2001年からスタートした『確定拠出年金(401K)』という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
今回は年々利用者数が増加しているこの制度について、どのような制度なのか、税金に優遇はあるのかをご紹介させて頂きます。
1.概要
老後に備えた資金の形成方法として以下の手段があります。
(1)貯金
(2)退職金
(3)年金
貯金については当然各人の努力次第ですが、
退職金や年金については、退職金手当がでないような企業にいる方や
今後満足にもらえるか不安になりながらも年金を払っている方もいらっしゃると思います。
確定拠出年金の特徴は「自分の老後資金を自分で形成する」という点です。
自己資金を予め用意されている預金・保険・投資信託等を金融機関を通じて増やしていきます。
その際どの方法で資金を増やしていくかは自分で選ぶ為、
資金の増減は完全自己責任となります。
また原則60歳まで解約ができない為、時期が来ましたら
①退職金として受け取る
②年金として受け取る
のいずれかを選択し、積み立てた資金を取り崩していきます。
2.企業型と個人型
確定拠出年金には2種類のタイプがあります。
【引用元】
企業年金連合会
:https://www.pfa.or.jp/qa/kyoshutsu/kyoshutsu01.html#q2
多くの中小企業では導入によるコスト増加を危惧し、
確定拠出年金制度を利用する会社が少ないのが現状ですが、
個人でも加入できる為、多くの人が利用できる制度といえます。
3.長所について
(1)所得控除が可能
支払った掛金の全額が所得控除を受けられる為、
給与に課される所得税が安くなります。
(例)年間の給与額が500万 貯金額100万のAさん(独身)の場合
①毎月3万円を1年貯金した場合
貯金額 1,360,000円 源泉徴収額 214,900円
②毎月3万を1年積立(利回り2% 年複利)した場合
積立額 1,383,928円 源泉徴収額 178,100円
差し引くと
貯金額 +23,928円 源泉徴収額 -36,800円
となり資産も増えている上、課される税金も安くなるのがわかります。
また複利による資産運用の為、積立期間が長くなる程、差は開く一方です。
(複利とは元本に対して発生した利子を、次の配当の際、元本に含めて計算することを言います。)
(2)運用益が非課税
通常の配当所得には税金(国税及び地方税で20%)がかかります。
しかし、確定拠出年金を利用して運用する場合は、その運用益が非課税となります。
さらに通常引かれる税金分が積立金として残る為、複利の効果が非常に高まります。
(3)受取時の所得控除
積み立てた資金を受け取る際は、税金が課されてしまうわけですが、
その際に年金として受け取る場合は公的年金等控除、
退職金として受け取る場合は退職所得控除が適用される為、税額が優遇されます。
しかし、会社から退職金を得た年に一時に受け取ってしまうと
退職所得控除を超えてしまうケースもあるので
どのように受け取るかは慎重に検討しましょう。
(4)現在の積立金額を1円単位で確認が可能
企業年金や退職金は現在いくら貰えるのかわかりづらいですが、
確定拠出年金はインターネットでいつでも確認が可能です。
(5)安全性
各企業や金融機関が破綻しても、
加入者の掛金が守られるように仕組みが設けられています。
4.短所について
(1)60歳まで原則受け取れない
長所で述べた通り、非常に優れた税制が適用される分、
60歳まで原則解約できないという縛りがあります。
(2)資金の責任は自分が負う
前述の通り自己責任である為、
長期にわたって運用した結果、全然増えなかったというケースもあるでしょう。
基礎的な運用について勉強をする必要性があります。
5.確定給付企業年金(DB)との違い
もう1つの企業年金制度として確定給付企業年金(DB)という制度があり、最も普及されている制度です。
確定拠出年金と違うのはあらかじめ給付額が決まっている点などです。
運用の責任を会社が負いますが、運用実績が悪ければ会社が穴埋めすることとなります。
しかし、確定給付企業年金にも短所はあります。
(1)給付額の減額
企業の業績が悪化した場合、企業側が給付額を減額することもあり得ます。
すでに受給を始めていても減額があり得る為、確実に給付額が保証されているという訳ではありません。
(2)給与・賞与への影響
会社側の積立金額の補填が増えた場合、業績が悪化してしまうケースがあります。
その際、給与・賞与への減額という影響が起こります。
(3)年金受給額の確認
上記の表の通り自分が将来いくら貰えるのか把握しづらい点があります。
6.まとめ
今回は確定拠出年金について、簡単に説明を致しました。
確定拠出年金は老後の資金を形成するにあたっては非常に優れた制度です。
しかしながら当然人によって状況は違う為、
各証券会社などが提供するシュミレーションを利用の上、
自分に合ったプランを考えることをお勧め致します。