森村進,『自由はどこまで可能か』,講談社現代社新書,2001年
 近代、リバタリアニズムという自由主義的思想が盛んに論じられるようになってきた。それに共感した筆者が、読者に受け入れられるよう論述した一冊。
 筆者が述べている、政治と教育の分離、規制撤廃、公共事業の撤廃など、今ある制度の多くを失くす意義を考えさせられました。自分自身、人間は自由と規制のどちらを欠かしてもいけないと考えます。自己責任の上に成り立つ自由は、危険すぎると感じ、あまり賛同することはできませんでした。

水月昭道,『高学歴ワーキングプア』,光文社新書,2007年
大学院博士課程を修了した人たちの約半数が、定職に就けず、“フリーター”などの非正規雇用者として働いている現状に注目し、論じたもの。
研究者に特化した養成機関としての大学院は、終わりを告げ、社会全体に対する役割を変化させようとしている。これからは、人生経験豊富な社会人に、さらなる知の獲得を助け得るような生涯教育の機会を提供し、市民社会を豊かにすることへの貢献が重要となると考えられる。

西野喜一,『裁判員制度の正体』,講談社現代新書,2007年
 裁判員制度の問題点と危険性を広く国民に呼びかけたもの。
 本書を読んで、現在の裁判員制度の内容が、あまりに軽率すぎるという印象を受けました。ある日突然手紙が届き、他人を裁く側になり、その被疑者が終身刑にでもなったら、精神的に追い込まれる人も出てくると考えました。法律を学んだ専門家に判断を委ねるのが一番いいのではないかと感じました。

佐藤綾子,『自分をどう表現するか』,講談社現代新書,1995年
 複雑な人間関係の中で、より良く生きていくために、パフォーマンスという新しい種の能力を身につけようと説いた一冊。
 実物大以上のまやかしの自分ではなく、自分の人格、性質、実力や人間的魅力、考え方、感情などに代表される、「伝えたい自分」を的確に表現して相手に伝え、相手の心もしっかりと読み取って、よい人間関係を築くという目的を持って、パフォーマンス学をより深く学びたいと考えさせられました。

川島隆太+安達忠夫,『脳と音読』,講談社現代新書,2004年
 「言霊」に表わされるように、昔から言葉には強い力が宿っていると考えられていた。実際に脳科学の研究がなされ、それは証明されてきた。本書は、それをさらに掘り下げ、脳と音読の関係性を記したものである。
 本書で述べられているように、焼きつけのような教育ではなく、頭に入り込んで、いつまでたっても学んだ意味のあるような教育体制が整えばいいと思いました。子供たちを健全に育成するためには、これが一番の近道であると深く考えさせられました、

杉山登志郎,『発達障害の子どもたち』,講談社現代新書,2007年
 発達障害に関する、世間に広まっている誤解を解き、その解決策を提示した一冊。
 人間は、環境によって大きく左右される生き物であるので、何事も決め付けで終わってしまってはいけないということを深く認識させられました。また、“発達障害も発達する”という言葉がとても印象に残りました。極端な変化は見られなくとも、徐々に改善されると信じ、発達障害と向き合う社会であった欲しいと感じました。

大谷拓朗『偽装雇用 立ち上がるガテン系連帯』,2007年,旬報社
 ワーキング・プア、偽装請負、スポット派遣、ホワイトカラーエグゼプションなど、近年生み出された用語や仕組みが、働く者の権利を一気に剥奪している。すべての人間が、人間らしく生きることのできる世の中を、みんなで築こうと提唱した一冊。
 本書から多くの搾取や偽装雇用、誇大広告の実態を知りました。同じ人間として、みんなが助け合い、協力して社会が活気に付いてほしいです。立ち上がったガテン系が、水の泡とならないことを強く願います。

米本昌平,松原洋子,橳島次郎,市野川容孝『優生学と人間社会』講談社現代新書,2000年
 現代社会では、「優生」に関する考え方や思想などは、一種のタブーとされている。各国における優生学の歴史を読み直すことを通して、現在における優生学について、どのように向き合えばいいのかを説いた一冊。
 優生学の考えの下で起きた、ナチスの断種政策など、優生学を悪だと捕らえるより他ない事件が多いことは事実である。しかし、胎児に重い先天異常があり、その母親自身が中絶を望むことは“悪”なのかなど、優生学がいちがいに悪いとはいえない問題も多くあると感じました。
 また、「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉を重点に考えると、優生学は研究されるべきではないと考えました。

