人間の肺活量の基準値は、機関により様々凡そ男性で3000-4000mL、女性で2000-3000mL。
健康管理センターの目標値を基準にそれぞれ3500mL、2500mL と考える。
肺活量が最も多い生き物を考えた時、一般に考えられるものは、海にすむ巨大哺乳類である”クジラ”が挙げられる。
生きたままのクジラにスパイロメーター(呼気を測る機械)を使うわけにはいかず、文献として載っているのは推測値のみだと思われる。
精度の有無は別にして、(クジラの事は専門家に任して、)
文献としては
sperm whale (マッコウクジラ) が 300-1000L (*1)
blue whale (シロナガスクジラ)が 約5000L (*2)
と示されている。ちなみに成体での大きさは、マッコウクジラ約12m、シロナガスクジラ約25mという。
一方、地上で肺活量が多い生き物を考える。
必要量の多い、すなわち体の容量が大きな生物かつ、死腔(空気を入れ変える必要がある分量)が大きい生物を考えればよい。
ということで、ゾウやキリンを思い浮かべると思う。
ゾウに関する記事は無かった(面倒だった)たが、
キリンは約40L(*3)
という情報を見つけた。オーダーはさほど変わらないと考えられるので、
海中の哺乳類と陸上では圧倒的な肺活量の差が見られる。やはり最大の肺活量はシロナガスクジラで間違いないだろう。
巷(ネット検索)では、クジラの肺活量が5000㏄という謎の情報が溢れていた。
冷静に物事を捉えれば、情報に齟齬があることは分かると思う。
盲目的に信じることも結構だが、自身の肺活量くらいはついでに考えても良かったかもしれない。
*1 Clarke, M. R. (1970). Function of the spermaceti organ of the sperm whale. Nature, 228(5274), 873-874.
*2 https://www.whalesforever.com/whales-lungs.html
*3 新・病態生理できった内科学2
追記:sperm whaleでマッコウクジラという何とも信じがたい英語名をしている。脳液が精液に似てるとか似てないとか...