それは狭い集落を抜け
国道のバス停に止まって
利用者さんを乗せてドアを閉めた時でした
勢いよく前に出て止まった黒い車
そして勢いよく、その車のドアが開きます
あ、これ、いちゃもんつけられるヤツ?
そう思って身構えていたら
中から出て来たのは
ミキちゃんでした
閉めたバスのドアをまた開くと
焦って飛び込んでくる彼女に対し
かなり冷たいビームを目から出しながら
「何しとんの?」
と、言うと
息をきらしながら
「今の○○君のお母さんやねんけど」
「遅刻するから乗っていき!って送ってもろてん」
「遅刻って…着いたら昼やけど?」
「バスに遅れるって事やん、老犬さん待っててくれへんもん」
「なんで見えへんヤツ待つねん」
「3分も走って来てんで」
「元気やなぁ」
「いや、フツーやろ」
「オレはムリ」
「年寄りやから?」
「いやいや、3分動いたらウルトラマンかてひっくり返るっちゅーねん」
「ワハハ!一緒にしなや」
「誰と誰をやねん!そんでなんで遅刻しとんねん」
「ミキ今引きこもってんねん」
「は?こないだヘソ出して来とったやん」
「いつ?」
「いつやっけ?」
「覚えてないん?痴呆出てきたん?もうオジイちゃんやもんな」
「自分で覚えとけや」
「ムリ、ミキ引きこもりやから」
「血色えー顔してナニ言うとんねん、で、今日はドコ行くん?」
「学校やっちゅーねん!このカッコ見て分からんかな」
「あ、そう…相変わらず短いスカートはきよって」
「ナニ見てんねん!変態!」
「どないせぇっちゅーねん…」
と
昼前に一応学校の近くで降りたミキちゃんでした