序章
穏やかな木漏れ日の中風が通り抜ける時 彼らの胸騒ぎが起こり始める。 平成も終わり告げ新たな年号も20年は過ぎようとし ていた頃、都会の大きな力に覆い尽くされ もがき、這いつくばりながらも叫びを押し込みこれ からやって来る新たな時代の風に吹き戻されてしま うとは、この時誰もが予想すらできなかった。 青い光に照らされた店先には、土曜の夜にはうって つけの人目を惹く巨大なオブジェが置かれておた。 織物を織る単調な機械音と共に真剣な眼差しで 織物と向き合ってる健一の姿がそこにあった。 全てを投げ出しその場所を見つけたどり着いたに彼 は座っていた。 「その光る糸は何処から来た?」と店先で見ていた 初老の客の視線の先に、健一の織る織物の中に混ざ る1本の光る糸があった。 蒼く、鮮やかに輝きを放ち、天まで繋がっているか のように見えた。 悠久の古からの贈り物のようであった。