今回のテーマは「消費税の計算方法による節税対策」です。
消費税の計算方法には下記の2通りがあります。
・本則課税…預かった消費税から支払った消費税を除いて計算
・簡易課税…課税売上高にみなし仕入れ率を乗じて計算
計算方法に違いがあるため、あらかじめどちらの制度を利用した方が納税額が少なくなる見込みかを検討した際の差額分が節税となります。
この方法は、以前のブログで紹介しました「お金の支出を伴わず、永久的に税金を減らす節税」に該当します。
1.本則課税制度の概要
本則課税制度による計算方法は「課税標準額に対する消費税額-仕入控除税額」が基本的な考え方であり、仕入控除税額には実際の課税仕入に係る消費税を用いて計算します。
つまり、この制度の計算式を簡便的に記載すると次のようになります。
計算式:
預かった消費税-支払った消費税=納税額
預かった消費税-支払った消費税=納税額
2.簡易課税制度の概要
簡易課税制度による計算方法は仕入控除税額を課税売上高に対する消費税額にみなし仕入率を乗じて計算します。
計算式:
預かった消費税-(預かった消費税×みなし仕入れ率)=納税額
預かった消費税-(預かった消費税×みなし仕入れ率)=納税額
このみなし仕入率は事業によって6つに区分され、それぞれ割合が定められています。
【みなし仕入率】
第一種事業(卸売業) 90%
第二種事業(小売業) 80%
第三種事業(製造業、建設業等) 70%
第四種事業(飲食業等) 60%
第五種事業(サービス業等) 50%
第六種事業(不動産業) 40%
3.簡易課税制度の適用要件
簡易課税制度を利用するには適用要件を満たす必要があります。
(1)基準期間の課税売上高が5,000万円以下である必要があります。
(2)「消費税簡易課税制度選択届出書」を適用する事業年度の初日の前日までに提出する必要があります。
(3)簡易課税の適用を選択した場合、原則2年間継続しなければなりません。
4.本則課税制度と簡易課税制度の有利不利の考え方について
今回ご紹介した制度のどちらを使えば有利かを判定する方法の具体例を下記に記載いたします。
また、基本的に簡易課税制度を選択できる場合はこの制度で計算した方が納税額が少なるなることが多いですが、次の点に注意する必要があります。
(1)支払った消費税額が大きい事業年度があったとしても、簡易課税を適用した場合はその計算上、還付を受けることができません。
(2)2年間継続適用のため、2年目に多額の固定資産の購入をする場合などによって本則課税が簡易課税より有利になることがあります。
よって、簡易課税制度を選択する場合には少なくても2年間のうちに多額の資産を購入する予定があるかどうかを確認するなど、事業計画を考える必要があります。
5.まとめ
今回は消費税の節税対策として本則課税と簡易課税制度の概要と計算例及び適用の条件と注意点についてお伝え致しました。
一般的に簡易課税制度を利用できるならその計算方法で納税した方がよいというお話がありますが、その事業年度が始まるまでにしっかりと検討する事が大切です。