河合隼雄,石井米雄『日本人とグローバリゼーション』講談社+α新書,2002年
 グローバリゼーションとは、積極的に他の文化と接触し、時には対峙し、粘り強く努力を続けていくと、核になるものが見つかり、結果となって現れるのではないかと推測したもの。
 本書を読んで、言語は、人間の意志・感情を伝えるための手段であり、日本語も英語と同等で考えられるべきだという考えに、とても共感させられました。改めて、国際交流を図る上で大切なことは、“異文化世界と対話能力”を獲得することであると考えさせられた。

大西英文『はじめてのラテン語』講談社現代新書,1997年
 「死語」扱いをされているラテン語に関して、ラテン語は派生して生きており、ラテン語を習得すると、多ヵ国語をも話せるようになるとして、ラテン語を学ぶことを勧めている本。
 ラテン語は、私たち日本人からすると、英語よりも発音しやすく感じました。そして、いかにラテン語が頻出し、重要であることを知ることができました。いつか改めて学んでみたいです。

松村潔『日本人はなぜ狐を信仰するのか』,講談社現代新書,2006年
 日本で十数万社あるとされる神社の中で、その3分の1を占めるのが稲荷神社であると言われている。世界的にも珍しいとされる、日本人が「狐」を信仰する理由を説いた一冊。
 著者は、日本の狐に関する歴史には長い歴史があるので、わたしたちは意識の古層に触れることができ、貴重な体験をすることができると考えていました。日本人にとって“狐”は、空想的な中での、気持ちの拠り所のような存在だと考えられました。

オギュスタン・ベルク『日本の風景・西欧の景観』,講談社現代新書,1990年
 風景という観念を、一方で日本の社会と著者自身の属する社会のそれぞれの文化的アイデンティティを明らかにしようとするものとして、また他方ではポスト・モダンという、歴史的・比較的観点からしか有効には定義できない観念を明らかにするものとして、比較検討を行いつつ利用したもの。
 造景の時代の黎明期にあって、私たちの前に開ける展望は、環境が全体として少しずつ芸術作品になっていくので、今が後に「歴史」となると思うと素敵だなぁ、と感じました。

三浦展『「家族」と「幸福」の戦後史』,講談社現代新書,1999年
 歴史的な叙述を加えながら、「郊外」に関する諸問題を分析し、一方で現状分析と未来の予兆を述べている一冊。
 郊外は、今まで注視されてこなかった概念である。しかし、この60年間の歴史の中に郊外を位置づけ、さらに郊外を政治、経済、消費、家族、女性、若者といった様々なテーマに即して関連付けてみると、郊外を論じることは、現代である20世紀を論じることといっても過言ではなかった。郊外から新しい世代が生まれるというのは、すごく不思議なようで自然なことだと感じた。

小池清治『日本語はどんな言語か』,ちくま新書,1994年
 学校文法では、どれも同じ“主語”としてきた。しかし、日本語独自の構造に根差した方法によって構文の謎に迫った一冊。
 現在、日本語は国際化の波にさらされていると感じる。日本語が真の国際語に成長するためには、表記の面での工夫、語法の面での改良など、多くの努力を要するのではないか。自分自身の母国語を残していくために、既存の語法の見直しをすることに対して寛容な態度を示していきたい。

徳田雄洋『デジタル社会はなぜ生きにくいか』,岩波新書,2009年
 デジタル社会の変化のスピードは極めて速い。それに伴って、前提となる知識、技術、価格、制度もどんどん変化していく。このような生きにくいデジタル社会を、どのように生きていけばよいかを考察したもの。
 本書は、デジタル社会を生きるための知識、スキル、心構えのうち、心構えを主にしている。その中で、デジタル社会は「避けるべき未来」ではないことを強く感じました。また、速い変化、多機能、高性能な機器、本物との虚偽を見分けることのできる知識やスキルをぜひ学んでいこうと考えさせられました。

