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同族会社では株主や経営者も同じことが多いですが、
その役員の方々には
自分の会社の資産は私の資産であると
認識される方が多いかもしれません。
しかし、事業用として資産計上しているものは、
個人の恣意的な操作が介入することなく
法律に則り、トラブル無く適正に管理・処理したいものです。

今回は、同族会社での役員・会社間で資産の譲渡があった
場合の取扱方法についてご紹介したいと思います。

同族会社とは、
■会社の株主等の3人以下 + その方々と特殊関係にある
個人・法人が次の場合の会社

①会社の発行済株式 or 出資金の総数・総額の50%超を有する
②会社の議決権の50%超を有する
③会社の社員の総数の半数超を占める

※特殊関係にある方々は、
 ・株主等の親戚(六親等の血族・三親等の姻族) ・株主等と事実婚状態の方
 ・株主等の使用人 ・株主等から頂く金銭で生計を立てられてる方

■同族会社は少数の株主(実権を握る者)に支配されることから
 税金逃れ防止の為に次の3つの規定が適用されております。
①行為 又は 計算の否認
②役員等の判定
③特別税額(留保金課税)

特に①の行為 又は 計算の否認は、同族会社では安易に
コントロールできますので、適正な処理や根拠が無いと税務署に
否認される恐れがあります。
以下、注意点をまとめてみましたので、
参考にしていただけたらと思います。

①会社が役員に、会社の資産を売却した場合
会社所有の不動産やゴルフ会員権 等を売却する際は
売るときの価格に注意を払う必要があります。
法人税法での「物差し」となる資産の評価方法は
「時価」が原則となります。
その為、役員に無償、又は低額で資産譲渡をすると、
会社は時価で売却したものとみなされ、法人税が課税
されると同時に役員は「経済的利益=給与」と捉えられ、
所得税と住民税が課税されます。

例)簿価1200万の車両(時価1000万)を役員に400万で売却した場合

【仕訳】
(現金)  400万 (車両) 1200万
(譲渡損) 200万
(役員賞与)600万

・役員賞与としての600万は損金算入出来ません。

「役員賞与の部分」
賞与としての取扱いを受ける為、
ここに所得税・法人税が課税されます。

②役員が会社に資産を売却する場合

図解:【会社が役員の資産を購入した場合】
会社が役員の資産を購入した場合

会社は、時価と購入価格の差額は「受贈益」で取扱いますが、

■時価の1/2以上で売却した場合
 資産を売却した役員は「売却価格」にて所得税と住民税が課税されます。

■時価の1/2未満で売却した場合
 資産を売却した役員は「時価価格」にて所得税と住民税が課税されます。

例)時価1000万の車両を会社に400万で売却した場合

(車両)1000万 (現金)  400万
          (受贈益)600万

「受贈益」部分は所得税・住民税を抑えるために、
意図的にコントロールした部分と判断されます。
この部分は譲渡所得があったとみなして課税されます。
→「みなし譲渡所得課税」と言います。

■更に、高額な価格で売却した場合
 役員は、購入価格と時価との高額な差額部分を給与扱いされ
 時価を売却価格として所得税・住民税が課税されます。

■終わりに…
 基本的には、これらの内容は同族会社の話しだけではございません。
 ですが、特に経営に関与している方同士での資産譲渡は、
 当人同士の恣意性が介入しやすい分、ご注意いただけたらと思います。