世に屁理屈の胤は尽きず、故に曲学阿世の徒という者が滅び去ることもないのであろうが、それにしてもこれは・・・
 報じられているのは、米アダルト業界の重鎮二人が50億ドル=4600億円の財政支援を要求しているというもの。かの重鎮曰く「米国の性的欲求を回復させるため」「(人びとが)非常に落ち込んでいて性的に活動的になれない」と主張した上、「自動車などがなくても米国民はやっていけるが、性なしではやっていけない。議会が米国の性的欲求を回復させるべき時だ」と主張していると言う。
 「アダルト業界の重鎮(*1)」と言うのは「成人向け男性誌「ハスラー(Hustler)」創刊者のラリー・フリント(Larry Flynt)氏」と「「ガールズ・ゴーン・ワイルド(Girls Gone Wild)」シリーズのクリエイター」と言うから官能小説家かAV監督なのであろうジョー・フランシス(Joe Francis)氏だと言う。
  
 アメリカン・ジョークであるならば、まあ出来は宜しくないが笑えないことはない。
 
 が、まじめに主張しているのならば?
 
 「言い訳産業」なんて言い方が、かつての米自動車業界にされたことがある。言うところは「売れない理由、儲からない理由ばかり巧みでちっとも業績の上がらない(でも潰れない)産業」と言う意味だったと思うが、米国ではアダルト業界まで「言い訳産業化」したのではないかと疑われる。
 言い換えれば、実際に物を作って売るよりも、訴訟や公的資金を求めることで利益を上げようとしているのではないかと。自由主義経済の誇りを反古にして。
 
 大体、景気が悪いからと言ってアダルト産業にどれほどの影響が在るというのだ?確か欧州だか豪州だがの以前のAFPの記事では、景気が悪いために娼婦が繁盛しているという記事があったではないか。
 「性無しでは(アメリカは)やっていけない」と言うのは真理ではあろうが、何もアダルト雑誌やポルノを買わなければセックスできないわけじゃあるまい。(それとも、出来ないのだろうか?その方がよっぽど不健康だが。)
 
 この屁理屈の付け方と図々しさは、中国人を彷彿とさせる。
 いつからアメリカ人は中国人になったんだ?
 これが本当の米中接近??

追記:その後の報道では http://www.afpbb.com/article/economy/2559310/3693501 ドイツのアダルト業界も政府の財政支援を求めているという。
 「アダルト業界は世界的に不況」と言うことかも知れないが、そんな財政支援で不況が好転するとはとても思えない。
 それとも、ドイツやアメリカのアダルト業界は、自動車産業並の巨大産業なんだろうか?(そんな国も嫌だなぁ。)

<注釈>
(*1);アダルト業界という業種に「重鎮」と言う表現は甚だそぐわないが。「大立て者」とか「成功者」とかの方がぴったり来る。
 が、「セイコウシャ」では「性行者」と誤解されそうか。(セイコー社さん、ごめんなさい。)