小笠原喜康『議論のウソ』,講談社現代新書,2005年
 
 私たちは、マスコミやインターネットを通じて、様々な言説に日々接している。その中で、マスコミなどに惑わされない、論理的思考力や批判的読み取り能力を育てようという「メディアリテラシー」の運動が活発になってきている。このように、民主主義の考えに基づいて、多数決ではなく、何が正しいのかを導く力を説いた本。
「本当のところはどうなのだろう」という、躊躇することの強靭さを兼ね備えなければ、これからの時代、情報、機械などにもだまされてしまう危険性があると感じ、恐怖を覚えました。

飯島裕一『健康不安社会を生きる』,岩波新書,2009年
 誰もが抱える健康不安を背景に、「健康ブーム」は衰えを見せない。さらに、手間を掛けずに健康効果、痩身効果を望む手法を求める風潮が強い。効率化を求め、慌ただしく動く現代社会を映す鏡のような健康ブーム。識者へのインタビューを通し、ブームのそこにあるものを見据え、「健康とは何か」を問い直した一冊。
 私自身、いつの間にか現代社会の底にある、効率化、スピード化、利便性を求め、地道に手間を掛けて健康になるという「回りくどい方法」に、ついていけなくなっていることに気がつきました。これは、言い換えれば、社会や生活の真の豊かさとは何なのかを問う問題であると考えました。

香山リカ『いまどきの「常識」』,岩波新書,2005年
 「反戦・平和は野暮」「お金は万能」「世の中すべて自己責任」などといった、身も蓋もない「現実主義」が横行している。心の余裕が失われ、息苦しい現代の中で、世間の「常識」が変わりつつある。いまどきの「常識」を浮き彫りにし、日本社会に何が起きているのかを鋭く考察したもの。
 率直にいえば、声に出してまで他人とコミュニケーションを取らず、結果は「自己責任」ということが、著者の主張なのではないかと考えました。苦笑いをしていられるうちに、どうにか「自己責任」という、人間味のない言葉を物色するべきだと強く感じました。

竹内実『中国という世界』,岩波書店,2009年
 広大な国土、大勢の人、古い歴史を持つ中国。中国とは何か、これからどこへ行くのだろうか。一つの世界を形成する独特の風土に生きてきた人々の人間観、家族観を探り、新たな中国を考察したもの。
 広大な土地であるため、地域によって文明や近代化のスピードも大きく異なる中国。謎に満ちた部分が多いだけに、今後の著しい発展に目を見張るだけでなく、多くの民族を受け入れることのできる、教養を身に着けていかねければならないと考えました。

白井恭弘『外国語学習の科学』,岩波新書,2008年
 多くの国で、外国語を学ぶ人は多い。だが、各種のメソッドや「コツ」は果たして有効なのであろうか。言語学、心理学、認知科学などの成果を使って「外国語を身につける」という現象を解明し、効率的な外国語学習法を導き出す研究を紹介したもの。
 本書を読み、第1言語は大多数の人が習得するのに対し、第2言語は、何十年移住していても、ネイティブのようにはならない人もいるということがとても興味深かった。

山本太郎『新型インフルエンザ』,岩波新書,2006年
 インフルエンザウイルスは長く水鳥と共生し、気の遠くなるような歴史を生き延びてきた。そんなインフルエンザウイルスは、自らのゆりかごである水鳥を殺し、いったいどこへ向かおうとしているのかを考察したもの。
 世界中で多くの死者を出し、未だに収束がついていない感染症がいくつも存在している。脅威とされている、エイズ、結核、マラリアもその一例に挙げられる。生態系という枠組みの中で、感染症を見直すべきだと感じました。

岡本薫『日本を滅ぼす教育討論』,講談社現代新書,2006年
 「臨時教育審議会」が設置されて以来、20年以上にわたって「教育改革」が叫ばれている。しかし実際には、日本の学校教育は、悪くなっていると考えている人が圧倒的に多い。各界における教育議論の多くは、抜本的な改革・改善を実現できておらず、「すれ違い」や「カラ回り」を続けている。このような状況を踏まえ、実効性のある改革の実現に結びつかないことについて、その背景・原因を分析・整理したものであり、その目的を、建設的な論議の展開を促すことのみに置いたもの。
 日本では、「教育」という分野を対象として、ロジカルな議論がなされにくいことが分かった。また、日本をどのような国にしたいのかという、基本的な課題であり、最終指標を立てることをするべきである。ものごとは、ゴールを決めなければロジカルとは言えないということに気づくことができた。

