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幼稚園での僕には、ライバルがいた。
彼の名前を正確には思い出せないのだが、
何のライバルかといえば、
砂ダンゴ割りゲームのライバルである。

まさか幼稚園児が自分たちが興じるその遊びに、
そんなネーミングをするわけはないのだから、
砂ダンゴ割りゲームという名前は、
たった今勝手に名付けた名前である。

要するに、砂ダンゴを作って、
一方が下に置き、他方が上から落とし、
割れなかった方が勝ち、という単純なゲーム。
その遊びに僕たちは夢中になった。

ライバルとの対戦成績はよく覚えていないけれど、
苦戦していたような覚えがあるので、
彼の方がいささか上手だったかもしれない。

あるとき僕はズルを考えて、
砂ダンゴの中に大きな石を詰めて握ったことがあった。
それで勝負に出た。
しかし、けれども、だけんども。

石を詰めたインチキ砂ダンゴは簡単に割れた。
砂をしっかり握っていないからなのだろう、
割れて石が露わになって、インチキがばれた。
恥ずかしい思いを笑ってごまかしたのだろうか。

負けた記憶はあるのだけれど、
それをどう取り繕ったかは覚えていない。
幼稚園児の僕がそんなズルをすることを、
認めたくない意識が、その部分の記憶を、
消し去ってしまったみたいに。

そうやって悪知恵を働かすことを、
経験しずる賢くなり、
いやな性格を形成した部分もあるのかと思う。
子どもだましの悪知恵だろうが、
ズルはズルなのだ。

今頃になって、反省し懺悔したところで、
彼は許してくれるだろうか。
彼が許してくれたとしても、
悪知恵の経験値が、
それを容赦してくれるだろうか。

 


(Facebookページ「目高の滝登り」より)