小林季代子さん(1章と同一人物)
〔この章は彼女がガンの診断を受けてから約一年間、どのようにしてガンを消失させたのかについて書かれている〕
朝の散歩から帰ってくると、全身生姜罨法が彼女の日課。
大きな鍋にお湯を沸かす。
袋に入った生姜粉末をその中で揺すって溶く。
保温効果を上げるために塩を入れる。
抗ガン効果を期待してビワ葉エキスを入れる。
湯の中に罨法用タオルを浸けて絞る。
タオルの繊維に熱を浸透させるように何度も叩き込む。
それを8~10枚用意。
防水シートを敷いた寝袋に入る。
絞って叩いたタオルで全身を包み込む。
そのまま20分ほど蒸す。
すると、全身の毛穴から汗が出続ける。
抗ガン剤の毒素や悪い悪いものがどんどん出て行くイメージ。
そのうちに痒みが全身に出てきたが、1ヶ月ほど続けたら、その痒みが急に消えてスッキリした。
他にも、手足温浴、ビワ葉温灸、半身浴などの身体を温める手当てを組み合わせながら、午前中を過ごす。
梅醤番茶を飲んでから、お昼には無農薬、無化学肥料の玄米菜食を食べる。
そのあと、里芋パスタなど違う手当てをして過ごし、夜9時には寝る。
家族の食事や他の家事は、一切を家族に任せてやらなかった。
買い物はネットの宅配を利用し、毎日の散歩以外にはほとんど外に出なかった。
全ての時間を自分のために使えるように、ガンを治すことに専念できるように、環境を整えた。
(本文とは関係ありません)
彼女はガンを治す取り組みで小さな成功体験を積み重ねる内に、自分が思い描いたイメージ通りになってきていると気付いた。
「いきなりじゃなくて、何か一つ行動を起こすと、一つ扉が開く。いろいろ次々、もがきながらやっていくと、そのたびに、パン、パン、パンって新しい扉が開いた。そんな感じ」
2012年12月。
体験発表をして欲しいとの依頼を受ける。
ここまで手当てと玄米菜食を頑張った甲斐があって、既に彼女は一万歩、歩けるくらいに元気になっていた。
しかしこのとき、一緒に発表する仲間は、両肺のガンがいずれも半分に縮小したことを聞き付けた。
それに比べれば、自分の成果なんて…
「私、負けたくないっ」
対抗意識に火がついた。
「発表の日までに、手術で取り残した3.5㎝のガン、消しちゃうしかない」
発表は翌年の6月。
与えられた時間は半年だった。
そうして迎えた2013年5月の検査日。
イメージは確信へと変わっていた。
彼女は自信に満ちた声で主治医に訴えた。
「先生、私、治ってる気がします。検査してください」
その検査結果を聞く日。
名前が呼ばれて部屋に入ると、主治医はパソコンの画面を覗き込んでいた。
無言のままマウスを操作して、画面を上にスクロールしたり、下にやったり。
暫くしてから、ようやくポツンと口を開いた。
「な・い・ね」
(本文とは関係ありません)
主治医は続けて聞いてきた。
「小林さん、この一年、何してたの?」
彼女は、手当て、玄米菜食、散歩…身振り手振りも入れて熱弁した。
「でも先生…」
最後に思わず大きな声で言い放っていた。
「一番大事なのは、心でした!」