祖父江逸郎『長寿を科学する』,岩波新書,2009年
 現在、百歳以上の人からは、長寿の要因が調べられている。超高齢社会に対応する新しい長寿科学は、現段階でどこまで解明できているのであろうか。加齢による身体と脳機能の変化、認知症やうつ、QOLの考え方などを説き、社会のあるべき姿を考察したもの。
 プロダクティブ・エイジングは、長寿社会での生き方、過ごし方にかかわる重要なテーマであることが分かった。その中で、長い人生の具体的な生き方を描いておこうと感じた。

角川歴彦『エイズを知る』,角川書店,2001年
 アフリカではすでに、国の基盤すら崩壊し兼ねないほどのエイズの流行が深刻化している。日本も例外ではなく、年を増すごとにその患者数は増加の一途をたどっている。エイズに対する知識を深め、エイズの対抗策を模索した一冊。
 エイズの歴史から、その症状まで、今まで受けてきた教育を超えるほどの情報量と解説で、理解しやすかった。エイズを他人事にせず、エイズ撲滅に至るまで、長い目で戦っていく必要がある。

喜志哲雄『シェイクスピアのたくらみ』,岩波新書,2008年
 シャイクスピアがなぜ世界最高の劇作家と呼ばれるのか、その真意を解き明かすべく、論理的に分析したもの。
 本書の中で、「相手を知るには、まず、相手がどのような世界観を持ってして、周囲を捉えているのかを理解しなければならない」という考えに、すごく共感させられました。また、深く理解するためには、実際に、この場合であればシェイクスピアの劇を演じるなり、観るなりをすべきだと理解させられました。口だけでなく、実際動いて求める答えを見つけられるように精進していこうと感じました。

濱口桂一郎『新しい労働社会』,岩波新書,2009年
 正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。職場の現実から剥離した、その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。民主主義の本分が問われている。混迷する雇用討議に一石を投じた一冊。
 ポピュリズムやイデオロギー、ステークホルダーなど、専門用語がかなり多くて読みごたえのあるものでした。しっかりと用語の解説がなされているので、読み易かった。また、労働問題の考え方については、日本らしい雇用形態に戻すべきだという人と、欧米に習うべきかどうかを討論し合っているものが多いように感じた。

筑紫哲也『スローライフ』,岩波新書,2006年
 「スロー」か「ファスト」かの二者択一をしているのではなく、緩急自在な世の中であり、そんな環境の中で自分自身が選択をするという、「自在」に重きを置き、論じたもの。
 本書では、「勝ち組」や「ゆとり」など、現代を象徴するような語句が多く使われており、著者の考え方にも、偏りがあるように感じ、民主主義的ではないと考えました。現代病にのまれないように、自分を持っていようと思う。

村上隆『金・銀・銅の日本史』,岩波新書,2007年
 その輝きで人々を魅了してきた「金・銀・銅」は、贅沢な装飾品として、通貨として、歴史を動かす「富」そのものであった。そのいずれにしても、かつての日本では豊かな生産量を誇り、採鉱、精・製錬、金属加工の技術は、驚くべき高みに達していた。豊富な資料に基づいて、古代に始まる「モノづくり」の手わざの跡をたどった一冊。
 かつて「金・銀・銅」の生産に関わった施設や道具、さらにはその技術を、われわれの歴史に語る貴重な文化遺産として、長く後世に伝えていかなければならないと強く感じました。

喜安朗『パリ 年統治の近代』,岩波新書,2009年
 18~19世紀にかけての革命の時代、パリは激増する人口、都市騒乱の頻発で危機的な状況を迎えていた。王権・教会が弱体化する中で、近代的な都市基盤や治安体制はどのようにして創られたかを明らかにしたもの。
 機動的なポリスの始まりはパリだということを初めて知りました。フランスが、常に歴史上注目されてきた理由も垣間見ることができた。

