報じられているのは、先に上院で可決できなかった米3大自動車メーカの救済について、米国政府が金融安定化法の適用を検討しているというもの。

 どうも法律に素人の私にはよくわからないのだが、金融安定家宝というのだから、金融を安定させるための法律なのだろう。「不良資産救済プログラム(Troubled Asset Relief Program、TARP)」とも言っているから、不良資産を救済するために、不良資産を抱え込んでしまった金融機関に公的資金を注入するという法案だろう。かつてバブル崩壊の頃に、日本政府が銀行に公的資金を投入したように。

 であるならば、何でその法律で、赤字抱えているとは言え、かついかに巨大な企業とは言え、自動車メーカにその公的資金を投入できるのかがまず判らない。
 「潰すにはあまりに巨大であるが故に、自動車メーカといえども金融機関とでも何とでも見なすことが出来る。」と言うことだろうか。
 あるいはトヨタが「トヨタ銀行」等と揶揄されたように、米国3大自動車メーカも、金融業に相応に力を入れていたから、金融業と見なせる、と言うことだろうか。

 次に判らないのが、この3大メーカの再建策だ。すでに今回の公的資金投入のため、「役員報酬1$」等の再建策が立案されていたが、それを説明してなお、下院では可決されたが上院では可決されなかったのだから、今度は金融安定化法で資金を投入するとは言え、救済策が現状案のままで済まされる可きではない。
 「日本車のような小型車を作るべきだ。」と言われ続けて幾星霜。それでもハマー軍用車輌の民間型何て途轍もなくでかい車を目玉商品としてきた責任は明らかにされて然るべきだろう。

 アメリカと言う国は、ベンチャー精神起業精神が旺盛な反面、家業とか伝統工芸と言ったものを軽視するというか重大視しないところがあり、かつては多くの工作機械メーカを擁しながら、その商売が「あまり儲からない」と見るや、大した未練もなくたちまち壊滅させてしまった実績がある。
 私は企業やメーカのあり方として、上記のアメリカ工作機械メーカのようなあり方が正しいとは思えないので、米3大自動車メーカが自動車を作り続けることは基本的に正しいことだと考える。
 だからといって、銀行に貸すべき資金をただ流用して「以上終了」では、公的資金を注入、つまり貸し付けた米国政府にとっても、また救済されたとは言え今後も自動車を作り続けるべき3大自動車メーカにとっても、不幸な結果となるだろう。