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海上自衛隊の保有する新明和US-1。「荒れた海を越え、着水までは何とかしますが・・・」

 米国防省が、特殊部隊潜入用に潜水可能な航空機の開発に着手するという報道。
 目的は、敵国への隠密かつ迅速な侵攻(と撤収)1000海里の巡航して、100海里の低空飛行の後、12海里の潜水航行と記事は報じている。最後の12海里の潜水航行が、「敵国領海内は潜行」の意味だとすると、この飛行-潜行行程は片道分だ。
 即ち、この航空機は往復で2200海里(そのうち200海里は低空飛行)の飛行航続距離と、24海里の潜行航続距離を最低限有しなければならない。航空機としてもなかなか堂々たるモノだ。
 昔、外国製特撮モノに、艦首の部分が飛び出して航空機になる潜水艦、と言うのがあったが、同記事にもある通り、潜水艦を飛行させるのは困難であるから、可潜深度を最小にして「潜水できる航空機」とするという。このコンセプトは、多分正解だろう。
 特殊部隊潜入用と言うことだから、速度はそう高くなくても良さそうだが、記事にあるとおり「荒れた海を越え、さらに潜水し・・・」となると、まず荒れた海に着水しなければならない。帰途も考えるならば離水もだ。
 つまりこの特殊部隊潜入用可潜航空機は、可潜であるのもさることながら、まず優れた飛行艇もしくは水上機でなければならない。
 なにしろ波高が3mもあったに日は、離着水できる飛行艇は、世界中のどこを探しても、我らが海上自衛隊の保有する新明和US-1とその後継US-2しかないのだ。ひょっとすると艇体(胴体)で浮く飛行艇よりも、フロート(浮船)で浮く水上機の方が荒海に強いかもしれないが・・・
 因みに、航続距離2200nmは、US-1並である。US-1はターボプロップ4発機だから、ジェットにすれば航続距離としては有利だろうけれど、潜水するときに困りそうだ。
 着水した後がまた大変だ。浮いた状態(着水はともかく、離水のことを考えると、水面では浮いた状態にならざるを得ないだろう)から沈むためには、潜水艦同様海水を機内に取り込むか、下向きの力を受けるように舵(主翼・尾翼が兼任?)なりスラスタなりを動かし、進むための推進力を発生させ、シュノーケルを使うならそれに吸気系を切り替えて、「最小限の可潜深度」とは言え水圧及び水の動圧に耐えなければならない。

 まあ、超音速水上戦闘旗などと言う、冗談のような機種を、試験飛行までやってしまえたアメリカならば、何とかしてしまうのかもしれない。
 どんなコンセプト図が出てくるか、楽しみだ。

 別の記事 http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200810071320 によると、乗員8名と貨物900kgを運ぶとの由。やはり新明和US-1&2のターボプロップ4発ほどではないにせよ、双発は欲しいぐらいの仕様ですね。