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ご訪問ありがとうございます。
胸膜中皮腫を患い、抗ガン剤投与4クール。
現在は自宅療養中のやすぼんでございます。
気の向くままに、闘病生活を綴ります。
よろしくお付き合いくださいね(*´꒳`*)
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(長文注意です)
この日の空は生憎の小雨。
ホテルをチェックアウトし、大森駅の小さなカフェでモーニングを取ってから出発。
JR→りんかい線→ゆりかもめと乗り継いだ。
ゆりかもめでは、あれがフジテレビだのこれが豊洲市場だのとはしゃいでいる内に、「新豊洲駅」までやって来た。
そして降りる段階になって、最寄駅が「市場前」だったことに気付く。
降車駅をミスリードした僕への妻の小言と冷たい雨粒とを傘に受け、水溜りを避けつつ歩いた。
入り口は車道の裏側。
雨模様のせいか、それとも10月にしては肌寒いせいか。
目的の建物はそっと控え目に佇んでいた。
扉に近付くとスタッフが中から扉を開けて、笑顔で迎えてくれた。
扉の隙間から漏れ出た温かい空気が、僕らを包み込む。
中に入ると、印象が一変した。
間取りが広く、木の温もりが感じられるこだわりの家具で整えられている。
窓を大きく取って、外光を多く取り入れる設計は、マギーズセンターの方針だという。
優しい空間に腰を落ち着けると、冷えた身体と気持ちが解される。
ここには看護師や臨床心理士などの医療専門職が常駐していて、ガン患者や患者の家族の憩いの場として活用されている。
マギーズセンターの活動趣旨に賛同して寄付をするなどの条件付きで、患者会の開催も可能とのこと。
応対してくださったのは、看護師のIさん(公式HPでは公開されてないので、イニシャルだけで)。
ターミナルケアや訪問看護、緩和ケアを経験されている。
僕が、自分の病気が胸膜中皮腫である事を話す。
すると、広島の呉でお勤めされていた頃、造船の現場作業に携わってアスベスト被曝した方がいらしたとのこと。
またターミナルケアでは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病の患者さんを受け持たれた。
ALSは運動ニューロンが侵される進行性の疾患で、四肢筋力の低下に始まって次第に話すことができなくなり、最後には自発呼吸ができなくなる。
しかし自律神経や知覚神経は維持されるため、意識は最後まで明瞭だという。
ALSの患者さんのエピソードを二つ話して下さった。
一つ目は延命処置の話。
患者本人は人工呼吸器を付けての延命処置を望んでいなかった。
容態が進行して自発呼吸ができなくなり、遂に患者は意識を失った。
患者の家族は医師に頼んで、人工呼吸器による延命処置を施して貰った。
患者は意識を取り戻したが、自分がまだ生きていることを知って、絶望した。
そのあと患者は、家族の見てないところで医療スタッフに向かって、延命処置の中止を懸命に訴えた。
事故に見せかけて、人工呼吸器を停止させる様に懇願したのだった。
二つ目はリハビリの話。
幾つになっても筋肉を鍛えれば筋力アップができる。
これは健康な人の場合。
ALS患者においては事情が違う。
筋肉を使うと、その部位の運動ニューロンが侵される。
つまり、鍛えた分だけ早く病状が進行する。
ある患者は、そのことを承知の上で、しかし衰えていく筋力を取り戻そうと、懸命にリハビリに取り組んだ。
患者の家族も医療スタッフもそれを制止しなかった。
やがて患者は納得して、自らリハビリを断念した。
生きているだけで感謝。
生きているだけで喜び。
妻が、患者の家族として、いっばいいっばいで苦しいときがある。
家族の立場では患者本人にどの様に接したら良いのか、と問う。
答えになるか分からないがと前置きして、看護の大先輩から教わった言葉を話して下さった。
『看護とは、自分の心のコップが幸せで満たされて、さらにそこから零れ落ちた気持ちで行うもの』
『苦しいと感じるのは、自分の心が満たされてないから』
妻は何かを感じ取った様子だった。
名残惜しかったが時間となったので、記念撮影に加わってもらう様にお願いしたら、快く受けて下さった。
また運良く代表の秋山さんがいらしていて、記念撮影に応じて下さった。
お別れの挨拶の後、隣のIHIステージアラウンド東京に集まる大勢のお客さんの流れに逆らいながら、「市場前」を目指したのだった。
[お知らせ]
マギーズ東京が今週の土曜日、TV放映!
10月21日/Eテレ(NHK教育)
23:00~ETV特集「がんとともに歩む力を」