棚卸資産の評価及び処分による節税 | アークス総合会計事務所のブログ

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期末棚卸資産は、少なく計上された場合や廃棄処分された場合に利益の圧縮につながります。

利益を圧縮すると支払う法人税が少なくなるといった結果につながります。つまり、節税となります。

期末棚卸資産の評価損及び廃棄損の計上は、以前のブログでご紹介しました「お金の支出を伴わず、永久的に税金を減らす節税」に該当します。

今回のブログでは、棚卸資産の評価及び廃棄損の計上が節税につながる場合をご紹介致します。

1.棚卸資産の評価による節税

(1)評価方法

棚卸資産の評価額の算定方法は、大きく分けると「原価法」と「低価法」があります。

・原価法・・・商品購入時の価格で在庫を評価
・低価法・・・「原価法」と「期末時点の在庫の時価」のいずれか低い価格で評価

上記の2つの方法のうち、低価法は利益の圧縮につながるため、結果として節税になる場合があります。

(2)節税につながる理由

期末商品の評価方法によって売上原価の額が変わってきます。
これは、売上高に対応する売上原価の額は、下記の算式によって計算されるためです。

売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高

上記算式の期末商品棚卸高を少なく計上すれば、売上原価が増加することがわかります。
利益は「利益=売上高-売上原価」により求められますので、売上原価が増加すれば利益が圧縮されます。
結果として、利益が圧縮され支払う法人税が少なくなります。

(3)具体例

下記の図は、原価法と低価法を比較したものになります。

【前提条件】
100個仕入(1個あたり1万円)   … 当期商品仕入高100万円
90個販売(1個あたり2万円)    … 売上高180万円 
在庫品10個(時価1個あたり5千円)… 期末在庫10万円(時価5万円)

上記図より、低価法を適用した場合には、原価法を適用した場合と比べ、利益が5万円圧縮されているのがわかります。

【注意点】

棚卸資産の評価方法を変更する場合には、変更する事業年度の前日までに「棚卸資産の評価方法の変更承認申請書」を提出する必要があります。
また、評価方法変更後は、特別の事情がない限り継続して適用する必要がありますのでご注意下さい。

2.在庫処分による節税

売れる見込みがない商品を廃棄処分することにより節税が可能です。
商品の原価部分を損失に計上することにより利益が圧縮されます。また、節税とは別に維持管理コストを節約することにもつながります。

【注意点】

廃棄損を計上するには、証明書や領収書等によって廃棄の事実を証明する必要があります。
そのため、根拠資料をきちんと保管しておく必要があります。廃棄時に写真を撮るなどして、廃棄の意思表示と事実を明確にすることも重要であるといえます。

3.まとめ

期末棚卸資産の評価は、税務調査において、会計上期末商品に評価損が計上されていた場合に必ず内容を確認されます。
税務上損金算入可能であるかどうかを明確に説明できるよう準備をしておくことが必要です。

廃棄損の計上は、棚卸表を作成し、常日頃から在庫の管理を徹底することや根拠となる資料を整理しておくことも、税務調査の対策となります。
今回のブログを機に一度貴社の在庫管理を見直してみてはいかがでしょうか。