三砂ちづる『オニババ化する女たち』,光文社新書,2004年
女性には、女としての性を生きたいという、体の意志が備わっている。女性のからだの持つエネルギーを過小評価せずに、女性の特有のものである、思春期、月経、性、出産という、もっとも本質的なことについて、再考した一冊。
 今の60代、70代の日本の女性あたりから、性と生殖、女性の身体性への軽視が始まったと考えられる。その頃から、“優しくないおばあちゃん”が増え、女性が「オニババ化」している。「総オニババ化」しないためにも、一人ひとりが、女性のからだに向き合っていくべきだと感じました。

三浦展『下流社会 第2章』,光文社新書,2007年
 下流社会への意識調査から、下流社会の特質は、単なる階級社会、下層社会ではないことが分かる。そこから伺える、現代社会における価値基準や、男女の意識の違いなどを研究した本。
 本書を読み、各場面で格差が広がっていることを実感させられた。中でも、「学歴が低く、年収も少なく、貯蓄も無く、階層意識も低い、未婚でずっと非正社員で、一人暮らしの女性が、日本はどうせよくならないからと絶望しながら、アロマを焚いて、ヒップホップを踊り、そしていちばん自分の人生に希望を持っている。」という言葉は、直接自分のことを言っているように感じられ、恐ろしく感じました。やはりここでも、気付かされたことは、自分がすべきことを疎かにしてはいけないということでした。

岡田斗司夫『いつまでもデブと思うなよ』,新潮新書,2007年
 見た目重視の現代社会で、確実に損をする存在が「デブ」だとして、まず第1に痩せるべきだと説いたもの。
 多くの人が挫折してきたとされるダイエットは、自分自身経験してきたので、共感し、理解することができた。“続けること”がダイエットのコツであり、最大の課題であることを納得した上で、著者の勧める、“レコーディングダイエット”に挑戦してみたいと思った。

宮島英紀『まだ、タバコですか?』,講談社現代新書,2007年
 大人の嗜好品として世界的に蔓延したタバコは、今では「21世紀最大の疫病」として扱われている。自分自身が体験した、禁煙の難しさなどを踏まえ、全体のタバコに関する間違った認識をなくすべく、非喫煙者にも是非読んで欲しい一冊。
 本書を読み、喫煙者である自分が、とても恥ずかしく感じるようになりました。社会全体が、タバコに関する知識を深め、断絶すべきものであると考えました。

井口泰『外国人労働者新時代』,ちくま新書,2001年
 本格的な少子・高齢化の時代を迎え、外国人労働者・移民受け入れをめぐる問題がいま、注目を集めている。人口問題を移民受け入れで解決することは可能なのかなどの諸問題を、欧米諸国の経験も踏まえて論点を整理しつつ、アジア諸国と連動した人材開発という新たな視点から、人材国際化への道筋を示したもの。
 本書から、外国人労働者に対する考え方が変わりました。外国人労働者新時代を迎えたこの時代に、21世紀において日本の少子・高齢化を克服し、多くの人材を開発してアジアに供給するなど、独自の技術を発信するチャンスであると捉え、東アジア地域のけん引役となれるよう、アジア諸国と協力しあいながらそれを実現してほしい。

溝口睦子『アマテラスの誕生』,岩波新書,2009年
 戦後の日本で、有史以来の「国家神」「皇祖神」として奉じられた女神「アマテラス」。しかしヤマト王権の時代に国家神とされたのは、実は今やほとんど知る人のいない太陽神「タカミムスヒ」だった。この交代劇はなぜ起こったのか、また、古代天皇制に意味するものは何か。広く北方ユーラシアとの関係を視野に、古代史の謎に迫ったもの。
 偶然と必然が織りなす歴史の不思議さに、面白味が伺えた。また、その時代の人々の考え方などが伝わり、昔のことながらも、新鮮味が感じられた。

