耐えるというのは、誇大広告の疑いが強い。
 
 それにしても・・・GM。こんな車ばかり作っていては、こういう専用車のメーカとして特化しない限り、そりゃ会社も傾くわなぁ。