報じられているのは、海賊の活動が激化しているソマリア沖へ向け、支那の艦隊3隻が出航したというもの。3隻は駆逐艦2、輸送艦1よりなり、輸送艦を随伴する正に遠洋航海向けの編成だ。
 駆逐艦2隻は共にミサイル駆逐艦、即ちエリアディフェンスSAM(艦対空ミサイル)を装備する新鋭艦で、特に写真にもある艦番号171「海口(Haikou)」は、艦上構造物四囲にフェイズドアレイアンテナと思しき構造を持ち、「中国版イージス艦」とも推定される最新鋭艦。もう一隻の「武漢(Wuhan)」も略同型艦(※1)であり、これまた新鋭艦だ。
 ちなみに中国海軍(※2)は攻撃原潜も戦略ミサイル原潜も空母も有するが、水上艦艇は案外大した船が無く、今回派遣する二隻が空母及びSovremenny級駆逐艦に次ぐ最大の水上艦艇である。
 
 最新鋭の大型水上艦艇を、支那がソマリア沖に派遣する事が、報じられている通り「中国沿岸の防衛や、友好目的での海外寄港を主としてきた中国海軍の活動に、新たな1ページが加わる」のは間違いない。中国にしてみれば水上艦艇の遠洋作戦能力の訓練であり実証でもあるだろう。
 
 Blue Water Navy即ち遠洋海軍の実現及び遠洋作戦能力の獲得という、中国の国家戦略の一環であると見て、まず間違いない。
 
 他の報道では、日本もまたソマリア沖に海上自衛隊を派遣しようと検討を開始したとの由。日本の場合まともに活動しようとすると法改正が必要であり、それだけ法律、ひいては憲法に縛られている訳だが、支那はじめとする諸外国には憲法九条等という余計な物はないから、その点では気軽に派遣できよう。
 
 「海賊相手に海軍を出すのか?海上保安庁で十分ではないか。」との説もあるが、海保庁の遠洋作戦能力はかなり制限される上、海賊の装備はロケット砲から肩撃ちミサイルにまで及ぶのだから、海上保安庁の一部船舶は機関砲を有するとは言え、この海賊相手では相当荷が重かろう。

<注釈>
(※1) の割には先述のレーダを始め、多くの点が異なるが。
(※2) PLAN:People's Liberation Army Navy 人民解放海軍と訳すが、直訳すると「人民解放陸軍海軍」になる。