川崎健『イワシと気候変動』,岩波新書,2009年
 大漁・不漁を左右する海の魚の数は、地球の大気や海と連動して数十年スケールで変動していた。この「レジーム・シフト」を著者は1983年、世界で初めて見出した。90年代以降、世界的に大きく発展した研究成果を踏まえ、これからの海と海洋生物資源の持続的利用の在り方に明確な方向性を示し、新しい地球環境観へと誘う一冊。
 海洋生物資源分割が行き届くようにと、考えら抜かれたEEZによるITQ制度の導入など、著者はレジーム・シフト界の先頭を切って走っているように思えた。第1人者と呼ぶべき人として、ふさわしく感じた。

金子元久『大学の教育力』,ちくま新書,2007年
 社会が変われば大学も変わる。大学全入時代を迎え、いまの大学の理念や組織の在り方が大きく揺らいでいる。今後も大学が未来の社会を考える場であり続けるためには、何が必要なのか。そして、学生は大学で一体何を学ぶべきなのか。高等教育が直面する課題を、歴史的かつグローバルな文脈の中でとらえなおし、大学が確実な「教育力」をもつための方途を考えた一冊。
 大学がその社会との関係を基本的に構築しなおすことが、大学の教育力を強化するための基本的な条件であることが分かりました。これからの大学教育に期待したい。

新保恵志『金融商品とどうつき合うか』岩波新書,2008年
 アメリカ発金融危機の影響が瞬く間に世界に広がり、地道に働く庶民にとって、社浦井不安は募るばかり。そんな中、金融トラブルに巻き込まれる人があとを絶たない。被害に遭わないために、まずどんな知識が必要か。そもそも普通の人々にとって「投資」とは何なのか。原点に立ち返り、「リスク」を見据えることから考察した一冊。
 本書から、リスクのない儲け話などないことを痛感させられました。金融リスクに対する一般消費者の認識を、さらに深める必要があると考えました。

佐藤勝彦『宇宙論入門』岩波新書,2008年
 アインシュタイン以来約100年で、137億年という宇宙の歴史が明らかになってきた。その研究史は逆転につぐ逆転の連続であり、現在は暗黒エネルギーの支配という深く謎めいた状況にある。日本の第1人者である著者が、理論と観測の最前線を展望し、宇宙と人類のはるかな未来を考察したもの。
 今まで、宇宙に関しては未知の世界観であり、授業で理科をかじったところで到底想像もつかない分野でした。しかし、宇宙にも論理的、科学的に説明がつき、法則がいくつも入り組んでいることで成り立っているという事実を知ることができました。理数系はかなりの苦手分野ですが、宇宙に関しては興味を持ち続けると考えました。

川勝平太『「美の文明」をつくる』ちくま新書,2002年
 かつての西欧列強による植民地化の危機にさらされた日本は、「富国強兵」を国是とすることによってそれを切り抜けた。そして今、日本は再び、水・ゴミ・エネルギーに代表される地球環境の限界に直面している。機能性のみを重視し、暴力と破壊に行きつく「力の文明」はどうすれば克服できるか。国土構想を問い直し、「美の文明」に基づいた独自の未来戦略を提示したもの。
 海、山、農、森、島など、日本を自覚するのに多様な表現を用いることが分かった。そして、水と緑の農園の国にすることが「美の文明」の基礎である、と考えると、革新的な「農芸主義」が見えてくるのではないか。

石井淳蔵『ビジネス・インサイト』岩波新書,2009年
 新しいビジネスモデルが生まれるときに働く知を、「ビジネス・インサイト」と著者は呼ぶ。この創造的な知は何なのか。M・ポランニーの「知の暗黙の次元」を手がかりに、ビジネス・インサイトが作用した多くの実例を考察して、ケースを学ぶことで習得できる可能性を探る。マーケティング研究の第1人者による経営学の新展開であると言える。
 経営学においての、事例を事細かに多数記載していたので分かり易かった。本書から、マーケティングにおいて、ビジネス・インサイトは必要不可欠であることが伺えた。

渥美和彦『自分を守る患者学』PHP新書,2002年
 世界では現在、近代医学と伝統医学を融合させた「総合医療」が、理想的な医療として大きな流れになろうとしている。長年、先端医工学の最先端を走ってきた著者が、「患者中心の医療」を実現させるため、患者自身にも学んでほしい「総合医療」の発想をわかりやすく説いたもの。
 日本の医師は日々の業務に追われ、西洋医学的治療法しか知らず、それ以外に目を向ける状況ではないことが分かった。著者の目指す「総合医療」も西洋医療が占めているが、各地にも優れた医療法が存在すると考えられる。「総合医療」として、患者、医師、行政間のギャップを埋める医療を展開すべきである。

