諸兄ご承知の通り、パンダというのは白黒の2トンカラーが「愛くるしい」動物であり、主食は笹の葉であるという。さはさりながら漢字で「大熊猫」と書くし、その体格や特徴は、「愛くるしい」模様を除けばまず熊だろう。
 熊と言えばディズニー映画「クマのプーさん」や「小熊のミーシャ」のイメージではこれまた愛くるしいかも知れないが・・・実物の熊は立派な大型肉食獣(正確には雑食獣か)であり、人間を襲うことも珍しくはない。その強さ・恐ろしさ故に日本では「山の神」とも別称されると言うし、ネイティブアメリカン(昔で言うところのアメリカ・インディアン)に取っては知恵と力の神だという。
 いずれにせよ、本物の熊は、尊敬され、畏怖される存在だったのだろう。神とあがめられるほどに
 
 パンダが神として崇拝されたかどうか私は知らないが、結構な体格と体重である事は知っている。牙は兎も角、爪は相当に鋭いし「腕っ節」も相当なものだろう。笹が主食なら草食動物宇と言って良いのかも知れないが、草食動物でも自らの領域を護るためには相当に凶暴にもなる。
 
 早い話、私なら徒手空拳でパンダの檻なんかに入りたくない。
 また、普通動物園の方も、そんなところに人が入れないようにしている・・・筈だ。

 報じられているのは北京動物園の檻の中に入り、人が噛まれたというニュース。「子供のおもちゃを御拾おうとした」と言うのだから、開園時間中に堂々とパンダの檻だか柵だかの中に客が入っていったのだ。さらには同じ報道では、以前にも「囲いの中に飛び込んだ15歳の少年」「酔っぱらった男性客が愛くるしいグーグーを抱きしめようと囲いの中へ飛び込み」それぞれ同じパンダに噛まれているという。
 
 つまりパンダの「囲い」への人間進入はこれで少なくとも3度目で、噛まれず無事逃げ帰った者が多数いる可能性を、この報道は示唆している。
 
 このような状態は、肉食動物ならぬ草食動物にとっても、相当な身の危険を感じる状態では無かろうか。
 ましてや上記の酔っぱらいは、あろう事かパンダに抱きつこうとした。人間の女性でも平手の一つも喰らわす処だろう。

 以上から、この報道の意味するところをまとめると、以下の通り。
(1) 北京動物園のパンダの侵入警備は極めて緩い。パンダを盗み出すとしたら、絶好の穴場だろう。
(2) 北京動物園の観客のマナーも、スタッフのモラルも、相当に低い。中国人なら仕方ないか。
(3) 侵入者に3回とも噛み付いたのは同じ「古古(グーグー、Gu Gu)」だと言う。彼は(余程腹を減らして人間を喰おうと一念奮起したので無ければ)自らの領域を護る意識の強い「防衛意識の高い」個体であると考えられる。ひょっとすると、群のボスのつもりなのかも知れない。

 古古を「凶暴パンダ」と報じるAFP通信は、正に濡れ衣を着せているのでは無かろうか。