10年前に過疎化の波で地元の小山町も隣の御殿場市に吸収合併された。
今日の北郷中・小山中の2021年度卒業生合同同窓会は御殿場駅前のホテル御殿場館で行われる。
兄の綾也も地元には就職せず中堅のIT企業で課長をやっている。今はマッチングアプリで知り合った3歳の年下の奥さんと3人の子供たちと千葉に住んでいる。妹の葵も未だに独身だが東京のイベント会社で働いている。
すでに両親とも仕事もリタイヤし悠々自適に暮らしている。同窓会では飲酒もするために母に車で送ってもらうことにした。
車内で久しぶりに母と話をした。
「郁也はお父さんに似ずに髪の毛がふさふさでよかったよね。綾也なんて40歳前から無くなっちゃって今ではスキンヘッドだから可哀想だよ。」
「綾也にも教えたんだけどな。俺が大学時代からずっと使っている育毛剤のことを。高いからって買わないからだよ。」
「結婚を早めに出来てよかったよ。ちょっと遅かったら一生独身だったよ。」
「独身といえば葵も38歳になって結婚する気はないのかな?」
「あの子は大学出てそこそこの給料をもらえているから結婚できなくても生活できるんだよ。自分でマンションも埼玉に買ったしね。」
「綾也とも葵ともずっと会ってないな。」
と話しているうちに御殿場館の前についた。
北郷中の受付には航輝とことねがいた。小山中の受付にはと見たことがある小山中の男性と見たことのない女性がいた。
軽く航輝とあいさつを交わし会場に入っていった。
4人掛けのテーブルが何個かに分かれており名札のあるところに座った。
すると対面の美人の女性が話しかけてきた。
「お久しぶりです。私わかりますか?」
一瞬見てわからず凝視してると、彼女はバッグからマスクを取り出しおもむろにかけた。
あっ!と僕は思った。
「あ~前進塾にいた琴音さんですか!」
心の中では鼻が違うじゃんと思いつつ・・・
続く