花の舞い…再び金沢の城にも春爛漫の訪れましたこと。
古来 …万葉集の歌人たちは、四季の花々を愛でて詠んでおりました。
みなさんもご存知の万葉人の歌を紹介いたしましょう。
あしひきの 山桜花日並べて 斯く咲きたらばいと恋ひめやも
あしひきの やまさくらひならべて かくさきたらばいと こいひめやも
山部赤人(やまべのあかひと)
訳 …桜花が幾日も咲き続けてくださるなら …これほど恋焦がれることもないのに
すぐに散ってしまうのです。
その万葉集も…梅を詠む歌は、百十九首と…たくさんございますが。
桜(当時は山桜のこと)を詠む歌は、四十六首と少のうございました。
嬢子らの 挿頭のために 遊士の蘰のためと 敷き生せる 国のはたてに
咲きにける 桜の花の にほひはもあなに
おとめらの かざしのために みやびのかずらのためと しきませる くにのはたてに
さきにける さくらのはなの においはもあなに
若宮年魚麿(わかみやのあゆまろ)
訳 …乙女らの挿頭(かざし)のため、そして風雅を愛す人の蘰(かずら)のために
天皇が治める国土の果てまでも咲き誇る桜花の美しいこと
その昔…
娘らが桜の花を挿頭として髪に飾ったり蘰として身に着けるのも…田の神を迎える依り代でした。
こうして桜が満開となるのは、秋の豊穣を約束するような農耕文化の意味であったと申します。
万葉の時代、山桜の咲く風景は華やかさこそ現代のソメイヨシノほどではないですが
その慎ましやかな風情には上品さが感じられ愛されたのですね。
紺屋坂を歩きながら城に向かい、桜の花を観て参りましょう。
桜も…春を満喫していることでしょうね。 石川門
兼六園に来訪されるみなさん、桜の咲き誇る季節を愉しまれましたか。
北陸も冬から春へ…ようやく桜も満開となり、待ち焦がれた人々の宴も…
かつては百間濠のあった場所は百万石通りとなり、城郭…石垣までの広場でお花見。
盃に花びら…今宵もライトアップされた城を見上げて桜の宴…
菱櫓から五十間長屋、そして続く橋爪門続櫓の周辺は水を湛えた濠が美しい。
天守閣を再建せぬ金沢城も…菱櫓ひとつをとっても勇壮な構えが見事です。
石川門の『渡櫓』を通りますと、進んだ右手の碑を読みます…
荀子の 『学は以って已むべからず』
(学問とは永遠 に続けていかねばならないのだ…という言葉でしょう。)
いつしか日は翳り…
桜越しに 鶴丸倉庫…
再建された橋爪門は金沢城二の丸の正門
明治時代に焼失してより…134年の歳月を経て蘇りました。
高麗門形式である『一の門』、石垣と二重塀で囲われた『枡形』があり
櫓門形式の『二の門』からなる枡形門、枡形は城内でも最大の規模を誇るのです。
橋爪門には番所があります 当時のままに…。
こうした石管をめぐらせて辰巳用水は城内や兼六園の水路となりました。
この再建された橋爪門、そして石川門と河北門を金沢城三御門と呼びます。
桜ほど…我々日本人の心を彩る植物もありますまい。
貴女と一緒に城の花を愛でたくて…
盃は輪島塗…加賀蒔絵の重箱に宴の馳走を用意いたしましょう。
城春にして 桜花舞う調べ 今宵弾く… 君の住む惑星の風
(しろはるにして はなまうしらべ こよいひく…きみのすむほしのかぜ)自由詩 ケイ
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