イタリアのBENELLI社製 トルネード900Tre の写真。
芸術的な美しいデザインと設計思想でしょう。
古代ギリシャ神話の…ヘカトンケイルという言葉。
その名の由来は、『百の手』を意味しています。
ラテン語で翻訳され、 Centimani とも言うのですが。
ヘシオドスの『神統記』によれば、
偉大な天空神ウラーノスと地母神ガイアの息子である
『コットス』と『ブリアレーオス』、『ギューゲース』という三兄弟がおりました。
ヘカトンケイル達は巨人族、その醜い容貌のために…
父である…ウラーノスにより、深淵な地獄穴の『タルタロス』に封印されてしまいました。
オリンポス山の神々とオトリュス山に陣を構えるティターン族との戦い
『ティターノ・マキアー』
10年にも渡り続いた膠着状態を見かねた『ガイア』の導きにより
主神『ゼウス』は、地獄穴タルタロスから三人を助けたのです。
ともに助け出されたのは…一つ目の巨人サイクロプスの三人。
その恩寵に応えるため
ヘカトンケイルは、強大なティターン族と戦いました。
それまで膠着状態に陥っていた戦況を激変させています。
世界を揺らがせ破壊し尽くすほどと語られる『ティターノ・マキアー』。
ゼウスの『雷』やポセイドンの『三ツ又の鉾』、ハデスの透明になれる『兜』などで知られる神々の武器は鍛冶技術を持つサイクロプスの手によりこの戦いで作られました。
ヘカトンケイルの乱入はゼウス側を勝利に導いたのです!。
その後は、敗北してタルタロスに幽閉されたティターン族の監視に就きました。
こうして、ヘカトンケイルは地上から姿を消したのです。
ヘカトンケイル、…百の手を持つというのは?。
実際に百本もの手が生えていた訳ではありません。
実に様々な能力や才能~力を備えている特別な人物だったということでしょう。
あたかも手が百もあるように~およそ何でも出来る優れ者であった。
現代の学校やビジネス社会の現場に、そんな会社員がいたら影の主役?。
(孫子の兵法流に表現すれば、善く戦うものは…名も無く…功もなし。)
その反面、さぞや周囲から妬まれ疎まれてしまうでしょうね。
並みの親達は、無意味に悔しさ滾らせ争うか裏で罵声を浴びせあう風景。
いつの世にもある噂好きの~呆れた姿でしょうか。
美貌の小野小町も才知に長けた勝海舟も、賞賛の影で貶める人間達がいる。
醜いのは、ヘカトンケイル?を取り囲む周囲の人間の嫉妬心や諦めの投げやりさ。
どちらも可笑しいほど人間のプリミティブな面を露骨に現したことでしょう?。
荒野で生き抜ける狼は、都でも逞しい。 家畜は生きる意味を”餌代”に換えて放棄した。
誰もが、ただひとつのことすら大成できないという事実があるから。
苦もなく万難を廃して、情況を好転させる手腕の持ち主は羨望の的。
現代に…ダ・ヴィンチや諸葛亮孔明などが生きていれば?
きっとヘカトンケイルと賞賛されたでしょう。
あまりに分業化し過ぎた結果、進歩に翳りが見え始めた人類。
人は…真心までも分業してしまったのでしょうか?。
失いつつある意欲や探究心、正義の心も、純粋さを軽視し、容易いものに分けてしまった。
(苦を捨てたつもりで、愚と痛みに狂乱する欺瞞に満ちた社会。)
数の論理と叫びながら、惰眠を貪り学ばず…遂には手をとり協力し会うことも衰えた民衆。
『尊い価値』は、苦もなく与えられたからといって体現できはしないのです。
理性無き歪んだ平等観念は、差別する心理の元凶であり愚かさに拍車をかけた。
崩壊の序曲を自ら奏で、万難に打つ手もない考えない俗人でよいのか?。
この日本も切り崩し、平らに埋め立て地でも増やせば…最後は津波も来ないのに海の中。
共に高める資質を疎み、愚劣行為の果てに堕ちる。
全てが一時凌ぎの演説でしかないから未来がない。
無恥な者が威張っていたければ、より弱く愚かな者を従属して自己満足するしかない。
己がすべきことを出来ない(無能より情けない不能?)焦燥感を隠す人の虚ろな群れだけでしょう。
淫欲にとり憑かれ、己の浅はかな都合ひとつで争う世人。
とても、そんな中から…非凡なヘカトンケイルは産まれて育ちません。
脆弱さに途方に暮れ…感染症にすら脅かされる人々。
種の低劣化、退化していく肉体と精神。
道化が浮かれる街…為政者は酷民?を死の谷に誘う。
盲目なる心の群れが虚構の画像に狂喜し卑屈さに饗する。
ヘカトンケイル…それは心身の健やかさ、せめて…最もあるべき人の姿。
さて、”BENELLI”ですが、日本製の過激なバイクからみればマイルドな部類かも。
最適なバランスを求めたエンジンの搭載位置ゆえにラジエターがシート下にある。
リアエンドにある2つ並びの冷却用排熱ファンなど構造的な工夫や面白み。
BENELLI(ベネリ)は、戦前から初期のバイク世界やレースでも卓越した成績で知られ。
未亡人のテレサ奥様が、6人の御子息の将来にと…設立された会社です。
息子のアントニオ君は、腕のいい開発ライダーとして同社の発展とレースでの勝利に貢献。
知られざる栄光と流転する運命。
イタリアでは初期のバイク発展で躍進を続け、そして一度は消えた夢の路…
1995年、BENELLIブランドは復活を遂げて…2002年には旗艦900Treをリリース。
その灯火…いや地中海の旋風は消えていません。
あくまでも人間主体の好パフォーマンスを発揮するBENELLIの凄さ。
日本製バイクとは一線を画する思想と性能であっても、求めるものはライダーの官能を昇華する性能。
まさに芸術の国、イタリアの匠が創造した逸品はアート。
バイクを愛した多くのヘカトンケイルやサイクロプスの腕で誕生した風の神器。
旋風の記憶は駆け抜ける。
(※ いまや中国の銭江グループの傘下になりオートバイを生産しています。)
真の平等とは、進歩の始まるスタートライン。
偽りのゴールラインではありません。