晩御飯のハンバーグを食べ終わった頃、


家のガレージに父親の車エンジン音が聞こえた。



エンジン音が消える。




<もうすぐ玄関が開く・・・>





健吾の体が硬直した。




今日も母親に




「お父さんが帰ったら今日健吾がやったことを言って怒ってもらうからね!!!」



と言われていたからだ。






<もうお父さんなんか帰ってこなければいいのに・・・・>




しだいに健吾の心にはこの想いが大きくなっていることが多くなってきた。







ガラガラガラッ





玄関が開いた










<お父さんが帰ってきた。。。。。>








健吾の体が最高潮に硬直してきた。




子供の健吾にとっての父親は、怖い存在でしかなかった。



ヤンチャ坊主な健吾は学校で喧嘩や悪戯を繰り返し、



問題を起こすたびに母親が謝罪してまわった。



健吾の母は自分ではコントロールできなくなりつつある息子に対し、


仕事で疲れて帰ってきた夫に不満を漏らすことが多くなってきた。




仕事疲れとストレスが溜まった状態で帰ってきた健吾の父は



その母から伝えられる出来事を聞かされるたびに




怒りが健吾にぶつかった。




健吾は次第に父が帰宅することに対し恐怖を感じるようになってきた。

男の名前は豊田健吾。



サラリーマンの父


専業主婦の母


2歳年上の姉


がいる家庭で育ってきた。



サラリーマンの父親はいわゆる企業戦士で、父の人生の優先順位は『仕事』だった。



健吾の幼稚園・小学・中学時代の参観日や運動会のイベントには決まって専業主婦の母親が参加。



父親はその日も仕事かゴルフだった。




ただ健吾は父親が来ないことに関しては不満はなかった。



それが当たり前とおもっていたからだ。