事業年度の業績が良い場合には修繕等を行うことで節税を図りたい方が多いと思います。
この節税方法は以前のブログで紹介しました「お金の支出を伴い、税金を減らす節税」に該当します。
修繕費についての支出は多額になりますので税務調査において指摘が多い箇所です。指摘された場合、一度に費用として処理できずに減価償却することになり、税金がほとんど減らないことがありますので事前のチェックが大切です。
そこで今回はこの「修繕費」と「資本的支出」税法上の違いについて説明をし、節税を行う上での注意点についてお話していきます。
1.修繕費と資本的支出について
(1)修繕費の要件
(a)一つの修理や改良などの金額が20万円未満の場合又はおおむね 3年以内の期間を周として行われる周期として行われる修理、改良などである場合。
(b)その支出した金額が60万円未満の時、又はその支出した金額がその固定資産の前事業年度終了の時における取得価格の概ね10%相当額以下である時。
(c)固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分。
(2)資本的支出の要件
(a)建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額。
(b)用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額。
(c)機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額。
図
2.調査時の注意点
・見積書、請求書などから修理・改良などの内容の把握修理業者などからの見積書、請求書、契約書などを把握してそこに記載されている修理・改良などの内容を検討し、資本的支出に該当するもの(つまり、翌期以降の経費となるもの)がないかを調査します。そのため工事の発注の際、材質等が現状のものより高価・高性能なものでないことを確認できるように総額だけでなく明細書等の内訳がかる書類を保存しておきましょう。
・修理現場に実際に赴く見積書、稟議書などから修理、改良などの内容を把握するとともに調査官自らがその修理、改良が行われた場所に赴き実際に修理、改良等の状態を確認する場合もあります。修繕前と修繕後を撮影しておくとよいでしょう。
・修理完了日の確認特に、事業年度末に計上されている修繕費については、修理・改良等の完了日を改ざんするという不正がよく見られるため検収書、工事完了報告書、契約書、修理代金の決済状況から入念にチェックされます。会社としては、疑われるような紛らわしい時期に修理・改良などをするのはできれば避けましょう。
3.まとめ固定資産の修繕を行うことにより節税と利益につながる可能性があります。しかし、前述した通り固定資産についての支出を費用計上する際には注意しなければならないことが多々あり、 判断が難しいため修繕を行う前に税理士の方に事前に相談をするのが良いと思います。
今回の内容に留意した上で固定資産の修繕を行ってみてはいかがでしょうか。