(河口湖から富士を眺める。この距離でもかなりデカいです。さる年の4月の風景。)
今回は、当方が受験生時代に用いていた暗記法を紹介します。
様々やり方を試しましたが、この方法が一番確実であること、
そして、記憶の定着率もよいことから最後まで残りました。
特に目立つような特色はありませんので、期待薄で捉えて下さい。
また、一話完結とするために、一気に最後まで述べました。
通常の2~3記事分に相当します。よろしくお付き合い下さい。
その他、この方法を採用したのは、後々の再暗記を楽にするためです。
一番最初に確たる記憶を構築すると、後々の負担が減ることも判りました。
では、今回分、以下どうぞ。
1.例文と簡易な理解
今回の例文は、法人税法で最初に学ぶであろうもの、
第22条1項を使います。
【例文:法人税法第22条1項】
「内国法人の各事業年度の所得の金額は、その事業年度の益金の額からその事業年度の損金の額を控除した金額とする。」
当初の作業として、まず、何を表現しているのか、簡易な理解に努めます。
この文章で言っていることは至極単純。理解とはいっても下記程度で充分です。
「法人税の所得の金額は、会計学をベースとするが法人税独自の調整を加えるよ。」
「その理由は普遍性・画一性と恣意性の排除だよ。」
理論関係又は計算関係のテキストのどこかに、
そんな意味のことが書いてあるはずです。
なお、条文を崩してこうした説明口調にする作業を普遍化すると、
本試験問題の事例回答の文章作りに役立ちます。
1.文章の骨格と税法独自の言葉遣いの確認
次に、タイトルの作業を大雑把に行います。
まず、文章の骨格は極単純にして考えます。
「所得の金額=益金-損金」である、この程度で充分です。
次に、税法独自の語句を適宜拾い上げ、
そこで何の定義をしているかを確認します。
例えば…
(1) 内国法人…法人の範囲を規定している
(2) 「各」事業年度は…事業年度を特定していない。普遍的なものと捉える。
(3) 2回出てくる「その」…(2)の「各」を受けている。強い意味ではない。
(4) 所得「の金額」、益金「の額」、損金「の額」…数字のことを言っている。
「額」を除いた「種別」の話ではない。
(5) 控除した「金額」…最終値は黒字赤字双方を指す。「残額」ではない。
(6) 益金「の額」、損金「の額」が益金「の金額」、損金「の金額」ではない
…益金や損金は始めからプラス側、マイナス側の話である。常識として両側を
示す必要はない
…初見の段階で、ここまでの2つの作業をサッと実行します。
最初から機械的に切り込むより、少しだけやりやすくなります。
1.作業1…言葉(暗記単位)の分解
ここから具体的な暗記作業に入ります。
最初は、言葉を分解するところから入ります。
実際には暗記作業と同時並行しているのですが、説明の関係で独立させます。
例文を分解すると以下のようになります。
(1)「内国法人の」
(2)「各事業年度の」
(3)「所得の金額は、」
(4)「その事業年度の」
(5)「益金の額から」
(6)「その事業年度の」
(7)「損金の額を」
(8)「控除した金額とする。」
これは絶対的なものでなく、感覚的にザクザクやっています。
従って、その時々で長くも短くもなるものです。
1.作業2…具体的な暗記作業
当方は、暗記する際は「進んでは戻り」を繰り返す方法によっていました。
この方法を採用した理由は、最後まで行ったはよいが、最初の方を忘れている、
この事象を避けるためです。みなさんも経験があると思います。
理論暗記に費やした数時間を絶望で終わらせないための。
そして、次回以後の暗記を楽にするための。
しつこく繰り返し、念押しをしながらゆっくり前進するイメージです。
枠を狭めたり拡げたりしながらそれを実行します。
1.作業2の説明
では、その作業を図解化しながらワンポイントを加えます。
単語単位に分解した文章は、以下の手順で暗記します。
まず、図解の上部には、例文の最初の3つの単語を並べました。
左側のアルファベットは、暗記作業の順番で並んでいます。
では、図解とその下にある解説文を交互に見ながら確認して下さい。
A 1つめの単語を3回唱えます。
(内国法人の、内国法人の、内国法人の…)
完全暗記できたことが確認できたら、Bに行きます。
B 2つめの単語を3回唱えます。
(各事業年度の、各事業年度の、各事業年度の…)
完全暗記できたことが確認できたら、Cに行きます。
※ここですぐ前進しないことがポイントです。
C 1つめの単語を覚えているか、戻って確認します。
(内国法人の…)
記憶が飛んでいないことが確認できたら、Dに行きます。
記憶が飛んでいれば、Aからやり直します。
※整わない限り前進しません。できるまでやり直します。
D AとBを繋げ、範囲を拡大します。
(内国法人の、各事業年度の…)
繋げることができたら、Eに行きます。
それができなかったら、A~Cの任意の場所から再開します。
※言葉の意味が繋がる程度の単位で二度目の確認作業をします。
E 3つめの単語を3回唱えます。
(所得の金額は、所得の金額は、所得の金額は、…)
完全暗記できたことが確認できたら、Fに行きます。
F 2つめの単語を覚えているか、戻って確認します。
(各事業年度の…)
記憶が飛んでいないことが確認できたら、Gに行きます。
記憶が飛んでいれば、Eからやり直します。
G EとFを繋げ、範囲を拡大します。
(各事業年度の所得の金額は、…)
繋げることができたら、Hに行きます。
それができなかったら、E~Fの任意の場所から再開します。
H ここまでの範囲を繋げ、範囲を拡大します。
(内国法人の各事業年度の所得の金額は、…)
繋げることができたら、次に行きます。
それができなかったら、ここまでの任意の場所から再開します。
こうして範囲を拡げ、
ブロック単位毎(〔〕や()の単位毎)に同じ作業を繰り返します。
そして、最後に全体を通しで確認し、ツメの作業を行います。
1.効 果
しつこさ満点の作業を行うようになってから、
記憶の残存量を増やすことに成功しました。
例えば、次回ミニテストの際に頭を抱えずスラスラ書けるように。
さらっとやって早く終わることより、確実性を重視したということですね。
さらに、当初にしっかりと記憶を構築すると、後日にも好影響を及ぼします。
しつこく確認した分だけは何かしら覚えているのです。
おかげで再度ゼロ発進を繰り返すということがなくなり、
トータルコストの減少に繋がりました。
当初の段階でたくさんのコストを支払って手間を掛けた分、
後日の負担が相対的に減った、このように考えて下さい。
「よろしければどうぞ」的なレベルの話ですが、
伸び悩みがあれば試してみて下さい。
…長文のお付き合い、ありがとうございました。
続きはまた次回に。
【目次:理論重視で合格に繋げよう】