富田昭次『「極み」のホテル』光文社新書,2002年
 ホテルは「生もの」として、その日の従業員の心の状況や利用者の雰囲気で随分と変わると述べている。その中で、そのホテル独自の“何か”を見出し、自分自身の「極みのホテル」とは何かを模索したもの。
 本書から伺える、著者のホテルに対する好奇心が感じられ、自分もいつか、長年没頭できる趣味のようなものを見つけたい。同じものを様々な観点から判断する目を養うべきだと考えました。

谷岡一郎『カジノが日本にできるとき』PHP新書,2002年
 カジノ合法化がもたらすプラスとマイナスの影響を、アメリカの先例をもとに分析したもの。「青少年への悪影響」「勤労精神の減退」「闇社会の資金増大」などは心配なく、逆に「失業率の低下」「地域振興」「税収の確保」などの経済的・社会的効果のほうがはるかに大きいことを指摘している。そして、日本の娯楽産業のあり方を問う異色の社会経済論。
 本書は、ひとつの視点からしか物事を考えていない。また、現時点でカジノができたときの場合の状況を主張したものであり、実際できた場合の新たな危険性を考慮していないので、共感できない。また、娯楽を求めてばかりいられない時代には不敵接だと考えられる。

濱田篤郎『旅と病の三千年史』文芸春秋,2002年
 旅の主役は一般庶民となり、医学もまた目覚ましく進歩した。しかし、無防備に旅立ち、現地で病院にかけもむ人は多いまま。逆に持病があっても適切な準備をすれば、旅を満喫できる。豊富な地図とともに、旅と病の歴史を遡り、病気を防ぐ「医学的旅支度」を示したもの。
 旅行医学という比較的新しい分野には、現代恐れられている「感染症」について学ぶことができた。宇宙旅行もはるか未来の次元ではなくなった現在でも、基本の心構えを欠いてはいけないと再認識させられた。

島村麻里『海外旅行のハローワーク』光文社 知恵の森文庫,2005年
 家を出てから帰ってくるまでの、一度の旅行が完結するまでに、私たちは実に多くの人々が関わっている。年間渡航者1800万人というこの国の旅行者と日々向き合い、支えている人々の現場と本音に迫った一冊。
 世界雇用者のうち、8.2%が旅行関連の仕事に就いていることを知った。旅行する側の人々だけが、情勢変化と無縁ではいられないことに気付かされました。

坂東省次『文化と歴史で学ぶスペイン語』丸善ライブラリー,2002年
 スペイン語を公用語とする国は多く、世界のスペイン語人口はおよそ三億五千万人と言われている。初心者が楽しみながらスペイン語を学べる本。
 私自身スペイン語を少し学んでいたので、スペイン語が英語に比べて、地域によって訛りもなく、発音も日本語に似ていることを確認できました。世界中の多くの人に親しまれる言語の歴史は、日本人の私からすれば極楽な雰囲気を纏ったもので、是非一度行ってみたいと思った。

内田青蔵『「間取り」で楽しむ住宅読本』光文社新書,2005年
 間取りは機能毎の「部屋」という考えを捨て去り、大きく変わろうとする気配が感じられる。多様な住み手が世界を変える、そうした時代での「間取り」に関する考え方を説いた一冊。
 住まいの歴史考える際には、ハード面よりソフト面に重点を置くことが重要である。「間取り」という身近な場の持つ大きな役割を知ることができた。
関岡英之『拒否できない日本』文芸春秋,2004年
 アメリカ政府が彼らの国益のために日本政府に要求して実現させた法律は、かなりたくさんある。そしてそのことは、アメリカの公文書には明記されてある。近年の日米関係のこの不可解なメカニズムのルーツを探り、様々な分野で日本がアメリカに都合のいい社会に変えられてきた経緯を、アメリカの公文書に則して、明快平易に説いたもの。
 現在は既に、近代化の方便として、欧米継受法が用いられる時代ではない。日本が国際社会で生き残り、敬意を払われる存在であるためには、日本のオリジナリティとユニークネスであると考える。アメリカの言いなりにならずに生き残る方法が早急に必要である。

