報じられているのは、昨年末から続いているロシア産天然ガスのウクライナ経由欧州供給停止問題の続報。
 昨日報じられたところでは、http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/22199049.html ウクライナもロシアもガス供給監視団を受け入れることで合意し、ウクライナ向けは未解決だが欧州向けの天然ガスは供給再開されるという見通しだった。
 ところがその舌の根も乾かぬ内にロシアはメドベージェフ大統領自ら演説し、「前日調印した(合意)文書について、受け入れてはならないと政府に指示した。調印された文書は無効だとみなさざるをえない」と言うから、これは正真正銘掛け値無しの「合意破棄」だ。
 
 ロシア並びにソビエト連邦が、条約破りの常習犯であることは有名とは言え、締結から1日かそこらで「条約無効」と言うのは新記録ではあるまいか。
 
 ロシアが言うには「ロシアとEUが署名した後の文書にウクライナが勝手に別の条項を付け加え、合意内容を骨抜きにした」と言うのだが、もしウクライナがそんな外交問題どころか開戦理由にもなりそうな姑息な手段をとったとしたら、EU側にもはっきりと判るはず。EUにしてみれば、天然ガスさえ欧州に届けばよいのかも知れないが、そうなればこそそんな卑劣な手段をとってまでウクライナに肩入れする理由は見当たらない。
 問題となっている「ウクライナが付け加えた部分」と言うのが「欧州向け天然ガスのパイプラインを監視する国際監視団の派遣をめぐる点」と報じられているのが正しいならば、「この部分がロシアにとって都合が悪いことが判明したために、言いがかりをつけて、昨日合意調印した文書を一方的に無効にする。」と言うのがロシアの意図であると考えた方が「ウクライナとEU結託してロシアの天然ガス供給を再開させようとしている。そのために条約文書の改竄までやってのけた。」と考えるよりも、遼にあり得ることだと思うがいかがなものだろうか。
 
 結論:ロシア政府は、たとえ調印しても、必要とあれば一日でその合意文書を反古にする事がある。  
 外交的信用も何もあったもんじゃないな。
 だがそんな外交は、ソ連時代のような強大な力がない限り、結局損して破綻する公算大だろう。