小学一年生のころ。
「ゼロくんは誰が好きなの?」
こう聞かれるのが、めんどくさかった。
聞かれる度に、
「姉ちゃんかな。」
と答えていた。
姉のことは好きだったけど、もちろん異性としてなんて意識してるはずはなく、こう答えておけば、たいていの女子は納得してくれるから楽だと思っていた。
そして、
二年が経ち小学三年生になった。
ある日、
「ゼロくんは、誰が好きなの?」
また聞かれた。
だから、お決まりの答えを返したんだ。
「姉ちゃんかな。」
その日以来。
“シスコンゼロくん”という噂がクラスの女子の間で広まった。
いつの間にか、「姉ちゃんかな。」で誤魔化しきれない歳になっていた。
しみじみ、自分が大人の階段を登っていることを感じた。