大山典宏『生活保護VSワーキングプア』PHP新書,2008年
 生活保護対象者の餓死事件と並行して、怠けものが生活保護を食い物にしているというニュースがあとを絶たない。3500件以上の相談に応じてきた専門家である著者が、生活保護の現場から格差是正の処方箋を示したもの。
 人にはそれぞれ適するものが違う。そんな中で、餓死するものと生活保護を食い物にする二者がいるという現実を知った。生活保護は一人一人に適したものである必要があると感じた。

加藤尚武『新・環境倫理学のすすめ』丸善ライブラリー,2005年
 年々深刻化する環境問題に直面する若い世代に向けて、重い課題を名が出さないで引き受けてほしいという、「環境倫理学」の第一人者が、訴えたもの。
 生物多様性の義務を投げ出し、格差を放置し、人類が生き残ることだけを考えてきたことを反省すべきだと感じた。自分でできる小さなことから環境改善に気を配っていこうと考えた。
以上52冊
H21.8.26
自動車絶望工場


(概要)
トヨタ自動車の工場作業での内部事情を探るため、著者が実際に季節工として働いた期間の出来事をまとめたもの。

(まとめ)
・長時間手を休めることなく続く作業が、しばらくするとさらにそのペースが速くなる。
 →トヨタの“新記録を可能にするもの”
・過酷な単純作業であるため、心身ともに疲れる。→入院する者も少なくない。
・持家制度があるため、定年まで続く借金に拘束される。(日給計算の場合、期間工の方が高い。)
・誰かが辞めても次々に新しい季節労働者がやってくるので、人手に困らない。
・不況になると、大規模な派遣切りが行われる。

(論点)
・人材を会社の道具としてしか見ていないが、人権侵害には当たらないのか。
・トヨタの持家制度は任意とは言えるのか。

(展望)
・季節工、ベルト作業労働者に、何かしら発言する場を与えるべきである。
・機会と人間の“違い”を理解したうえで、労働量を調整するべきである。


以上
平成21年7月29日
沖縄幻想
清良衣世
第1章 沖縄の自然を食い荒らす者たち

(概要)
沖縄県の瀬底島は、本土からやってきた人が土地を買い占め、セカンドハウスを建てることによって、ここ数年ですっかり変わってしまった。また、開発を進めていた企業がサブプライムローン問題のあおりを受け倒産してしまい、コンクリート剥きだしのままになっている。
 過去にも、沖縄振興開発計画など、3度のバブルがあり、沖縄はその度に島の様子が変わっている。しかし、実際に変わった地域は恩納村やおもろまちなど、ごく一部分に限られており、これらの地域は、沖縄の伝統的な街並みが見られず、コンクリート建築の建物が目立っている。
本土を真似た街並みを嘆いているが、沖縄の地理的条件ゆえに、沖縄の経済は公共工事、基地、観光の「3K」で成り立っている。その中で、観光が最も具体性のある産業であるため、やむおえなかったとも考えられる。
 さらに、石垣島に憧れてやってくる若者たちの実態は、本土で行き詰まり、沖縄に来れば何とかなるだろう、などと言った、不純な動機をもって「自分探し」目当てで来ていることが多い。また、老後を沖縄で過ごそうとする団塊世代の移住も急増しているが、インフラ整備がなされていない石垣島には余裕がないことも問題になっている。これらの問題に気付かないような移住者には、沖縄に住む資格はないのではないか。

(まとめ)
著者は、せっかくの沖縄の自然を、本土や欧米を真似た生活様式を進歩だと考え、風土を無視した今の沖縄の街並みになってしまったことを嘆いている。しかし、今後も沖縄が基幹産業と呼べるのは、今のところ観光しかない。
また、本土からの移住者の急増により、様々な問題が起こっている。都市景観だけでなく、住民の意識もヤマト化が進み続けると、固有の文化を発展させてきた沖縄は、今後どうなってしまうのか。

(論点)
 バブル無くして、今の沖縄の発展は望めたのだろうか。

(展望)
 
以上