国籍不明艦が領海侵犯 高知沖 防衛省が発表
2008.9.14 20:04 MSN産経ニュース http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080914/plc0809142011002-n1.htm より、以下転載します。

このニュースのトピックス:自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」 14日午前6時56分ごろ、高知県足摺岬の豊後水道周辺の領海内で、国籍不明の潜水艦が潜望鏡を出して航行(※1)しているのを、周辺海域を航行していた海上自衛隊のイージス艦「あたご」が発見した。あたごはソナー(水中音波探知機)による捜索を続けたが、約1時間半後に見失った。防衛省は国籍不明の潜水艦による領海侵犯事件としてP3C哨戒機や護衛艦などを出して潜水艦の行方を捜索している。

 照会結果などから潜水艦は自衛隊や米軍所属でないことが判明した。あたごに発見された潜水艦(※2)は領海内を南方に5分程度航行し、領海外に出た可能性が高いという。あたごは潜水艦を発見後、アクティブソナーによる水中音波探査などを使い追尾を続けたが、潜水艦は午前8時39分に追跡を振り切った。

 防衛省によると、潜水艦が発見されたのは、足摺岬の南南西約57キロで、日本領海の内側約7キロの海域。あたごの艦長や見張り員が潜望鏡らしきものを目視で確認した。外国の潜水艦は領海内では浮上航行が国連海洋法条約で決められており、潜望鏡を出しての航行は領海侵犯だとすれば意図的だった可能性が高い。

 福田康夫首相は14日、防衛省に「追尾、情報収集を徹底して、万全の態勢をとるように」と指示した。政府は、潜水艦の国籍が判明すれば(※3)、相手国に抗議し、再発防止を求める方針だ。林芳正防衛相は同日、「(イージス艦の)アクティブソナーなどから判断しておそらく潜水艦だろう」と述べた。ただ、防衛省関係者は「クジラや魚群を潜水艦と誤認するケースは多い。潜水艦でない可能性も含めて慎重に調べている(※4)」と語った。

 外国潜水艦の領海侵犯事件では、平成16年11月に中国の潜水艦が沖縄県石垣島周辺の領海を侵犯し、政府が海上警備行動を発令したケースがある。政府は中国海軍の原子力潜水艦と断定し、中国側に抗議した。

 防衛相は警察機関では対処が不可能と認められる事態が発生した場合、首相の承認を得て自衛隊部隊に海上警備行動を発令することができる。今回は潜水艦と判断した時点ですでに領海外に出ており、再び領海内に引き返す可能性が低いことから発令を見送った。


<当ブログによる注釈>
(※1) 潜望鏡深度とは、舐められたものだな。

(※2) これは同時に、「あたご」のソナー範囲内まで当該潜水艦の接近を許したことも意味する。
 そりゃ米空母に比べれば、イージス艦の価値は低いだろうが、我が海自切っての高価値艦であろうに。

(※3) ただ追尾しただけで、国籍が判明するとすれば、スクリュー音の音紋データによる他ないが、音紋データは機密データだ。そうおいそれと国籍判定の証拠としてよいものではない。
 そう考えると、福田首相のこの指示は不完全だ。拿捕・浮上させない事には、潜水艦の国籍なぞ、明らかに出来ないのだから。

(※4) これは異なことを聞く。スクリュー音を得ていないということか。それすら肯定も否定もしないという慎重策か。